地方自治体の移住支援策を利用するなどして移り住んだ人が2013年度に8169人に上り、4年間で2.9倍に増えた。
東京圏への一極集中や人口減少が懸念される中、若い世代の地方への移住意識の高まりや、自治体の支援策拡充が背景にあると考えられる。
移住者数は2009年度が2822人、2010年度が3819人、2011年度が5143人、2012年度が6043人、2013年度が8169人。
移住者数が最も多かったのは鳥取県で962人、続いて岡山県が714人だった。
2013年度の移住者の元の居住地を分析したところ、東京や神奈川、埼玉、千葉など首都圏からの移住者が1365人、大阪、兵庫、京都などの近畿圏からは1035人となり2大都市圏で全体の29.4%を占めた。
鳥取の場合、大阪から202人、兵庫から127人など近畿圏からの移住者が3分の1に達し、隣接する岡山が85人で続いた。
市町村別で移住者が多かったのは、大分県豊後高田市で、2013年度は県外から114人が移り住んだ。
空き家バンク制度の導入や、新婚世帯を対象に割安で入居できる集合住宅を建設するなど若者を呼び込む施策を実施し、昨年4~11月で、市への転入が転出を86人上回った。
政府の昨年の調査では、若い世代が移住を検討する理由として、出身地へのUターンが多いものの、ゆとりある生き方を求める「スローライフ」の実現とした意見も目立つ。
政府は昨年末に閣議決定した地方創生5カ年計画「総合戦略」で、地方への移住を柱の一つに掲げた。
人口減に悩む自治体の移住支援策は花盛りで、一部ではまるで移住者を奪い合うサービス合戦になっている。
奪い合いや地域間格差を避けるため、識者からは出身地へのUターンをより積極的に推進すべきだとの指摘もある。
内閣府の昨年の調査では、都市部の20~40代で地方に移住してもよいと思う人が過半数を占めるなど、若者が都市部から地方へ回帰する傾向もみられる。
政府が各自治体の支援策の利用状況にとどまらない全体像を調査し、移住者の希望と移住先の状況を合わせる工夫を行い、バランスのとれた移住政策を行う必要がある。
それにしても地方移住数はまだまだ少ない。