「吾妻橋金龍山遠望」 (東京都墨田区吾妻橋)
春風に舞う桜の花びらがはらはらと、船と水面にと降り積もる。吾妻橋は安永3年(1774)の架橋で、隅田川に架かる四大橋のなかではもっとも新しい。花見に興じた一行が、今戸橋あたりの料亭へと繰り出すところであろうか。屋根船には複数の客が乗っているはずだが、画面には芸者とおぼしき女性の背中と後ろ髪がわずかに見えるのみである。洒落た着物と華やかな鼈甲簪などから、この女性の洗練された容貌まで連想できそうだ。手前に船を大きく配し、それを越した向こう岸に、富士山と浅草寺の五重塔を「遠望」する構図である。
春日井市在住、1935年私的な挿絵等に全て自由にご使用ください。
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