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かわべ天文公園 稀少な太陽系外惑星を発見 休止中の望遠鏡で千葉工大が成功 〈2019年10月30日〉

2019年10月30日 08時30分00秒 | 記事

休止中のかわべ天文公園望遠鏡で研究にあたる研究員


 平成26年12月から利用を休止している日高川町和佐、かわべ天文公園の天文施設が、稀少な太陽系外惑星の存在を立証する観測に貢献した。千葉工業大学の惑星探査研究センターが同施設の口径1メートル望遠鏡を使い、昨秋から学術利用しており、その1つとして太陽系外惑星探索の国際チームの依頼を受けて惑星候補を研究。今年5月3日に観測に成功し、惑星の存在を確認する大きな結果を得た。観測にあたった同センターの研究員らは「かわべ天文公園の望遠鏡で観測したデータを使い、ようやく科学成果の一つが出せたことがうれしい」と喜んでいる。
 昨年、休止中の天文施設に対し、千葉工大の惑星探査研究センターが小惑星を観測する外部拠点施設として使用したいと日高川町に打診。その後、町と同センターが今年4月に協力協定を締結した。同センター研究員の石丸亮さん、吉田二美さんらのグループは、研究に利用するCCDカメラなどの観測装置を設置して同公園に滞在し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)のデスティニー・プラス計画に関連するふたご座流星群母体・小惑星フェイトンの地上観測のサポート研究などを始めた。
 今回、観測に成功した太陽系外惑星の観測は、惑星探査を目的とする国際チームKELTプロジェクトの依頼を受けて5月3日に実施。同プロジェクトが発見した惑星候補(通称KELTー24b)が本当の惑星であるかを立証するもの。かわべ天文公園の望遠鏡は、同国際チームの望遠鏡より空間分解能(画像が詳細)が約100倍優れており、この観測に大きな性能を発揮した。今年5月3日夜、月食などと同じような現象で、主星を回る惑星の食(影)が出来るのを観測(トランジット)することで、主星の前を横切る惑星の存在を立証する研究データを得ることに成功した。
 発見された惑星KELTー24bは、木星質量の約5倍もある極めて大きな惑星で、主星となる恒星HD93148のすぐ傍らを公転する灼熱の惑星(ホットジュピター)と考えられるという。非常に明るい恒星に対して、今回のような巨大な惑星が発見された例は稀少で、研究成果が23日付の国際科学雑誌「The Astronomical Journal電子版」に掲載された。
 研究員の石丸さんは「今年のノーベル物理学賞を『太陽系外惑星の発見』が受賞する中で、かわべ天文公園の望遠鏡で観測したデータを使った系外惑星観測の論文が出版された。協力協定を結んで初めて大きな科学成果が出せたことがうれしい。継続的に系外惑星観測や惑星探査計画の対象天体の観測に取り組みたい」と話すなど、休止中のかわべ天文公園の天文施設が再び脚光を浴びている。


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