録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

底辺も極めれば長寿となる プラン9フロムアウタースペース カラーライズ版BD

2020-07-08 23:22:56 | 特撮・モンスター映画
ダメ映画をあえて愛する、という層は少なからずいるわけで、彼らにダメ映画を語らせると必ず何本目かに上がってくるのがエド・ウッド監督作品の「プラン9 フロム アウタースペース」。過去に「史上最低の映画」として取り上げられたこともあり、かつ有名映画監督の作品の中で再現されたこともあって知名度は好事家の間では高く、カルト人気作品のある意味頂点を極めた作品です。まだ突っ込みどころがチープな特撮やセットにある前半はともかく単純なカメラワークと納期に間に合わせるためかやっつけ感満載の後半はわたしの目から見ても繰り返し見ているとつまらなく、どう頑張っても手放しでほめる作品ではないですが(そう考えると設定をパクッたと言われる「モンスター・パニック」はうまくやっているなぁと思う)、知識として手元に置いておきたい作品であるのは間違いないです。
出来の悪い作品なのに歴史の中に埋没せず、愛され続けた本作はとうとう最新技術によってHDリマスター化、それだけでなくモノクロだったのになんと着色・カラーライズ化され、今年の1月には東京などごく一部の地域で「サイテー映画の大逆襲2020!」と銘打った上映が行われたのです。新型コロナウィルス騒ぎの前のことだったので、おそらくは滞りなく上映会は行われたのでしょう、うらやましい。そしてそのBD・DVD版が、ついに発売されたのでした。


 ちなみにAmazon Prime Videoでも視聴可能。
モノクロ作品のカラーライズ、と言っても実施された作品数はまだそう多くはないですが、どちらかというと派手さを抑え古めかしい映像を生かした空気感にしたがるもの。一方本作は比較的派手目な色使いを行い、質感を出すことでむしろオリジナルのチープさを補おうとする配慮が感じられます。作中で活躍する大男のグールが、あえて色合いを浅くすることで周囲の人間と比べて生命観を薄くしている点などはなかなか感心させられます。
ただ、謎の色使いが一つ。宇宙人の円盤に乗り込んだ地球人一行がその宇宙人に「愚か者 バーカ!」(字幕より)と罵った直後にぶん殴られる際、宇宙人が顔も手も、肌が露出している部分が全部緑色になってしまうのです。最初は壁の色が移ったミスか? と思ったのですが、カットが変わっても口から出る血をぬぐうまで緑色になりっぱなしのあたり、わざと緑にしたのでしょう。地球人一行が円盤に乗り込む直前に「緑の小人が飛び出したら有無を言わさず撃つぞ」とあるので、宇宙人が地球人に似た姿をしているのは化けているだけで、ダメージを受けると少しだけ正体に近づく・・・という割とよくある演出を加えたのかも知れません。監督の許可も得ずに勝手にやってもいいのかなぁと思いますが。
また、現代の劇場で公開を想定したためか、映像は上下がカットされたビスタサイズとなっています。これは撮影側が本来それトリミングを想定して撮影していたから、らしいです。それがよくわかるのが序盤の飛行機の操縦席シーン。本作を代表するチープなセットである操縦管代わりのなぞの造形物(としかいいようがない)がトリミングすると映らなくなり、若干映画としての完成度はあがります。
ただ、カラーライズやトリミングのような修正を嫌う人は当然います。それを想定してか、ボーナストラック扱いではありますが、モノクロでスタンダードサイズのまま、HDリマスターしただけの版も収録されています。今まで発売されたDVDの画質はかなり悪かったのでこれは嬉しい。それ以外にコレクターの心をくすぐるのが監督エド・ウッドの8ミリによるプライベートフィルムの収録。エド・ウッドは女装が趣味だったといわれていますが、それがバッチリと映ってています。パーティーのシーンもあるので一見余興のためにも見えますが、下着にガードルまでついているかなりガチなもので、パーティー用のコスプレとは思えません。女装趣味の噂を裏付ける貴重な映像です。唯一残念なのが収録されているオリジナル予告編がフルスクリーンでなく画面の一部しか使っていないもので胡麻化していること。多分HDリマスターでないせいなんでしょうが、アップコンバートでいいからフルスクリーンにして欲しかった。

上映会「サイテー映画の大逆襲2020!」において「プラン9 フロム アウタースペース」は二週目でした。その一週目の作品も今回同時にHDリマスターされ、BD・DVD版が発売されました。その作品が「死霊の盆踊り」です。


 これもダメ映画の代表格と言われる作品なので、わたしも本作のタイトルは知っていました。が、未見でした。それはこのタイトルのつけ方が気に入らなかったからです。海外作品なので「盆踊り」が本来の意味で使われていないのは確実、なのに「盆踊り」のタイトルをつけているのは作品を「あざ笑え」と紹介者が言っているようにしか思えなかったからです(そして、その予想は多分間違っていない)。わたしはダメ映画と言っても楽しみ方は人ぞれぞれと考えており、あざ笑えばいいとは思っていません。わたしなどはこういう作品が作られた背景を調べてそれ込みで鑑賞することを楽しみとしており、楽しみ方の「押し付け」は感心しないという意見です。ですが、それでも一度は見ておこう、手元に置いておきたいという欲求もあり、買ってしまいました。この時点でタイトル以外全く情報を持っていません。ちなみに本題は「ORGY OF THE DEAD」。死者の乱交というところでしょうか。
内容は・・・そしものわたしもフォローしようがないものです。いろいろ書いているもののホラー作品しか売れない小説家が新作の構想のために恋人を連れて自動車で墓地へと向かう途中事故に合い、気が付くととらわれていて、そこでは美女の死者たちによる謎のエロティックな踊りが次々と披露されていたのでした・・・。冒頭、どこかで見たことのある顔と語りから始まります・・ってこの人、「プラン9 フロム アウタースペース」(以下プラン9)でも冒頭に出てきたクリスウェルじゃね? ひょっとして・・・とパッケージの監督欄を眺めると知らない人(A・C・スティーヴン)でしたが、原作・脚本としてエドワード・D・ウッド・Jrの名が。これは「プラン9」の監督と同一人物です。この「死霊の盆踊り」も監督はしてないもののエド・ウッドの作品だったのでした。
見るところは全くありません。クリスウェルとその相方というべき美女、冒頭のカップルの前で入れ替わり立ち代わり美女が登場し、とにもかくにも途中から脱いでトップレスになって乳を揺らす踊りを踊る、ただそれだけです。ストーリーも全く展開せず、最低映画と言われても仕方ありません。ですが、一応フォローしておきます。ネットで軽く調べただけなのですが、Wikipediaによると最初から低予算で性表現や裸体を映すことを狙った作品であること、当時はそうした隙間市場狙いの作品がいくつも作られていた、ということです。つまり「死霊の盆踊り」は一般作品とではなく、そうしたライトなエロ(ソフト・コア)作品として当時の同分野の作品と比較しなければ正当な評価はできない、ということです。狙いが違うのですから。
ただ、同分野の作品はDVD化などされておらず、「死霊の盆踊り」とて本来は数ある使い捨ての映画として消えてしまう程度の存在だったのでしょう。にもかかわらず発掘されてしまったのはのちにある意味ビッグネームとなってしまったエド・ウッドがかかわっていたせいと思われます。それゆえに現代まで生き残ってしまったのは良かったのか悪かったのか。基本ダメ映画としても評価するべきじゃないな、と思ったりします。
おそらく本来の映像はスタンダードサイズですが、ビスタサイズ相当になるように上下がカットされています。こっちはオリジナルサイズが収録されておらず残念。ただし、付録は豪華。オーディオコメンタリーはエド・ウッドの本を書いたことがあるルドルフ・グレイと、「バスケット・ケース3」の監督フランク・ヘネンロッターという組み合わせ。さらに映像化は実現はしなかったものの「死霊の盆踊り2」のシナリオも冊子として同梱されています。


今年、夏休みどうしようかなぁ。東京はまた近寄るにはきびしい雰囲気を出し始めたから遊びに行けそうにないし。それに最近ウチの母親が足が痛い、とか言い出して杖つきながらじゃないと歩きづらい症状なんで一人でおいておけないんですよ。かと言って万が一を託せる人もいないし、おとなしく休みなしで当分過ごすか。
コメント (3)   この記事についてブログを書く
« 切り替え機をHDMI対応に変え... | トップ | うちの母親が鍼灸医に行った話 »

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
”最低映画”で良いと思います(笑) (ドラピー)
2020-07-09 15:35:38
krmmk3さん、みなさん、お久しぶりです。
AMDとB級、Z級映画を愛して止まないドラピーです。

>krmmk3さん
どうもご無沙汰しております。
さて、コメントタイトルの件、早速自己フォローさせてください。
『死霊の盆踊り』最低映画でOK(褒めてます(笑))

尼崎の塚口サンサン劇場でプラン9と入れ替えで上映されてましたのでスクリーンで鑑賞。死霊の〜の方が先に上映だったかな。
もうね、大好きですよこう言うの(笑)
とにかく意味不明で、作品の目的や趣旨がいっさいわからず苦痛でしかない上映時間。
ホラーっぽいのに全然ホラーじゃない、ただただ裸踊りを延々観せられるだけ・・・これはいったい・・・(笑)
『死霊の盆踊り』については作品名とある程度情報を知った上での鑑賞でしたが、いやー舐めてました。覚悟の上での鑑賞なのに苦痛で苦痛で。

でもね、だんだんと「あれ?これマジで裸踊りの品評会みたいな作りやな。おねいさんたちのおっ◯いの揺れを愛でる、鑑賞する作品なのでは?」と思い始めたら、後はもう可笑しくて可笑しくて(笑)
仰る通り正にソフト コア、ソフト エロな作品なのでしょう。そう言う目で観ると、まぁ、滑稽というかなんというか・・・。
踊り子さんそれぞれの”踊りの技量”が楽しめる作品です。
「このおねいさん、プロやな」とか「いや、どこでスカウトしてきたのこの娘(笑)」みたいな人まで様々で。当時はこう言うジャンルの作品の需要があったんやなぁ〜、とちょっと感慨深いものがあります。
私、買いますよ。円盤(笑)
もはやコレクターズアイテムとして所持しておかねばならない使命感すら感じてます←
Unknown (Beep)
2020-07-09 22:27:56
ダメ映画っていうより低予算の映画かな?とカメ止めとか良かったなぁ
莫大な予算で爆死した47RONINとかユニバーサル100周年とかブチ上げたバトルシップとか嫌いじゃないw

相変わらずのコロナで自粛ぎみながら少しだけ映画が見られたので
ドクター・ドリトル:字幕版が時間が合わなくてドルビーシネマ、さすがに音が良かったです。
アイアンマンでお馴染みのロバート・ダウニーJr.がドリトル先生、犬の吹き替えがスパイダーマンのトム・ホランド
日本語吹き替えはロバート・ダウニーJr.が先日亡くなった藤原啓治さんなのが尊い

AKIARA 4KリマスターはIMAXで、折角なので一番でっかい池袋のグランドシネマ・サンシャイン、
レイト時間なのにそろそろ終わりなので割とお客さん多かったですね。
コロナ対策で退場時にロビーが混まないように前の方から順に少しずつ係員に誘導されて退場したり。

エジソンズ・ゲームは普通の小さな箱でしたが、直流発電を推すエジソンと交流発電を推すテスラのお話。
エジソンがドクター・ストレンジのベネディクト・カンバーバッチに秘書がトム・ホランドw

明日からはIMAXでダークナイトはじまるので、そのうちいつかは池袋で見に行こう。

出かけられないとなるとアマプラでソフトを物色するとか。
(スマホの契約変えたらアマプラ1年付いてきたけど、まだ何も見てないな)

そういえば
https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1261419.html
出てましたね。
Unknown (krmmk3)
2020-07-10 22:08:58
>ドラピーさん
お久しぶりです。AMDとZ級映画を愛することなら負けてないkrmmk3です。
劇場に見に行きましたか、うらやましいです。まぁ予備知識ゼロで見ると上映時間が苦痛ですよね(^^;)だからこそぜひ手元に円盤をおいてください。これなくしてコレクターは名乗れない!

>Beepさん
低予算の苦しい作りだからこそ愛される駄作になる、という見方もあったりします。高予算でコケたやつって駄作感よりも失敗作感が優先しちゃいますし。
最近、映画館行ってないなぁ。AKIRAは見たかったんですけどね。ホント出かけてない。とりあえず衛星放送で特集ものを録画しまくってます。
TMPG Render、実はいまだ旧旧版の4を愛用したりしてます。なんだかんだH.264ばかり使ってるのでこれで十分だったり。Friio 4Kが入手できたら必須になるのかなぁ。

コメントを投稿

特撮・モンスター映画」カテゴリの最新記事