NTTは4月23日、漫画などをインターネット上で無料で読める海賊版サイトヘの接続を遮断すると発表した。
接続業者に自主的な遮断を促す政府の緊急対策を踏まえた措置。
著作権保護に向け他の接続業者も追随する可能性がある。
政府が悪質とした三つの海賊版サイトによる著作権侵害の被害額は半年間で約4300億円との推計もあり、厳しい姿勢で臨む。
ただ通信の秘密や検閲禁止を定めた憲法21条に抵触するとの指摘もあり、論争が激しくなりそうだ。
遮断対象は「漫画村」「AnlTube!(アニチューブ)」「MioMio(ミオミオ)」。
これら3サイトは漫画の数が豊富で月間計2億入超の訪問者を抱え、政府は著作権侵害が深刻で特に悪質なサイトと名指しした。
NTTは政府が今後悪質サイトの指定を増やした場合は遮断を拡大する。
接続を遮断するのはNTT傘下のNTTコミュニケーションズ、NTTドコモとNTTぷららの3社。
これまで児童ポルノに限った特例措置として実施してきた手法を使う。
準備が整い次第、遮断するという。
NTTは「(サイトを遮断する)サイトブロッキングに関する法制度が整備されるまでの短期的な緊色措置」と説明。
速やかな法整備を政府に求めた。
他の接続大手であるKDDIは「対応を今後検討する」、ソフトバンクは「さまざまな観点から実行可能な方策を検討する」としている。
憲法21条は言論の自由を保障し「通信の秘密を侵してはならない」と規定。接続業者が問題の3サイトを遮断するには、利用者が接続しようとしているかどうかをサーバーで機械的に判別する手法を取る。
この手法による遮断について政府は、4月13日の知的財産戦略本部・犯罪対策閣僚会議で決めた緊急対策で、通信の秘密を形式的に侵害する可能性があると認めた。
ただ著作権侵害が著しく、削除要請など他の方法で権利を保護できないといった要件を満たす場合は、緊急措置として容認されるとの見解を示した。