録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

黄金の国ジパング

2019-02-21 17:07:54 | Weblog
※商売の話です。


ここ数日、ようやく白金(プラチナ、以下白金)の市場価格が上がり始めました。もう何年にもわたって白金の価格は下がり続け、一時は金(ゴールド、以下金)の半分程度の取引価格が見えたほど。買いに来る金業者に「白金、上がり目のありそうな噂話とかないですか?」って聞いても「あったらわたしが聞きたいですよ。数年前に会社の先輩から「さすがに白金もこれ以上下がることはないだろう。だからこそ投資のチャンスだ。俺を信じて買え」って言われた白金をまだ大量に保有してるんですから(泣)」とか「うーん、しいて言うなら、日本で宇宙開発でも盛んになれば需要が増えて値上がりもあるかもしれませんね」とか、まぁオフレコにする必要の全くない話しか聞こえてきませんでした。それだけに関係者一同、ほっとしているところだと思います。ただ、今までの値下がり期間が長すぎてまだ多くの人が購入した価格にはほど遠く、今売っても大きな赤字にしかなりません、もちろん当店の在庫も同じ事情です(泣)。「それでもここ最近の中ではマシ!」と在庫を大量に売り飛ばす人がたくさん出ないとも限らず、まだ油断はできません。

一方で先日過去最高?とも言われた価格をたたき出したのが金。上がり過ぎたために一時的に資金確保のためか売りが出たようで、上がりどまりはしていますが、各国の経済的不安を反映してか、需要が衰える様子が全くありません。わたしの商売のような小規模な中古店では金製品から上がる利益はもっとも計算できてアテになる重要なものとなっています。かつて日本ではこの金を使った金製品が大量にありました。所謂バブル景気の時代に購入されたものです。そんな時代が歴史の遺物になったころ、その金製品が「売ればお金になる」として金買い取り専門店がこれまた大量に出現、個人から買い取られた金は多くが景気のいい海外に持ち出され、すっかり日本からは金が枯渇してしまいました。

しかし昨今、黄金の国ジパング再びか、日本に海外から持ち込まれる金が増えているのです。ただし、悪い意味で。
前にもちょっと書きましたが、日本は非常に特殊な国です。多くの国ではネックレスや指輪のような加工宝飾品はともかく、貯蓄・投資対象となる金、インゴッド(人によっては"金の延べ棒"と呼んだ方がしっくりくるでしょうか)に関しては通貨に準ずる存在として購入売却の際の間接税の対象となっていません。ところが、日本の消費税は金だろうと関係なく税が発生します。そのため、専門店なら支払いの際に消費税分が上乗せされます。もちろん本来国庫に納めるべきお金ですが、申告せずに利益にしてしまうケースは後を絶ちません。その税金分目当てに日本に海外で購入した金を黙って持ち込む、ようするに密輸して売りさばくということが行われるようになったのです。かつては「そんなやつもいる」くらいだったのですが、今や笑い話で済まされない量の密輸が行われるようになっています。一般に「密輸」と言えば連想する銃や麻薬と異なり、金という物質自体には違法性がありません。ごく少額なら見逃されるようなので、大規模な密輸だけでなく個人が旅行ついでに気楽に行う場合も多いのでは、と思われます。
税関に登録した金であるかどうか、見抜くのはほとんど不可能です。そうした「知らなかった」取引なら善意の第三者とみなされて保護されるはずなのですが、なにやら揉めたことがあったのでしょうか、一部の大手金取引企業がとうとう「海外のインゴッド100g以上のものは取り扱いません」をサイトなどで宣言する(かなり小さな字ですが)ようになってしまいました。続けば金を取り扱う企業としてダメージは大きいので多分一時的なものと思いますが、大手が自粛を言い出したという影響力は小さくなく、「そのうち海外刻印のインゴッドは一切の取引不可能になるかも」と我々小規模経営の店の間では不安の声が上がっています。ウチも少し在庫があるのですが、調べたところみな刻印が海外、スイスのものです。個人的にスイスと言えば金融関係の信頼大、と思っている(Gも使ってますし(笑))のですが、企業が買ってくれなくなると思うと、うーん・・・。先代から「これ売る時は店閉める時だから」と言われているので、いつでも売れる、という安心感だけ残しておきたいんですよねぇ。

で、そういう空気を読んでか中堅やそれ以下の小規模な金取引企業から「ウチでは大手とは違う独自のルートを持っていますので、海外のインゴッドでも大丈夫ですよ」というお誘いをいただいてしまいました。この業界、ほとんど個人経営に近い小規模金・宝石取引企業って割とあるんですよ。多くはそれまで大手に努めていて主に外回りでわたしみたいな小規模店に出入りしていた人物が、その人脈を利用して独立して起こす会社なんですけどね。ただ、そうした小規模なところは取引先を増やすのが難しくてなかなか新規ルートを開拓できないのですが、今回のケースはチャンスとみたのでしょう。小規模店なら大規模な密輸品が持ち込まれるケースはまずありえないため、後で揉めることはほとんどないと踏んで営業をしかけたのでしょうね。ウチもリスクを分散するため、取引先をあと1つくらい増やそうかと考えてはいます。ただ、個人企業だと来るのは始めのうちだけで、あとは「送ってください」とかこっちの手間が増えるようなこと言い出すところもありますし、何も言わずに会社をたたんでしまう場合もあります。長期視点にたつともう一つ信用できないんですよねぇ。それだと現在取引しているところに迷惑をかけるだけですし、詐欺の可能性も否定できません。なので、今のところある程度実績のある中堅以上のところだけに絞って考えようと思っています。そういうところでも営業は割と頻繁に来ますし。

一番いいのは密輸をなんとかしてもらえること。特に他国のように間接税の対象からインゴッドを外してくれればわざわざ危険を冒して密輸する意味がなくなり、少なくとも個人レベルのお手軽密輸は絶滅するのでこちらとしては安心して取引できて万々歳! なんですが、どうも財務省も政府も消費税に関しては税率を上げるかそうでないか、しか興味がないようで、金を外す予定はなさそうです。むしろ税率アップの対象になってますます密輸のうまみが増大し、増えることが予想されます。なんとかしてもらいたいものです。
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