紀州新聞 THE KISYU SIMBUN ONLINE

和歌山県の御坊市と日高郡をカバーする地方紙「紀州新聞」のウェブサイトです。主要記事、バックナンバーなどを紹介。

ニホンザル対策 全国で稀、200頭以上の群れが2つ 「異常事態」新たに管内全域で調査 〈2020年6月28日〉

2020年06月28日 08時30分00秒 | 記事


ICT捕獲わな(写真は蛇尾地内)を設置するも被害は減らず


 日高振興局農業水産振興課は、農作物被害が深刻なニホンザル対策として昨年度、日高川町で行ったGPS(全地球無線測位システム)機能を使った行動域把握調査と個体数調査の結果をまとめた。前年度の日高町に続いて日高川町でも200頭以上の群れが確認された。全国的に見ても200頭以上の群れが存在するのは稀なことで、その群れが2つもあるのは「異常事態」だという。今年度で隣接地域での同調査を継続するとともに、新たに管内全域を対象にした生息調査も行い、効果的な捕獲、生息数の適切な管理など被害対策につなげたい考え。
 
 県は平成30年度にGPS機能を使った行動域把握調査と個体数調査を県下で初めて日高地方で実施。大人のメスザルにGPS発信器を付けた首輪を装着し群れに返し、受信機で位置情報データを取り、群れの行動範囲を把握するもので、30年度は日高、由良両町で行い、日高町で全国的に見ても最大クラスの261頭の群れを確認。放置果実など餌場が豊富にあるとみられ、住宅街がある高家地域にも姿を現し、若いサルが多いことも分かった。
 2年目の令和元年度は日高、由良両町に加え、日高川町で実施。日高川町では蛇尾地内の群れでデータが取れ、207頭の群れであることが分かった。周辺にはミカンなど柑橘類の果樹園があり、餌場が豊富にあることで若いサルが多いなど繁殖状況も良好。行動範囲も広川町までと広いという。一般的にサルの群れは30~50頭。それ以上になると餌の取り合いになり、群れが分かれるというが、日高町、日高川町の2つの群れともに餌場が豊富にあることから大集団を維持し続けられると推察。
 農業水産振興課は「全国的に見ても200頭以上の群れは稀。調査の委託業者も『全国でトップレベルの多さ』と言っており、200頭以上が群れが2つもあるというのは異常事態とも言える」とし、まずは生息数を減らすため、地元の協力を得ながらサルの行動範囲データを参考に大型檻を設置するなど捕獲に力を入れるほか、防止策設置や追い払い活動、放棄地等の誘因物除去なども行う。あわせて今年度は隣接の玄子地内で同調査を行い、別の群れがないかなど調べる。
 ただ、管内、県内ともにサルの生息実態がつかめていないため、県が新たに今年度から2カ年計画で県下のサル生息調査を行い、地域ごとに大まかな群れの数を把握する。今年度は日高地域、有田地域、田辺市で行う。群れがどこにいくつあるか分からない中で、闇雲に対策を行っても効果は薄いと言うことで、この調査で管内の群れの数がつかめれば、どの地域でどの程度捕獲すればいいかなど適切な生息数管理につなげられると期待している。
 
 
 サル6年連続トップ
 元年度管内鳥獣被害
 
 管内の令和元年度農作物被害額は4989万円で前年度比722万円増。サルが1802万円と全体の36%を占め、イノシシ1465万円、シカ976万円も含めると85%。サル、イノシシ、シカいずれも前年度より増えている。平成25年度まではイノシシがトップだったが、26年度からサルが6年連続でトップ。サル対策を重点にICT捕獲わな(大型捕獲おり)を導入し、昨年度は管内20カ所に設置して前年度470頭を上回る過去最多の611頭を捕獲したが、被害は減っていない。。


 その他の主なニュース

 きのくに信金杯少年サッカー大会開幕

高校野球和歌山大会 7月18日開幕、対戦相手決まる

 御坊中央ライオンズクラブ40周年記念誌作成

7月から御坊、御坊中央ライオンズ新役員体制でスタート


この記事についてブログを書く
« 6月議会開会 三浦御坊市長... | トップ | 二階幹事長会見 強靱化計画... »
最新の画像もっと見る