政府は12月19日の閣議で、海上自衛隊のイージス艦に搭載している迎撃ミサイルシステムを新たに地上に配備する「イージス・アショア」を2基導入すると決定した。
北朝鮮の核・ミサイル開発を新たな段階の脅威と捉え、対処のためには弾道ミサイルから日本を防衛する能力の「抜本的な向上」が必要だと判断した。
2023年度の運用開始を目指す。
配備先は秋田市と萩市の陸上自衛隊演習場を候補地として検討している。
小野寺防衛相は記者会見で「弾道ミサイル防衛に可及的速やかに対応してほしいという国民の要請がある。 最速で進めていく」と表明した。
政府は巡航ミサイルの迎撃能力を付加することも視野に入れる。
年明けから見直し作業が本格化する防衛力整備の指針「防衛計画の大綱」に、さまざまなミサイル攻撃への対処力強化を盛り込む方向で検討を始めた。
長距離の巡航ミサイルを多数保有する中国への抑止力を念頭に置いた対応とみられる。
防衛省幹部はイージス・アショアの取得費を1基当たり1千億円弱と説明。
レーダーなどの性能次第でさらに高額となる可能性もあり、防衛費の増大は必至だ。
野党は批判を強めそうだ。
新珊装備の閣議決定は、防衛計画の大綱や2014~2018年度が対象の現行の中期防衛力整備計画(中期防)に導入が明記されていないための措置。
北朝鮮側の技術力の急速な進展が背景にある。
防衛省は、イージス・アショアのカバー範囲に関して「2基で北海道から沖縄まで防護できる」と説明。
陸海双方から、高度な警戒監視が可能となり、迎撃態勢に厚みが増すとしている。
導入決定を踏まえ、2017年度補正予算案には開発国の米国からの情報取得費として28億円、2018年度予算案には、基本設計費を含めて7億3千万円が計上される。
配備先の候補地を巡り、地質や測量、電波環境の調査の実施と合わせ、地元自治体への説明も来年から開始。
米国との価格交渉も本格化させる。