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将軍足利義昭が道成寺に贈った名刀「来國光」が偽物と判明 〈2017年10月20日〉

2017年10月20日 08時30分00秒 | 記事

将軍・足利義昭から道成寺に贈られ、宝佛殿に展示されている刀

道成寺縁起の最後に記している足利義昭の花押


 1573年(天正元年)、織田信長に実権を握られて京を追放された将軍・足利義昭が由良町の興国寺に身を寄せた際、道成寺の絵解き説法に感動して同寺に贈った名刀「来國光」が偽物だったことが判明した。縁起を観た義昭が「日本無双の縁起」と称賛し、縁起の最後に花押を加えるとともに、刀と杯、馬一頭を道成寺に贈ったもので、約450年間、道成寺では道成寺縁起と一体のものとして大切に扱われていた。小野俊成住職は「本物でなかったのは残念だが、道成寺の歴史の謎がまた1つ解明されて良かった」と話した。

 足利義昭から道成寺に贈られたとされる刀の「来國光」は、鎌倉時代から南北朝時代の刀工・来國光の作で、東京の国立博物館が所蔵する太刀など3点が国宝に指定されるほどの逸品。
 約450年前の天正元年、京を追放された義昭が、京都復帰と政権掌握への思いを抱きながら、豊後水道から紀伊水道までの瀬戸内海を支配していた村上水軍の案内で、同水軍本拠地の広島県福山市の鞆の浦から有田の宮崎ノ鼻にたどり着き、由良町の興国寺に身を寄せたという。義昭は、道成寺の縁起絵巻を観ることを切望し、当時の道成寺住職が興国寺に縁起を運んで絵巻を披露したとされる。
 道成寺縁起絵巻を観た義昭は、絵巻の下巻末に花押を記して「日本無双の絵巻なり」と絶賛。この時に刀1本と馬一頭、一献の杯を道成寺に贈った。この刀には「来國光」と刻まれており、道成寺では、18代(天台宗以降は15代)にわたる住職の元で約450年間大切に扱われ、現在も宝佛殿の金庫に保管されている。
 これまで、昭和時代に刀を鑑定した研究者が「刃の湾曲が不自然」などと指摘したこともあったというが、5年前には県文化財の審議委員会へ持参して銃刀法にも登録。将軍・義昭から贈られた名刀「来國光」として信じられてきた。そんな中、14日から県立博物館で始まった特別展「日高川と道成寺」に、道成寺縁起絵巻とともに刀が出品される予定となり、当初は展示リストにも記載されていたが、画像を見た専門家の調査で来國光の銘の字体が異なり、どの刀とも形状が異なることなどから偽物だと判明した。
 小野住職は「来國光でなかったことは残念だが、道成寺の歴史の謎がまた一つ解明されて良かった。時代の背景を考えると、亡命中の将軍が偽物を贈った方が納得できるように感じ、逆に将軍から贈られた刀という信ぴょう性が増した。偽物だったことも道成寺の歴史であり、絵巻とともに大切に扱って後世に伝えたい」と話している。
 この刀は、県立博物館の特別展が終わる11月26日まで道成寺宝佛殿に展示されている。


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印南町が高齢者等地域見守りネットワーク事業推進へ会議設立 〈2017年10月19日〉

2017年10月19日 08時30分00秒 | 記事

日裏町長から委嘱状を受ける委員

登録票を交付し、靴に張ってもらう


 印南町は、町内を巡回する事業者や町内の社会福祉法人、区長会、警察、消防など関係機関と連携し高齢者への声かけや認知症高齢者の行方不明防止、介護する家族への支援などに取り組む高齢者等地域見守りネットワーク事業を推進するため17日、関係機関代表ら13人でつくる地域見守りネットワーク会議を設立。関係機関らが中心となって事業の目的や内容を周知し地域全体で見守り体制を構築し、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるまちづくりをめざす。

 同町では昨年、認知症高齢者が行方不明となり3日後に無事保護されたのをはじめ認知症が原因で捜索活動した事案が4件発生したことなどから高齢者を見守るための新たな事業が必要と今回、印南町高齢者等地域見守りネットワーク事業として、徘徊のおそれがある認知症高齢者に登録票を交付し、靴の前後に登録票を張ってもらい、関係機関による緊急連絡や保護が必要と判断した場合には自宅へ戻れるように支援する見守り体制の構築を図る。
 同事業を地域全体で取り組み推進するため17日、町役場で、すでに事業への協力に向けて協定を締結している町内郵便局をはじめ、町社協、区長会、消防、警察など13の関係機関で構成する高齢者等地域見守りネットワーク会議を設立した。委員に委嘱状を交付した日裏勝己町長は「認知症高齢者や1人暮らし高齢者などへの対策は町の大きな課題の一つである。『人と人との絆』による『見守りネットワーク』が印南町の高齢者福祉の増進に寄与するものと大きな期待を寄せている」と協力を呼びかけ、会長に選出された町社会福祉協議会の森尾正稔会長は「高齢化社会となる中、会議の果たす役割は大きい。地域地域で心を込めてお互いに見守り合いをする『共助』の取り組みを広げていきたい」と述べた。
 町地域包括支援センターや町在宅介護支援センターが要介護認定調査の情報から把握している徘徊のリスクが高い高齢者(13人)、リスクがある高齢者(22人)を訪問するなどして事業への理解を得ながら登録票交付に向けての申請手続きなど進めていくことにしている。
 地域見守りネットワーク会議の会長を除く委員は次の皆さん。
 副会長=久保年(町区長連絡会)▽委員=西田太夫(町民生委員児童委員協議会)谷前修一(町在宅介護支援センター)辻寛(同仁会「カルフール・ド・ルポ印南」)池上省吾(町老人クラブ連合会)木村正直(いなみこども園)岡崎恭子(作業所「陽」)浜中芳光(町消防団)小出達生(印南町駐在所)川口史朗(印南町内郵便局)古谷正信(副町長)岩崎佳江(町保健センター)。


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MOA美術館中紀児童作品展で坂成海さん(内原小)2年連続知事賞、全国へ 〈2017年10月18日〉

2017年10月18日 08時30分00秒 | 記事

坂さんの作品「アジをさばくおばあちゃん」


 MOA美術館など主催、本社など後援の第29回MOA美術館中紀児童作品展の審査はこのほど行い、最優秀の県知事賞・MOA美術館奨励賞に内原小6年の坂成海さん(12)の「アジをさばくおばあちゃん」が選ばれ、全国展の審査に進む。入賞作品123点は21、22日に有田川町の有田中央高校同窓会館で展示され、銅賞以上41点の入賞者表彰式は22日に同館で行う。(入選以降は後報)

 日高・有田両地方の小学校児童から昨年より117点少ない1060点の応募があった。
 坂さんの作品は、祖父が釣ってきた魚を祖母がさばいている様子を水彩絵の具で描写。まな板の木目や左利きの祖母を表現するところが苦労したと言い、麦わら帽子や服のシワなど細かな所まで描かれている。
 坂さんは1年生の頃から同展に出品。2年生の頃に入選、3年生で銀賞、4年生で特賞と年々良い賞に。5年生では初めて知事賞を受け、今年も2年連続での受賞となった。
 坂さんは「今年も知事賞を取らないとというプレッシャーもあり、頑張って描いたけど、まさか今年も知事賞だとは思わずうれしい」と喜び、昨年は全国審査で厚生労働大臣賞を受けており「今回も賞に入って静岡県での表彰式に出たい」と笑った。
 日高地方の入賞は次のみなさん。カッコ内は小学校名、学年。
 県議会議長賞=文蔵理世(藤田6)▽県教育委員会賞=尾崎月灯(松原4)▽御坊市長賞=野村和志(塩屋6)▽日高川町長賞=東原百伽(川原河6)▽日高町長賞=嶋田倫也(志賀5)▽由良町長賞=高橋孝輔(由良3)▽美浜町長賞=椎崎りお(和田4)▽朝日新聞和歌山総局賞=高橋実来(同1)▽産経新聞社賞=川口恭功(御坊5)▽毎日新聞和歌山支局賞=宮井礼菜(藤田6)▽読売新聞和歌山支局賞=坂将起(内原3)▽テレビ和歌山賞=柳瀬広人(藤田6)▽(株)和歌山放送賞=中根豪汰(同)
 金賞=竹村光永(塩屋3)小池麻央(御坊5)那須亮太(内原6)▽銀賞=阪本美晴(藤田1)山田眞生(御坊同)鳴川晃璃(江川3)鳴川真璃(同)前出和紀(塩屋4)阪本美沙(藤田5)星山晴輝(同6)▽銅賞=東哲平(川辺西3)若野浬子(和田同)湯川心優(藤田同)玉置由奈(同4)山崎啓一郎(内原同)米田絢葵(藤田同)阪本稀星(同5)小竹さくら(塩屋6)池永壮汰(藤田同)▽佳作=田中理央(御坊2)洞口結南(藤田3)大藤愛叶(内原同)田中来斗(御坊4)吉本壮希(同)上田寛都(藤田同)湯川華奈(同)切通真菜(御坊5)堺弥琉(藤田同)倉野歩(御坊同)


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管内秋祭りたけなわ終盤へ 〈2017年10月17日〉

2017年10月17日 08時30分00秒 | 記事

四つ太鼓や屋台が勢いよく宮入り(吉原祭)

雨に舞う「双頭の踊り獅子」(土生祭)

屋形が競り合う(由良祭)


 日高地方の秋祭りシーズンがピークを迎え、15日の日曜日は吉原祭(美浜町)土生祭(日高川町)由良祭(由良町)などが行われた。あいにくの雨降りだったがどこもそれを吹き飛ばす熱気。例年なら次の日曜日も秋祭りが続くが、今年は22日が総選挙となったため、22日に予定していた吉田祭(御坊市)と和田祭(美浜町)は29日に日程を変更した。

 吉原祭 美浜町松原王子神社で行われ、4組の四つ太鼓などでにぎわった。
 宵宮の14日は、日が落ちた後にWAY美浜店前で、若連行事の四つ太鼓合同行進があり、多くの観衆が見守った。
 本祭では西、新浜、田井、東の組の順に宮入り。雨がぱらついたが、それを跳ね返す熱気で各組の四つ太鼓が「サイテクリョー」の声を響かせた。
 浜の御旅所にお渡りをした後で、獅子舞を奉納。日が暮れ始めると、のぼりや屋台、四つ太鼓が御旅所内を練って、再び「サイテクリョー」の声でわいた。
 土生祭 日高川町土生八幡神社で行われ、御旅所で雨のなか当屋の中津川が、県指定無形民俗文化財の「双頭の踊り獅子」を奉納。笛や太鼓の楽曲のない、雌雄の鬼の持つ矛(ほこ)と簓(ささら)の発する気配のみを頼りした舞いは、雨音でさらにその静けさを際立たせた。鬼が深く背を反らすと、観衆から「鬼、ええぞ!」との歓声。巫女たちの可憐な神楽舞いも奉納された。
 小熊の奴や屋台、のぼり、四つ太鼓、子ども御輿の宮入りも雨のなか。雨水をふくんだのぼりは重みを増して、のぼり差しは上げるのに力を振り絞って踏ん張った。
 由良祭 宇佐八幡神社で行われ、予定を少し早め午前8時前から横浜、里、南、江ノ駒、網代、阿戸の順に宮入り。長さ6メートル以上もある管内で最も大きな屋形(屋台)は雨に濡れないようカバーがかけられ、大きな屋形で押し合う競り合いを見せた。
 阿戸が26年ぶりに大規模改修した屋形を披露し競り合い。のぼり差しを披露し、見物客の頭上で振りかざしたり、片手であげたりに拍手や声援が飛んだ。
 各区が境内で獅子舞を奉納、太鼓や笛、カンコロ、チャミセン、周囲の囃しに合わせて激しく頭を振ったり肩車しながら舞ったり。午後は神殿式、渡御を行い、御旅所で奉納行事が行われ夜まで賑わいが続いた。


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御坊市文化賞に塩路正氏(富安)、団体はHale45スタジオ 〈2017年10月15日〉

2017年10月16日 08時30分00秒 | 記事

 平成29年度御坊市文化賞が決まった。個人は文化財保護・研究活動や普及啓発、人材育成などに尽力している市文化財保護審議会長の塩路正氏(77)=湯川町富安=、団体はハワイアンフラ活動の普及に努め、地域文化向上に寄与しているハワイアンフラサークル「Hale45スタジオ」(橋本洋子代表)が選ばれた。表彰式は11月2日午前10時30分から市民文化会館で行い、柏木征夫市長から賞状と記念品が贈られる。今年で42回目。今回を含めて受賞者は72人、26団体。
 
 塩路氏は高校や大学で歴史地理学を学び、教職に就いてからも歴史地理学第一人者の京都大学・藤岡謙二郎博士主宰のゼミに学び、国内外問わず巡検のお伴をするなど歩いて歩いて足で学んだ。郷土においては時代とともに変遷した熊野古道の路査や整備に心掛け「小松原」では古文書や古老からの聞き取りをもとに伝統ある町屋の並ぶ宿場町を復元・地図化。「御坊」では寺内町御坊を唱え、全国的に10市ほどしかない寺内町の仲間入りをさせるなど意欲的に活動した。
 平成18年から市文化財保護審議会長を務め、文化財の調査や保護を中心に活動しているほか、御坊文化財研究会長や県文化財保護指導委員なども歴任。市史の編さん、文化財の整備や活動に努め、研修会等の講師などで文化財保護の人材育成や普及啓発に尽力。また、紀州語り部として親切なもてなしを念頭に訪れる人々を案内したり、散策コースの選定や美化運動、御坊寺内町会館の設置などにも貢献。平成27年に市観光協会・観光功労者表彰、法務大臣表彰(更生保護功績)、29年に藍綬褒章(同)を受けた。
 塩路氏の話 このような賞をいただき、身に余る光栄です。これもひとえに諸先輩をはじめ皆様方のご指導のお陰と感謝しています。この賞に恥じないよう今後も精進し、地域のお役に立てるように努めたい。
 Hale45スタジオは平成12年4月に橋本洋子さん、藤原千鶴さん、橋本法子さんの親子3人が指導者として市民文化会館を使って活動を開始。現在は10年前に開設したスタジオで活動を続けるとともに、フィットネスクラブ「アクオ」や白浜教室、Big・U、和歌山市内などで教室を開き、約100人がレッスンに励んでいる。宮子姫みなとフェスタやSioトープ子どもまつりなど地元イベント、白良浜の海開き、熊野古道世界遺産登録時のイベントなどにも参加し、地域住民にハワイアンフラの魅力を伝えている。
 梅田芸術劇場や御坊市民文化会館で行われた発表会には県外からも多くの出場者、観客を集め、各教室に分かれてレッスンするメンバーが一堂に会して練習の成果を発表。ハワイアンフラは身も心もリラックスでき、年齢に関係なく無理なく踊れることや、教室では人と人との出会いを大切にする雰囲気づくりに心掛けており、市民にその魅力が普及するのに伴い、今後ますます愛好家の増加が見込まれている。
 橋本代表の話 知らせをいただいた時はきょとんとしましたが、すぐにこれは大変なことだ、うれしいと、心がときめき、生徒たちの喜ぶ顔が浮かびました。今後も地域文化向上のお役に立てるよう、そして皆さんに喜び、笑い、感動を与えられるよう頑張ります。


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日本学生科学賞県審査で日高高校科学部の「ビル風を読む」が県議会議長賞 〈2017年10月14日〉

2017年10月14日 08時30分00秒 | 記事

サーキュレーターを改造した手作りの風洞実験装置で
ビル模型周辺の風速を測る伊藤君(左)と下野君


 読売新聞社主催の第61回日本学生科学賞の県審査がこのほど、和歌山市の読売新聞和歌山支局で行われ、14点の応募作品のなかから日高高校科学部の伊藤徳亭君と下野翼君(ともに2年)の研究作品「ビル風を読む」が県議会議長賞を受賞。11月18日と19日に行われる中央予備審査に同部から初めて進むことが決まった。

 去る4月、下野君は図書館で手にした科学雑誌に高層ビルに吹くビル風の記事が載っているのを見て、元々ビルに興味があったこともあって「おもしろそう」と研究することを発案。伊藤君とともに早速下調べをして研究内容を絞り、スクエア(四角形)型とセットバック(上の階へいくにしたがって順次その外観が階段状に細くなっていく形状)型のビル風の違いに着目した。ビル風の抑制効果は、スクエア型よりセットバック型のほうが高いことは一般的に知られているが、その差違はどのようにしてなぜ生まれるのかを考察しようと、両方の型のブロック模型を、それぞれ高さ12・5センチ、10・4センチ、8.2センチの3パターン用意して、実験に臨んだ。
 和歌山工業高等専門学校に協力を依頼し、まずはその煙風洞実験装置を借りて風を線状に可視化して、ビルの周りの風の流れを読み取る実験を行った。次に、その装置では計測できないビル周辺の風速を測るため、サーキュレーターを自分たちで改造して風を直線状に送り出せる装置を制作。それを用いてビル模型に風を当て、1つの模型型につき240もの個所からアネモマスター風速計で風速を測定。ビルの形状や高さによって周辺の風速がどう変化するかをデータ化した。
 半年に及ぶ研究から、ふたりは、風を受ける側面積が小さいセットバック型のほうが風が安定し、まわりの環境に悪影響を及ぼさないビル構造と言えることを確認。高額な風洞実験装置の類似品を、身近な材料を用いて手作りすることに成功したことも大きな成果となった。
 実験に扇風機を使ったりもしたが、測定結果から、扇風機の風は直線ではなくスパイラル状に吹いていることを発見。サーキュレーターを用いた風洞実験装置を制作する際には、サーキュレーターから真っ直ぐな風が流れ出るよう、噴き出し口にザルや網を重ねて風速のばらつきを押さえ、さらに厚紙を添えて一定方向の風を送れるよう調整した。
 中央予備審査への切符をつかんだふたりは目下、11月8日の書類提出期限に向け、レポートのさらなるブラッシュアップに全力。実験結果を物理の定理に添って証明するなどより確信性を追究し、過去に発表された事例を参考に、よりよいレポートの組み立て方を探っている。
 中央予備審査で選ばれれば、ポスター発表に参加できる。ふたりは「県代表が集まってくるので、レベルはすごく高い。ポスター発表を目指して頑張りたい」と燃えている。


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日高川町「子ども未来塾」好評、登録児童数は初年度比で大幅増 〈2017年10月13日〉

2017年10月13日 08時30分00秒 | 記事

今年度から開講の笠松小では全児童が放課後の未来塾に
登録している


 日高川町が、県下初のモデル校で実施し、昨年度から町内小学校に本格導入した放課後の空き教室を利用する学習教室「子ども未来塾」は、2年目の今年度、実施校を5校から7校に増やし、登録児童数も234人で約6割の児童が参加するなど好評だ。「子ども居場所づくり推進事業」として実施し、放課後の居場所づくりだけでなく、地域が一体となった学力の向上の場につながっていると評価されている。

 平成27年度に県下で初のモデル校として日高川町が川辺西小で放課後学習教室を導入した。28年度からは同校を含む川辺地区4校と寒川第一小で町主催の子どもの居場所づくり推進事業「子ども未来塾」として開講。さらに今年度からは三百瀬、笠松両小学校でも開講し、夏休みなどの長期休暇を除く毎週2回、授業が終わった学校の空き教室で、元教諭ら地元の指導員が児童たちの宿題などを教えている。
 昨年度の開講当初、5校で登録した児童は146人だったが、年度後半には178人に増加。「学校で宿題を済ませて帰ってくる」「家庭の勉強に取り組む姿勢が変わった」など保護者にも好評で、今年度からは2校でも開講し、登録児童数は234人となった。実施7校の全児童数は396人で登録者数は59・1%に達し、ほぼ6割の児童が未来塾に参加している。
 今年度から実施の笠松小では児童16人全員が登録し、寒川第一小でも15人中13人、最も児童数が多い川辺西小でも203人のうち104人が登録するなど全7校で登録率は50%を超えており、江川小で68・1%、和佐小でも64・1%など高い登録率となっている。
 参加料(傷害保険掛け金)は1人あたり年間800円で、学期中に週2回の割合で開講。児童の生活スタイルに合わせて、参加日や時間も自分で決められる。最も多い川辺西小では5人の指導員が付き、地域の元教員らの指導で空き教室を使って宿題や自主学習を行っており、保護者からも未来塾の効果を感じている意見が多く聞かれる。


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由良町初のヘリポート完成、津波など災害に強い町づくり推進 〈2017年10月12日〉

2017年10月12日 08時30分00秒 | 記事

完成したヘリポート

黄色でマークも


 近い将来発生するとされる津波や地震に備え、由良町吹井地内に町内初のヘリポートが完成した。災害など緊急時に防災ヘリやドクターヘリが離着陸できるよう町が防災関連施設として整備。昨年秋から取り組み今春に本工事が完了、今夏に周辺の木の伐採など追加工事を実施した。町では今年度中に資機材などを入れる防災倉庫を設置する計画で、災害に強い町づくりをすすめていく。

 海に囲まれる同町は地震による津波災害が想定されることから、災害時に国道42号など幹線道路が寸断された場合に備え、空からの輸送手段としてヘリポートの設置を決めた。
 ヘリポートは「場外離着陸場」と呼ばれるもので、吹井地内の由良斎場から北200メートルにある山林(海抜600メートル)を整備して設置。これまでは町民グラウンドや海上自衛隊由良基地分遣隊を臨時の着陸場として利用していたが、着陸に際し関係者の許可が必要だった。しかし、場外離着陸場は事前に関係機関に申請しているため許可なく着陸できるのが特徴。
 ヘリポートの面積は約6000平方メートル。昨年10月下旬から今年3月末にかけて造成工事を行った後、一部をアスファルト舗装、残りは採石を敷き水路工事も実施。追加工事は今年8月から9月末にかけて行い、防災ヘリなどが安全に離着陸できるよう周辺の木を伐採し、採石部分に乳剤を散布し離着陸の際に砂利が飛び散らないよう対策を講じたほか、上空から場所が分かるよう黄色でマーク(25平方メートル)も入れた。
 着陸したヘリから物資や被災者を運ぶための緊急車両が通行しやすいようヘリポートマークから町道にかけてアスファルト舗装した進入路(幅員10メートル、延長30メートル)を設置し、関係車両以外立ち入れないよう進入防止の車止めも取り付けた。総工事費は約5654万円。設計は(株)中山綜合コンサルタント日高営業所=高垣雅弘所長・御坊市薗、施工は本工事が(株)池本組=池本栄太郎代表取締役・由良町里=、追加工事が(株)川端組=川端孝司代表取締役・同町小引=。 
 町では今年度中に敷地内に防災倉庫(約100平方メートル)を設置し自家発電機などの資機材を置く考えで、今月28日には自衛隊の協力を得てヘリが離着陸できるか確認する方向で調整を進めている。


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第48回総選挙公示、3区は楠本氏(共新)二階氏(自前)同郷対決 〈2017年10月11日〉

2017年10月11日 08時30分00秒 | 記事

「国会で発言させてほしい」と楠本文郎候補

頑張ろうコールで気勢を上げる二階陣営


 第48回衆議院総選挙は10日に公示され、22日投開票まで12日間の選挙戦に入った。和歌山3区は共産党新人で党県南地区副委員長の楠本文郎氏(63)=御坊市塩屋町南塩屋、元御坊市議=と、自民党前職で党幹事長の二階俊博氏(78)=御坊市島、当選11回・公明党推薦=の2人が立候補し、選挙事務所などで第一声を放ち、短期決戦の火ぶたを切った。二階陣営は候補者不在の選挙戦となり、後援会等がフル稼動で圧倒的勝利を目指すのに対し、楠本陣営は市民団体等の支援を受け、無党派層などへの支持拡大に全力を挙げる。9日現在の3区有権者数は26万4320人(男12万2911・女14万1409)。

国民の命と暮らし守る
共産新人 楠本文郎候補

 地元御坊市塩屋町の日高港湾入口、塩屋交差点で出発式を行い、支持者ら250人が集まった。
 楠本候補は「政治を変えよう、民主主義を取り戻そう、戦争をさせてはならないという思いを一身に預かる候補者として全力を挙げて頑張りたい」と力強く第一声。安倍政権が掲げるアベノミクスに「安倍総理は景気のいいことばかり並べるが、そんな実感はない。大企業が潤うための政策で御坊には届かない、和歌山は切り捨てられる中身」と痛烈に批判した。介護保険を例に「お金がかかるといってサービスを切り捨てるというのは、お年寄りが多い田舎を切り捨てること。お年寄りが介護を受け、地域の人がその仕事に携わり、地域でお金を使えば需要が生まれる」とし、「社会保障・教育・暮らしの予算が地域経済を潤す。逆転の予算配分が必要。国民のために使うことこそが3区を再生させる」と力を込めた。安倍政権がめざす憲法9条改正には「国際紛争の解決手段に武力を永久に放棄するとうたった全国民の願いを破ろうとしている。絶対に許してはならない」と強調。「35年間1度も一般質問を欠かすことがなかった御坊市議会から今度は国会で〝田舎を大事にしろ〟〝国民の命と暮らしを守れ〟という願いを実現するために発言させてほしい」と訴えた。
 政策協定を結んでいる市民連合わかやまの由良登信共同代表らが楠本氏の支持を呼びかけたほか、自由党県連役員も応援に駆けつけ、最後はがんばろーコールを三唱し気勢を上げた。

本人不在も「ぶっちぎりで圧勝」
自民前職 二階俊博候補

 午前7時30分から御坊市の小竹八幡神社で必勝祈願を行ったあと、午前11時から同市島440の1の選挙事務所前で出陣式を行い、第一声を上げた。鶴保庸介参議院議員、公明党の浮島とも子前代議士、仁坂吉伸知事をはじめ県議や地元市町村長、市町議会議員、支持者ら1000人が参集し「圧倒的勝利で12選を飾ろう」と気勢を上げた。
 二階氏は幹事長として選挙の陣頭指揮に立つほか、二階派会長として同志の応援もあり、選挙期間中の地元入りは難しく、公示日も東京、新潟県を駆け回るため、初めて候補者不在の出陣式となった。代わりに録音音声が流され、この中で二階氏は「皆様のお力をちょうだいし、一緒になって選挙戦を戦えることを誇りに思います。皆さんのご期待に応えるため、しっかり頑張りたい。共に営々と築き上げてきたふるさと和歌山をさらに躍進させ、子や孫の次の世代に引き継いでいこう」と呼びかけた。
 長男の二階俊樹秘書が「同志の皆さんのお力をお貸し下さい」と支援を訴え、吉井和視自民党県連幹事長、吉田擴新風会副会長、真砂充敏選対本部長(田辺市長)が「地元の誇りと名誉に賭けてぶっちぎりで圧勝できるよう皆さんのお力をお貸し下さい」とあいさつ。来賓の仁坂知事、鶴保議員、浮島前代議士、森下誠史県町村会副会長(美浜町長)、中村裕一県議らも支援を呼びかけた。


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危険業務従事者叙勲に竹中利雄(印南町在住)若野孝(美浜町)両氏 〈2017年10月8日〉

2017年10月10日 08時30分00秒 | 記事

 警察官や消防士、自衛官など危険性の高い業務に精励した人に贈られる危険業務従事者叙勲の受章者が決まった。第29回となる今回、日高地方から瑞宝双光章に印南町古屋在住で元県警警視正の竹中利雄氏(70)=和歌山市田尻=、美浜町和田229、元県警警部の若野孝氏(70)が、ともに警察功労で選ばれた。11月上~中旬に東京や県庁で伝達され、東京で拝謁する。県下受章者は2人を含め27人。
 
地域の治安維持に努める
瑞宝双光章 竹中利雄氏
 
 和歌山東署を振り出しに田辺や有田、御坊、白浜などを経て、和歌山北副署長、警備部公安課次席を務め、交通機動隊長を最後に平成19年3月に退職。警察人生42年間の大半は公安畑を歩み、地域の治安維持に努めた。
 警備部公安課に在籍していた平成5年と6年、立て続けに発生した中国人集団密入国事件が一番思い出深いという。平成6年3月にすさみ町で発生した集団密入国事件では現場で陣頭指揮にあたり、一人残らず一網打尽にし107人を検挙した。「全員が中国人で、広東語の通訳が少なく通訳の確保に苦労した。48時間以内に逮捕送致手続きしなければならず、寝る間もなく大変だった」。
 北署副署長時に街頭犯罪の抑止に力を入れた。抑止には住民の協力が必要と、県下で初めての「自主防犯パトロール隊」を結成。現在では県下全域に取り組みが広がっており「とてもうれしい」と話す。
 中津村(現日高川町)高津尾出身で、退職後は妻・頼子さんの実家である印南町古屋で暮らす。農作業の傍ら「社団法人きのくに福祉支援機構」を立ち上げ、副理事長を務め、社会福祉施設を支援する活動にも取り組む。
 竹中氏の話 先輩や同僚、地域住民の協力のお陰で無事務められたと感謝しています。

外国人犯罪の取締に尽力
瑞宝双光章 若野孝氏

 昭和41年4月に県警察巡査を拝命し、翌年3月の白浜署を振り出しに、42年間警察業務に尽力。昭和45年9月に本部警備部特別機動隊、同48年3月に西署で地域課や警備課、同56年3月には本部警備部公安課、平成11年に東署で地域課、平成14年に本部警備部公安課を最後に、平成20年3月に退職した。
 42年の内、28年間警備畑で、外国人犯罪の取り締まり、要人の警衛・警護、災害対策などに尽力。印象深い事件は、平成になってすぐに、中国人密入国者が多く、取り締まりに追われたこと。100人以上の集団密入国の情報を得て、捜査体制の一員として、すさみ町の海岸で張り込みを開始。当時、海が荒れ入国してこれず、2日2晩寝ずの番。密入国をしてきた中国人らを東京、名古屋、大阪などへ送る「受け」と呼ばれる人が、マイクロバスで待ってるところへ、入ってきた中国人らを一網打尽に。取り調べをする際、言葉が通じず、はがゆい思いをしたことを振り返る。
 退職後は、オークワの保安係として働き、現在は、県交通安全協会御坊支部の車庫調査係、警友会御坊支部で経験を生かして地域に貢献している。
 若野氏の話 身に余る光栄で、本当にありがいこと。先輩、同僚、後輩に恵まれました。支えてくれた家族に感謝しています。


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