破産手続きをすすめる現経営陣・再生を目指そうとする旧経営陣。両方の動きが注目されている船井電機ですが、とうとう民事再生法の適用申請が棄却されてしまったようです。
単純に考えると、再生派が架空の話まで作って申請を行っていた、などの過去の行動がマイナスに働いたゆえにこの結果を生んだのでは、という気がするのですが、そもそもの再生計画が出資者の賛同を得られないような無理のあるものだったから、という話もあるようです。まぁかなり無理やりにでもしなければ再生の道も無いほど現経営陣による手続きは粛々と進行している、ということなんでしょう。これによって船井電機の破産はほぼ決定した、と見ていいでしょうね。一応"ほぼ"を付けましたが、法律を使った再生の道はもう閉ざされていますので、もうあり得ないでしょう。それに船井電機がなくなったからと言って混乱するほど日本メーカーの市場影響力も無いですから・・・。あとはただ完成を見守るのみ。いくら現経営陣のやり方がひどかった、と言っても裁判所が支持するのは法的に正しいかどうか、ですから。
本日の朝日新聞の連載は船井秀彦氏と上田智一元社長の証言ですが、見事なまでに食い違ってます。上田氏が報告したと主張している資金流出について船井氏側は一切報告がなかったと証言されています。また36億5千万円で買収したミュゼプラチナムについては100万円で売却しているとの証言も出てきました。船井氏としては準自己破産は不動産や事業の売却しか関心のない正体不明の経営陣の暴走を止めて船井が蝕まれるのを防ぐ最後の伝家の宝とのお立場でした。
確かに民事再生法を申請している陣は旧経営陣とはいいがたい面々もいますね。そこは軽率な言葉の使い方でした。ただ、いないわけでもないことと、構図として一言で済んで分かりやすかったもので。
船井氏側の主張を100%と信じることはできませんが、現経営陣がそもそも肝心の電気事業を立て直す意欲はなかった、と言うのは間違いなさそうです。
今日は東洋経済に取り上げられてました。
https://toyokeizai.net/articles/-/865860
朝日新聞の特集では出てきていない公認会計士の名前も出てきています。ファンド側経営陣が執拗なまでに破産の回避をもくろむのが船井電機本社(大東市の大阪外環状線をドライブしてると拝めます)の土地売却の利益をむさぼろうとしているという観測は説得力があると思います。
船井電機の転落の元凶の一つ、ミュゼプラチナムのほうもグダグダでついに従業員のストライキ状態に陥ってしまっています。。
https://toyokeizai.net/articles/-/866055
そりゃ働いても給料もらえないんじゃストもやるわな。
船井電機では電撃的な準自己破産申告、それも給料日手前の無払いでしたっけ。ミュゼプラチナムも近々同じことになる・・・って考えちゃうと邪推ですかね。
法律上は間違ってないんでしょうけど、違法でなきゃなにやってもいい、って進め方してるように見えます。信用なくしそう。
船井秀彦氏側も準自己破産は「最後の手段」「伝家の宝刀」と言われてました。すぐに認められたのも周到な準備をされてのことで、そうでもなければ裁判所だってすんなり認めたりはしないです。現にファンド側の民事再生法申請はしっかり精査の上で却下されてますから。あのまま何もせずファンド側のやりたい放題を許していたら資産を身ぐるみはがされてしまって給与未払いだけでなく取引先の支払いもままならず連鎖倒産が出ていたのでは?と思ってます。どのみち倒産は免れない状態だったので、ハゲタカやハイエナに食いつくされる前に準自己破産して管財人の下で流出しそうな財産を保全するのが従業員のみならず取引先の被害を最小限にする手段だったと思っています。従業員の支援に関しても給与は未払賃金立替払制度である程度救済(放置していれば何か月も未払いだったかも)されてますし、再就職に関しても準自己破産の直後から行政が動いて大阪府、地元の大東市、厚労省(ハローワーク)が支援しています。(もちろん厳しい情勢ですが)ちょっと船井氏側に肩入れしすぎてますかね?
ミュゼプラチナムに関しては船井電機以上に経営権が転がされていて悲惨な結末に向かっているように思えます。何も手を打たなかった場合の船井電機の未来図の一つなのかもしれません。
準自己破産に関しての知識はないのですが、あの時点では打てる手段としては最善に近いものだったんでしょうね。反対派にしても、船井電機がこんな急になくなるのはイヤだ、という感情面が一番の理由であるようにも見えますし。全盛期のOEMを一手に引き受けていた時代と比べると近年の経営状況が悪かったのは明らかですし、だんだん、こうなったのも仕方がないか、という気になってきています。解散した方の手腕は賛同できないにしても。
法人の準自己破産は取締役会が破産の意思を統一できない場合や取締役が逃亡(夜逃げ?)ような場合が想定されていて通常は中小零細企業が申請するようですが、船井電機のような大企業が申請するのは極めてレアケースとのことです。通常の破産に比べて原因となる事実を疎明する必要や破産手続きの費用の立て替えなど申立人の負担が大きい制度となっています。
https://corporate.vbest.jp/columns/8034/
負担の重さを考えるとやはり準自己破産の決断は伝家の宝刀であったようですし、裁判所も納得させるだけの資料を提出していたということなんだと思います。
準自己破産の報道が急だったので何で唐突に?と思えてましたが調査会社には夏ごろから怪しいという情報があったようです。
突然の破産「船井電機」に起こっていた異変
https://toyokeizai.net/articles/-/837532
地元に近いこともあり続報が気になります。
われわれの視点だと、急に決まったかに見えた船井の準自己破産も、経営側では着々と準備を進めていたんでしょうね。それでも、従業員などに事前の告知なしでやってしまった、は規模からして許されない行為とは思います。