安倍首相は1月12日、慰安婦問題でさらなる謝罪を求める文韓国大統領の新方針を拒否する考えを表明した。
「韓国側が一方的にさらなる措置を求めることは全く受け入れられない」と官邸で記者団に述べた。
韓国の新方針に首相が見解を表明するのは初めて。
菅宣房長官は記者会見で、日韓首脳会談の必要性を問われると「現在のところ予定はない」と述べ、早期開催に消極的な考えを示唆した。
政府は首相の意向を踏まえ、韓国が新要求を正式提示した場合は即座に拒否する方針。
慰安婦問題の最終解決を確認した日韓合意について、首相は「日韓関係の欠くべからざる基盤」と位置付ける。
合意で問題解決はできないと明言した文氏との隔たりは大きく、両国関係は冷え込みそうだ。
2015年末に当時の朴政権との間で結んだ日韓合意に関し、首相は「国と国との約束であり、それを守るのは国際的かつ普遍的原則だ」と指摘し、文政権に順守を求めた。
「日本側は約束について、全て誠意を持って実行している。 韓国側にも実行を強く求め続ける」とも述べた。
菅氏は会見で、日本が合意に基づき拠出した10億円の扱いを協議したいとする文氏の呼び掛けについて「全く受け入れられない」と述べ、取り合わない意向を明らかにした。
新要求は、今月中旬の力ナダ・バンクーバーでの国際会議に合わせた開催を見込む日韓外相会談で、康外相が言及する公算が大きい。
河野外相は直ちに拒否するとみられる。
日本政府筋よると、1月15日に実施する方向で日程調整を進めている。
旧日本軍の従軍慰安婦問題に対する韓国政府の新方針を受け、安倍首相が韓国側の追加措置要求は「全く受け入れられない」と述べたことに対し、韓国外務省当局者は1月12日、「追加措置の要求は考えていない。 (新方針は)日本が自発的に真心を見せるなら歓迎するというものだ」と述べた。
康外相は1月9日の新方針発表で、合意に盛り込んだ「被害者の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒やし」の観点に立った日本側の「努力の継続を期待する」とし、「要求する」との表現は避けた。
同当局者は1月12日「被害者の望みは自発的で心のこもった謝罪だ」とも述べた。
また「歴史問題の解決と(日韓)両国関係発展を共に進める」との韓国政府の立場を改めて説明した。
元慰安婦の支援団体、韓国挺身隊問題対策協議会は1月12日、安倍氏が国家間の合意順守は「普遍的原則だ」と述べたことに対し「(慰安婦問題を巡る)正義と真実、人権など『人類の普遍的な価値』より優先することはできない」と主張した。