11:08、サリーと俺とマイケルを乗せた東京発疑惑ゆき新幹線は定刻通り京都に到着した。
俺はサリーに見つからないよう、モントレーまでの尾行は基本的にマイケルに任せることにした。
ふたりで京都なら、どんなに良かっただろう。
いますぐ会いたいよ、そんで抱きしめたい。
俺、気が狂いそうだよ。
モントレーはサリーが好きなホテルだから…
俺バカだな。
サリーがおれだけにそう言ってると思ってた?
ほかの男にも言ってるんだろう?
「くそっ!」
もう、どうにかなりそうだ。
尾行をするマイケルから逐一報告が入る。
”えー、こちらマイケル
サリーは現在錦市場を北上中”
「ひとりか?」
”ああ。ひとりだな。
なにやら神社に入っていくな?錦天満宮?牛をなでているぞ”
「ひとりか?」
”ああ、ひとりだよっ”
”さらに北上、おっと、喫茶店にはいったぞ”
「喫茶店、、イノダか?」
”い。の。だ。ああ、そうだ。”
サリーの好きな喫茶店だ。あまいアイスコーヒー。サリーの好物。
”えー、いまホテルモントレ到着。侵入するため、一旦切ります”
「わかった。俺もサリーがチェックインしたころを見計らって、いくよ・・・”
勿論、モントレに自分の部屋をおさえてある。
サリー、御願いだ。仕事ってホントだよな?他の男なんていねえよな?
「ま。男がいても、俺の部屋につれてくけどね…!」
マイケルがモントレ近くの脇道でボーイになりすますための変装をしていると、
誰かが声をかけてきた。
「あら?マイケル?」
「キャサリン!」
「マイケル―!!」
「ああー!相変わらず色っぽいなー?ん?横の男はだれだ?」
「うふ、まあいいじゃない?」
キャサリン。本名、希麻倫子。
彼女もまた、京都では有名な探偵だ。表向きの職業はカメラマンだが。
「キャサリン、ちょうどよかった。送り火っていうの?大文字焼き?あれをみるのに適した場所とかお店ってどこかな?」
「お安い御用よ。全部おしえてあ・げ・る!」
キャサリンは連れの男に遠慮もなくマイケルにウインクする。
やれやれ、モテて困る。
―つづく(かなあ)-
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