親の年金の振込先を子の口座に変更できるのか。
年金の振込先口座は、本人名義の口座であれば自由に変更が可能だ。
しかし、あくまで本人名義の口座に限られており、たとえ子であろうと他人名義の口座に変更することはできない。
仮に、子以外で本人から委任を受けた代理人であっても、他人名義の口座に変更することは不可能だ。
年金の口座を子どもの口座にすることはできない、
かといって本人名義の口座からお金を引き出すこともできず、年金を本人の生活費や老後資金として利用できない。
そんなときは成年後見制度を活用してみては。
成年後見制度とは、後見人となる人が本人の財産管理などを行う制度だ。
この制度を活用することで、原則本人しか行うことのできない預金口座からのお金の引き出しが、後見人によって可能になる。
金融機関においても、認知能力を失くした方の口座からお金を引き出す際は、基本的に成年後見制度の利用を推奨している。
成年後見制度には法定後見と任意後見とがある。
法定後見とは、本人の判断能力が不十分となった後に家庭裁判所に申し立て、後見人を選任してもらう方法だ。
任意後見とは、本人の判断能力が十分な状態で、あらかじめ後見人を決めておく方法だ。
認知症を発症して判断能力が不十分となった状態で後見制度を利用する場合、基本的には法定後見になる。
法定後見を申し立てできる人には本人や配偶者の他、4親等以内の親族も含まれるため、子が行うことも可能だ。
詳細については、本人が現在住んでいる場所を管轄する家庭裁判所へご相談すること。
年金の受取口座は本人名義の口座に限られており、子であっても他人名義の口座を受取先に設定することはできない。
認知症を発症していると銀行の口座が凍結されることもある。
そういった場合は成年後見制度を活用して口座内のお金を利用することが原則だ。
親が認知症となった後は無理にお金を引き出そうとしたり、口座を変更したりしようとするのではなく、成年後見制度を活用するようにしていけば安心だ。
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