全国にある特別養護老人ホーム(特養)のうち19%の施設が、介護の必要度が低い人からの入所申し込みに対し、認知症などの事情を考慮せず「門前払い」していたことが2月23日、民間団体の調査で分かった。
介護保険制度見直しの影響で負担増となり、費用を支払えずに退所した例も101力所の特養でみられた。
調査は、施設関係者でつくる「21世紀・老人福祉の向上をめざす施設連絡会」が2016年9~10月実施。
特養など8672ヵ所の施設長にアンケートを送り、1906ヵ所から回答があった。
政府は2015年4月から特養の入所条件を原則、介護の必要度が高い「要介護3~5」と厳格化。
ただ「要介護1、2」の人でも認知症があったり、家族から虐待される恐れがあったりする場合は入所できることもある。
調査では、特養の入所に関する回答(全1600施設)を分析。
条件の厳格化後、要介護1、2の人の申し込みが「増えた」は1%(12力所)だったが「減った」は56%(896ヵ所)に上った。
「要介護1、2の申し込みは受け付けていない」としたのは19%(299ヵ所)だった。
2015年8月からは、収入や資産が一定以上ある人は自己負担が2割に増えたほか、入所費用の補助が廃止された。
この影響を複数回答で聞くと「支払い困難を理由に退所」が101ヵ所。
「利用料滞納」が206ヵ所の施設からあった。