録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

キング・コングにあらず、キングコングなり~キングコング: 髑髏島の巨神~

2017-03-28 16:33:13 | 特撮・モンスター映画

最近の前売り券はこんなの


何をもって幸せを感じるかは人それぞれ、また同じ人であったとしてもその条件は一つではないはずです。ですが、「あるべきものがあってくれる」「あって欲しいと思うものが来てくれる」ことはどんな幸せでも外せない条件であると思います。そういう意味では、この数年、毎年怪獣映画が見られるという時間を過ごしていることは、この上ない幸せと言えるのかもしれません、わたしにとっては。

と、いうわけで今年の一本はアメリカ製怪獣映画の元祖、「キング・コング」の流れを組む「キングコング:髑髏島の巨神」です! 怪獣映画の王道と言えばやはり都市に出現して人間の軍隊や敵対する怪獣を相手に大暴れする、というものですが、本作のような「孤島もの」もまた王道の一つです。実際1934年に製作された「キング・コング」の続編「コングの復讐(邦題ではこうだが、原題はSON OF KONG~コングの息子)」は前作でのコング暴れの責任で莫大な被害請求を突きつけられた主人公のデナム一行がその支払いの資金を稼ぐため、凝りもせずに再びスカル島を訪れた・・・という内容となっており、ストーリーの大半はスカル島内で展開する元祖孤島ものとなっていました。これはあまりに前作がヒットしたゆえに映画会社から一刻も早い続編をと要求されたにも関わらず予算も半分以下と言われるほど大幅に削減されたために時間と金の両方がなく、スタッフとやる気がでなかったという理由があったためのようです。孤島ものは割と簡単にセットを低予算化できるうえに人を襲うシュチュエーションが描きやすいなどの利点もあるため、それ以降もアメリカやイギリスでは多くの孤島や同様に隔離された空間で怪獣や恐竜が登場する低予算冒険ものが作られました。一方日本では、というと意外に少ないのです。せいぜい「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」「怪獣島の決戦 ゴジラの息子」「決戦!南海の大怪獣」のほか、毛色はだいぶ違いますが「マタンゴ」くらいなものでしょうか。あとは思いつきません。やはり日本では怪獣は人を襲うより都市を破壊するほうが、特に子供のウケがいいと判断されたのか、これ以降の作品での予算削減方法は"破壊シーンは旧作の流用""怪獣同士のバトルシーンを増やし、それは郊外の何もない原野や建設予定地で"という流れになっていきます。ただし、ウルトラシリーズのようなテレビ特撮では「怪獣無法地帯」など孤島ものも多く作られています。それだけに「孤島ものこそ洋画怪獣の本領」という心理がわたしの中では勝手に働いてしまいます。「ジュラシック・パーク」シリーズも第2作を除き、この孤島ものにあげられるでしょう。

ただ、ものがキングコングなだけに少々不安が。先にあげた「コングの復讐」にしても時間に予算にやる気、すべてが前作に劣っていたとはいえ、怪獣の人形アニメートはフルアニメートしていないうえ個性が足りず、迫力に欠けますが、「キイコ」あるいは「キコ」のコードネームがつけられたコングJrだけは愛嬌のある動きを見せてくれたので及第点は十分つけられます。それ以上に不安にさせてくれるのが、当ブログでもものすごく昔に取り上げた誰も知らないだろう「キング・オブ・ロストワールド」という酷い映画が本題「キングコング:髑髏島の巨神」と設定が似てまして。パッケージのデザインも2005年度版「キング・コング」そっくりにしてあるのに出てくるコングはニセモノとはいえ、目つきもCGの動きも悪い、お世辞にも褒められないもので、肝心の怪獣バトルも始まったと思いきやフェードアウト、人間たちがドタバタしたり盛り上がらない格闘している後ろの方でチラチラ映っているだけ、という期待を裏切るにもほどがある、というものでした。それに本題の映画のVFXを手掛けたのはあの「GODZILLA」(2014)のメンバー。あれも兎に角怪獣バトルをはっきり描きたがらずにとことんヤキモキさせられる映画だっただけに、どうしても拭えない「キング・オブ・ロストワールド」感。まぁあんなもんと比べるのも失礼というものですし、何よりそんな暗黒面に堕ちたマニアしか見ない映画を真っ先に連想した人間が海の向こうにいるなどと夢にも思わずに作ったと思いますが。
しかし、それは全くの杞憂。本作でのコングは登場も画面での映され方も隠す気の全くない、常に大写しに描かれるものとなっています。どちらかと言えばゴリラなど人に近いサルをイメージさせられる2005年のキング・コングとは違って動きは人に近く、それでいてサルの運動能力を31mという巨体で保った、まさに怪獣という印象です。序盤でいきなり軍のヘリコプター部隊に出血などの傷つきはするものの、いとも簡単に全滅させる破壊力! これは同じく軍用ヘリにほぼ一方的に攻撃を受け大量出血させられて死亡した「キングコング」(1976年)への意趣返しでしょうか。あんなのとは違う、兎に角今回のコングは強いんだ、強さで君臨する王者なんだ、とする意思が伝わってきます。本作の敵怪獣は「髑髏クローラー」と劇中で名付けられたトカゲモドキのうち、「ビッグワン」と呼称されるコングに匹敵する巨体のもの。数mクラスの小型のものを含め、なぜか全員後ろ足に相当するものがない、二本足という妙なデザインとなっています。これは「キング・コング」1933年度版に登場した足が前足しか画面に描かれていなかったトカゲをモチーフにしたから、という話ですが、普通はそこまで気にしません。ティラノサウルス型恐竜は2005年度版で使われたので使いたくなかったのでしょうが、それにしても選出がマニアックです。わたしなら超巨大ヘビとかにしたかも。他にも日本の「キングコング対ゴジラ」からか大ダコとの闘いもあったりして、かなり過去のコング映画を意識して作られています。

個人的には大満足でした。ただし、映画のテイストとしてはむしろB級映画のそれそのものです。あやしい研究機関、コングに部下を殺された恨みを晴らそうとする軍人、島のことを全部知っている解説役の、主人公一行よりずっと前から住んでいる遭難者など、ストーリーはみなどこかで見たような設定の塊です。しいて言うなら主要登場人物の一部があまりに呆気ない死に方をするくらいですか。したがって本作はコングの暴れっぷりや洋物怪獣の好きな人には満足度の高い作品ですが、映画作品としてみた場合大したストーリーがあるわけでもなく、決して万民が望む作りではありません。まして「シン・ゴジラ」を見て「これが怪獣映画だ!」と思った人にが満足する中身では決してないでしょう。ですが、B級テイストで作られたことも踏まえてそれも当然のこと。本作はやはり前哨戦、新しいコングの紹介作でしかないのです。原題は「KONG: SKULL ISLAND」。KINGが付いていません。日本ではタイトルにキングの文字を付け、「キングコング」としていますが、中黒の入る「キング・コング」ではないあたり、やはり亜流の存在としています。コングはあくまで髑髏島という一部の地域だけの王であり、まだキングの冠を得るに相応しい存在では、あの世界ではまだ不足なのです。本作中にある機関名モナーク、「1954年の核実験はとある生物を殺すために行われた」というセリフ、古代巨大生物に振られた"MUTO"というルビ、地球の地下は別世界の生物圏とつながっているという説を唱える学者、いずれも必ずしも本作を単体としてみる分には不要なものですが、コングがキングの冠を得る、まだ作られていない展開のためにはどうしても必要なものでした。そこを随所に描き続け、拍手を贈りたくなるような衝撃のラストをちゃんと用意してくれたことこそ、映画としての本作の価値というべきでしょう。

次は、ヤツが、来る・・・

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8 コメント

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Unknown (椎名門)
2017-03-29 11:22:48
キングコングは前売り買っているので見に行きます。
というより今週見に行く予定でしたが、土日にここ数年で珍しい高熱(38.5度以上)を出して寝込んでました、トホホ。
コングの他にもパッセンジャー、サクラダリセット、3月のライオン、黒バス等前売りあるので早く見に行かないと、状態なのに時間ないのに風邪までorz
まあそれは置いておいてコングはTVのインタビューか何かで日本の特撮オマージュしたとかなんとか言っていたのを見て、その気になりました。
であればむしろB級感があるのは狙い通りでしょう。
シン・ゴジラは見なかったのですが、GODZILLAは怪獣映画としては主に映像的に物足りなかったですし。
そもそも映画のジャンルとしてはアクション系好き(ねっとりラブロマンス系以外大概見ますが)なので派手な演出大好きです。
ただし必殺技合戦になりがちな平成ライダー系より昭和ライダー、ガンカタな宇宙刑事ギャバン系(あの金属そのものな光沢の装甲が好き)…といってニュアンスが伝わるかわかりませんが、そんな方向性です。
というより子供のころに見ていたものの方が受け入れやすいのでしょうね。
なおアクションではストーリーはあまり気にしていません。あっけらかんと童心に帰ってボケーと画面を見続けさせるだけの魅力があればいい、と思ってます。もちろん、ストーリーもいいに越したことはないんですがね。
Unknown (krmmk3)
2017-04-01 22:22:31
>椎名門さん
時間さえあれば他にもみたい映画は何本もありますけど、これがなかなか。
コングの動きが人間のそれに近いところ、ヘリコプターの高度が妙に低くてコングの手が届く点などは日本特撮へのオマージュと言えるかもしれません。どちらかというと映画よりテレビ特撮畑の監督さんなのかな。
今までのアメリカVFX怪獣ものは、映像をごまかすために雨中バトルだったり、人間の方を中心に映したりとやや物足りない面はありましたね。今回のキングコングはしっかり昼間のシーンも多いですし、やっとアメリカも怪獣の描き方がわかってきたかな?という印象です。
なんとなくわかります。「海賊戦隊ゴーカイジャーvs宇宙刑事ギャバン」見るとギャバンの方が何倍も格好良く感じる感覚ですかね。アクションものはストーリーは凝らない方がいい場合も多いですしね。それよりは演出、画面の見せ方でしょう。
Unknown (Beep)
2017-04-02 01:54:23
遅ればせながら見てきました。
例のGODZILLAに比べると何倍も満足できるものでした。
(↑あれ何で日産のパイクカー出したし。凝るところ間違えてる罠)
劇場のコンセッションでシン・ゴジラのDVD売ってた。ペアチケットホルダー付らしい

アクションと言えば、予告で見たキング・アーサーが監督ガイ・リッチーで楽しみ。
前売り券もアリだけど、最近はネット以外で(特に封切り週の週末など)良席をとるのが難しいので
特典次第にもなりますがムビチケもアリなんでしょうね。
Unknown (krmmk3)
2017-04-03 23:12:59
>Beepさん
やっとアメリカも怪獣映画のなんたるかが分かってきたという印象です。やはりアクションものはああですね。
わたしは前売りでムビチケでした。まぁ単なる前売りだと不便になってきているのも確かですから、いいことだと思います。
Unknown (椎名門)
2017-04-14 01:52:05
代休とってようやく見てきました。
想像以上に日本的でした。
というか外人使った日本の特撮?とか思っちゃうくらい。
んで最後のあれはやっぱり日本のアレ何ですかねー?
なんか日米合作とか期待しそう。
Unknown (krmmk3)
2017-04-15 00:06:49
>椎名門さん
見せ方とかかなり日本的なところ、少なくなかったですね。やはり最後のアレを意識した結果でしょう。
2014年のもある意味日米合作でしたが、本番の2020年はさすがに日本排除でやりそう。
Unknown (Unknown)
2017-04-15 20:38:57
>一方日本では、というと意外に少ないのです。せいぜい「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」「怪獣島の決戦 ゴジラの息子」「決戦!南海の大怪獣」のほか、毛色はだいぶ違いますが「マタンゴ」くらいなものでしょうか。あとは思いつきません。

日活の「ガッパ」も前半孤島に行きますね。日本人が黒塗りした土人も出てきます。それにしても火山の噴火が中学生が作った自主製作映画みたいにショボかったw
Unknown (krmmk3)
2017-04-16 23:19:06
>2017-04-15 20:38:57さん
前半だけでも孤島なら、間違いなく原点は「モスラ」でしょう。ガッパの特撮を担当した渡辺昭氏も参加してますし。
なお、個人的に「孤島もの」は後半も都会に行かない、特に怪獣やモンスターや恐竜が都会にいかない作品に限定したいです。

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