録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

世紀の暴挙 ミュータント・フリークスが日本語字幕付きで放送

2019-02-07 23:37:14 | 特撮・モンスター映画
昨年のことですが、映画情報サイトに「ビルとテッドの大冒険、新作製作決定」などの見出しが踊りました。やりたい、という噂はそれ以前から出ていましたが、作られることは正式に決まったのです。「ビルとテッドの大冒険」は若かりし頃のアレックス・ウィンターとキアヌ・リーブスのコンビで撮った冒険コメディ映画で、好評だったらしく第二作「ビルとテッドの地獄旅行」も作られました。今度の新作も三度アレックス・ウィンターとキアヌ・リーブスのコンビが主役で、「地獄旅行」に出演したウィリアム・サドラーも出演するので完全な続編となりそう。最近はこうした過去の名作の数十年後を描く続編映画が流行っていますから、その波に乗ったのかも知れません。

ただ、特に「ビルとテッド」に思い入れのないわたしのこの話を聞いた時の感想は「キアヌ・リーブスにアレックス・ウィンターにウィリアム・サドラーかぁ。ビルとテッドもいいけどアレを日本語字幕付で見られるようにしてくれないかなぁ」



アレとは、原題を「FREAKeD」、日本のダメ映画ファンの間では「ミュータント・フリークス」の名で知られる半ば封印された映画のことです。先のアレックス・ウィンターが主演だけでなく脚本と監督まで手掛け、キアヌ・リーブスやウィリアム・サドラーの二人はもちろん「青い珊瑚礁」のブルック・シールズ、ドラマ「特攻野郎Aチーム」が有名だそうですが個人的には「ロッキー3」のライバル役の方が印象が強いミスターTら豪華メンバーをそろえて無駄遣いしたバカ映画と言われています。大量に登場するフリークスを手掛けたのは「ポルターガイスト2」などでも特殊メイクを担当したスクリーミング・マッド・ジョージ、二か所しかありませんがストップモーションアニメ(というよりクレイアニメ)を「ロボ・ジョックス」などを担当し当時最高の技術者の一人だったデビッド・アレンが行っています。どちらも技術的には素晴らしいのですが、作品の中身を見るとやっぱり無駄遣いとしか言いようがありません(もっともデビッド・アレンは割としょうもない作品でもストップモーションアニメの仕事なら平気で引き受けていたようですが。「SFレーザーブラスト」とか「フレッシュゴードン」とか)。

衝撃的なのが、先ほどから何度もキアヌ・リーブスの名を出してはいるものの、映画のエンドロールのキャスト一覧のなかにその名を見つけることはできないことです。出演しているのは確かなのですが、その役柄がなんとドッグボーイ。毛むくじゃらの顔をした犬のフリークス役なのです。つまり、顔が全く出ないのです(笑)。おまけになにか事情でもあったのか、作品中盤でリスを追いかけて一行を勝手に離れ、そのままクライマックスにギリギリ戻ってくるまで一切登場しないという扱いなのです。「出なかったことにしてくれ」と頼まれたのか、大きな仕事が別に入って出られなくなったので名前を外してもらったのか解りませんが・・・。クライマックスは無事人間に戻れたフリークスたちがどんどん姿を見せるシーンがあるので、ひょっとしたらここで初めてキアヌ・リーブスを顔出しで出演させ、「おお、ビルとテッドがそろい踏みだ!」ってファンを喜ばせる演出を用意していたのかも知れません。多分そうなんでしょうが、まぁそれが台無しになったのもこの映画が半分封印された一因かと。



この映画、20世紀フォックスの制作であったことや人気スターが出演することもあって一度は日本での配給も決まりかけたらしいのですが、聞いた話によると20世紀フォックスの方から取り下げがあったために上映されなかったとか。アメリカの上映も限られたわずかな上映館で行われただけだったそうで、公開前に失敗作扱いされてしまったようです。そのまま20年以上が経過し、日本では一部の腐ったマニアが知るだけの存在となっていましたが、内容を把握している人はその中でもさらに少数でした。なにせ、日本語字幕も存在していませんでしたから。コメディ映画は原語だけでは難しいのです。わたしも紳士のたしなみとして輸入してこの映画のDVDを所有しているのですが、わたしの英語力などしょせん考えたら追い付かない程度のもので、聞き取れる単語を拾って間を魂でつないで強引に訳しながら感じるしかないのです。他はそこまでしてみたい映画は比較的単純なストーリーのものばかりで台詞を理解できなくてもなんとかなったのですが、コメディはわざと訛らせたり早口でしゃべったりするので聞き取りづらく、聞こえたセリフもストーリーを進めるものなのかただのギャグなのか区別するのも難しく、ましてそのギャグはその名も高きアメリカンジョーク、並以下の英語力では太刀打ちできません。なので飛ばし見しただけで中身を理解していませんでした。なので一日も早い日本語字幕付き映像ソフトが出るのをまって早数年、忘れていたところに先のビルとテッドの話が出てきて再び調べていると・・・。

なんと、2019年の2月にCSのザ・シネマで放送されるというではありませんか。厳密にはそれに先立って昨年のTOKYO COMIC CONで「町山智浩のVIDEO SHOP UFO」というザ・シネマの番組の公開収録と称して先行公開されたようですが、その時点では日本語字幕はなかった、という話です。しかし、今回CSでの放送ということで、ついに日本語字幕付きで2月6日に放送されることになりました(昨年末にも放送されており、今回のは再放送だそうです。気が付かなかった、不覚)。今更この映画を取り上げるなんてまさに暴挙、超常現象にも等しい奇跡です。いや、これが楽しみで楽しみで。その少し前から天気が崩れがちでドロップが多く発生しており、無事録画できるかどうか気になっていたんですよ。なにせわたし、こういう時猛烈に運が悪いのを自覚してますから。しかし、録画は全く問題なく終了、じっくりと堪能することができました。





えー、なんといいますか、まぁ・・・。



日本語でセリフを理解しながら視聴することができてよかったね、わたし! 長年の夢がかなったよ!! ってなもんです。序盤はいいんですよ、日本語字幕さえついていればわかりやすいギャグ、テンポのいい展開、まぁ笑えます。しかし後半は本気でグダグダ、英語だけで見ていた時もそうでしたが、日本語字幕ついても同じでした。これは、本来ストーリーの中核にいるべきだったドッグボーイが抜けてしまってその場の勢いでやらざるを得なくなったせいじゃないかな? などと思ってます。そう考えると、この映画が失敗したのはキアヌ・リーブスが悪いってことですね。ですがそのおかげでカルト化し、中途半端に人気が出て、結果ビルとテッドの新作が作られることになった(町山智浩氏の発言より)んですから、結果いいほうに転んだといえるのかなぁ。



確か今月中にもう一回くらい放送あるはずです。それにせっかく日本語字幕を作ったんですから、ひょっとしたら日本語版DVDが発売されるかも知れません。中身はデビット・アレンのクレイアニメの妙以外はお勧めできませんが、ダメ映画の一つの在り方として手元に置くのも一興と思います。
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