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録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

あえて反論 Savage2000は名機だった

2012-03-19 23:06:44 | 意味なしレビュー
※反論、とか書いてますが、たいしたことは書いてません。読み流してください。

Ascii.jpサイトで密かに楽しみにしているのが、大原雄介氏の

ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情

という連載。タイトルから読むとIntelやAMDからCPUのロードマップが公表されるごとに今後のCPUのアーキテクチャやスケジュールを掲載する連載のようだし、本題はソレだが、それだけでは連載形式では続けられない。と、いうわけで、最近はもっぱら過去のCPUやGPUを取り上げ、その周辺事情などを紹介するケースが多い。人間は自分の知識を刺激されると快感を覚える生物なのはご存じの通り(?)。と、いうわけで毎回楽しみにしている。なかでも最近の「黒歴史」シリーズは失敗したCPU・GPUを取り上げるものなので刺激が強い。やはり成功より失敗の方がよく覚えているものだからである。そして今回のテーマは

不出来なドライバが息の根を止めたSavage 2000

そのうち来るだろうな、という確信はあったし、Savage2000が失敗したGPUであったことに異存はない。でも、当時Savage2000を使っていて、しかも愛用していた人間として一言言っておきたい。決してSavage2000はダメなだけな存在ではなかった、ということを。

Savage2000のベースとなったのは、その先代Savage4である。記事では「それなりの成功」と書かれているが、わたしは相当の成功を収めたGPUと記憶している。そのまた先代であるSavage3Dはひどかった、と、いうより全く製品が出なかった。実際にはViRGEの改良型にすぎないSavage3Dだが、新しい名前を使用したことでかえってボードメーカーから敬遠されたように思う。一方Savage4は周辺がうまく推移したことで大変多くのメーカーから製品が発売された。当時はnVIDIAのRIVA TNT2、3dfxのVoodoo3、MATROXのMilleniumG400、ATIのRAGE120proと言ったGPU(当時はこの言い方はなかったが)が覇権を競っていた。が、そのいずれもがハイクラスかそれに近い性能と価格帯にあったため、ロー~ミドルクラス向けの市場がそっくり空いていたのだ。まして当時はGPU統合チップセットもほとんどなかった時代。何かは必要だった。Savage4はその需要にピッタリはまった。3Dをほどほどこなすだけでなく、ハイクラス向けではあまり重要視されていなかった(ATIは別)動画関係もこなすなど、ほぼ一通りの機能を持っていたため、重宝された。多くのボードメーカーのラインナップはハイクラスがTNT2、ロークラスがSavage4でしめられていたように覚えている。

この流れが変わったのが、S3がDiamonMultimediaを買収してから、であろう。記事では合併後初の製品はSavage2000だったと書いているが、その前のSavage4の最高峰、Savage4 Extremeが最初だったように記憶している。あるいは買収が事実上決まってからの製品だったかもしれない。DiamondMultimediaはサウンドボードなども作っていたが、優秀なグラフィックボードのメーカーでもあった。そこと合併したのが、ある意味Savage2000の運命を決めてしまったのかもしれない。それは、少し前にあった3dfxの方針変更の影響も大きかった。
3dfxはVoodooやVoodoo2、VoodooBansheeと言ったチップのときはボードメーカーにチップを卸して製品を販売してもらうメーカーだった。が、Voodoo3販売の際にボードメーカーを買収し、自社販売に切り替えている。そのため、GPUメーカーがボードメーカーを買収する、ということとは「もうメーカーに単体GPUを卸してもらえなくなる」ということを連想した。Savageもそういう道を歩んだ、と思われたのではないだろうか。わたしの記憶では、Savage4ExtremeはDiamondMultimediaくらいしか採用するメーカーはなかったはず。ただ、TN2などに並ぶほどではないにしろ、ミドルハイクラス程度の性能のSavage4はボードメーカーには不要な存在だったのかもしれない。
そしてSavage2000。先行していたGeForce256に次ぐハードウェアT&L(S3TL)搭載機として注目を集めたが、記事にもあったようにドライバの開発がうまくいかず、S3TLが高速で動作しなかったため、目玉であったその機能を無効にしたドライバしか用意できないまま出荷してしまうことになった。ここで一社販売のマイナス面が出てしまう。当時はGPUのドライバを、もちろんメーカーのリファレンスそのまま採用するメーカーが多かったが、独自に自社製品専用のドライバを用意するメーカーも少なくなかった(カノープスはベンチマークで異常に高い数値をたたき出すドライバを自社開発していたことで有名)。ゆえにSavage2000が各メーカーから発売されていたらS3TLを生かしたドライバが開発されていたかもしれない。が、DiamonMultimediaの「Viper II Z200」以外のSavage2000搭載ボードはほとんどなく、ドライバの開発が積極的に行われることもなかった。そうこうしているうちにnVIDIAはGeForce2を発売し、Savage2000の立場はなくなってしまう。さらにかつてSavage4の市場であったロー~ミドルクラスの市場もGeForce2の廉価版、GeForce2MXに奪われてしまう。結局S3の実質的自社ボードはSavage2000を最後に終わったが、その後も単体GPUをこっそりリリースし続けているなど息だけは長い。

さて、わたしの使っていたSavage2000はというと・・・実は「ほとんどなかった」Savage2000採用メーカーの数少ないの例外(わたしの知る限りでは)であるアイオーデータ製のボードで、記事の4ページ目に写真が掲載されているGA-S2K32/PCIである。Viper II Z200が市場から姿を消してから、一つか二つ、Savage2000搭載ボードが他社から発売されたが、そのうちの一つ。ただ、他社がAGP用のうえに低価格であったのに対しこっちはPCI、しかもかなり高額な製品であったため、使った人は少ないはず。それをあえて使ったわけは、GA-S2K32/PCIがPC-9821対応最後のグラフィックボードだったからである。値段からして使用者のほとんどは他に選択肢のなかったPC-98ユーザーではなかっただろうか?ちなみに新品は手の届く値段ではなかったため、中古品を購入して使っている。
ただ、しぶとく残っていたPC-98ユーザーの人気は同じアイオーデータの二世代前、VoodooBanshee搭載のGA-VDB16/PCIにあった(ちなみに一世代前はSavage4搭載のGA-SV432/PCI)。ベンチマークの数値はそちらの方が圧倒的に高かったからである。わたしの知人がGA-VDB16/PCIを、なぜかメーカー製のPC/AT互換機につんで使ったいたのを「もう使わないからあげる」とくれたので試しに使ってみたが、やはりGA-S2K32/PCIを継続して使うことにした。画質がこっちの方が上だったからである。現在のPCの画質はほとんどディスプレイだけで決まるが、当時はGPUの性能の方が重要だった。その点でSavage2000はVoodooBansheeを上回っていたのである。アイオーのドライバを使っても3D性能をフルに発揮することはできなかったSavage2000だが、すでに店頭から姿を消していて旧式しかなかったPC-98はもともと3D機能をもとめられていなく、機能が劣ってもほとんど問題なかったのである。もとめられたのは画質と動画再生、そして所有する喜びと満足感だった。PC-98で使うSavage2000はそれをすべて備えていたのである。PC/ATでの利用者が少ないという点が満足感を引き上げていたのは言うまでもない。結局Savage2000はアンチウィルスソフトがPC-98ではインストールできなくなるまで、わたしがPC-98の利用を完全停止するまで使い続けられた。

と、いうわけで、本来の使い方ではないかもしれないが、Savage2000が最高という場は間違いなく存在したのである。Savage2000がすごいのではなく、開発・販売したアイオーデータがよかったから、ではあるもののSavage2000なくしてあの環境はありえなかった。まぁなければGA-VBD16/PCIで満足していたんだろうけど。

どんな黒歴史の中にも輝くものは一つくらいある! と思う、たぶん、きっと

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9 コメント

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Unknown (siinamon)
2012-03-20 10:34:43
サバゲは使ってませんでしたが、S3ネタということで郷愁を覚えたので書き込みをwwww
自分、何げにS3erでした。
98時代に801+、964LB(まだ持ってます)使い、VirgeDXまでカノプでした。
それからG400とかに行ったのですが、サバゲを通り越したS27/25でS3復活。
強制マルチクロム技とか提案して楽しんでました。
その後、430GT、540GTXを買いましたが、さすがにnとAに比べてメリットがなく、しかもH264の動画再生支援を最重要視したので使わなくなって手放しました。
まあよくいってた2CHのS3スレでもサバゲは黒歴史扱いでしたから、一般的には仕方なかったのかもしれません。
でもそういう駄目なところを応援したくなるんですよねwwww
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Unknown (krmmk3)
2012-03-20 23:50:18
>siinamonさん
964とか801は伝説の彼方ですぅ。
ダメものってついつい買いたくなりますね。「われがこいつの真の力を引き出してやるんじゃぁ~!」な気分で。
最後にS3を使ったのは、2年ほど前のPT2X2がVIAで動くか実験、のときの統合でですね、わたしは。
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Unknown (arpus)
2012-03-21 03:18:05
S3系のボードって初期のポルシェの型番が付いていた頃くらいだけですね。
その後NumberNineとかMatroxG200シリーズが長かった。
「ゲームはゲーム機で」の人なので3Dの強力さはあまり重要視していませんでした。
まわりにはVoodoo3Dの二枚差しの人とかいましたが。
この頃はCPU以上に3D性能の陳腐化が激しかったですね。
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Unknown (krmmk3)
2012-03-21 22:56:37
>arpusさん
Windows3.1のころまではS3が強かったようですけど、95からはゲームが動くことが性能をはかる要素になりましたから、厳しかったのでしょう。3D性能は半年に一回は買い換えないと追いつけなかったみたいですし。
PC/AT買ってからは、わたしもG550まではMATROX派でした。
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Unknown (Unknown)
2013-02-13 22:59:05
いきなり失礼します。記事上で
>GA-SV2K32/PCIである(リンク先ではGA-S2K32/PCIとなっているが、Vが抜けている)
となっていますが、型番は間違いなくGA-S2K32/PCIですよ。手元にあるこのボードのシルク印刷にもそうなっていますしIOデータの公式サイトでもそうなっています。おそらくGA-SV432/PCIとごっちゃになってしまわれたんではないでしょうか
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Unknown (emanon)
2013-02-14 00:01:36
 まあ 数本のソフトのために、 このボードが !! 
今あるGPUメーカーは お得感と妥協 そしてソフト制作の利便性 元々は性能は二の次で動くソフトが多いことを優先だったような・・・  

性能は良いはずなのにソフトメーカーに使ってもらえず 最高ではないが数を動作でき節約したい大多数のユーザー ソフトで囲い込まれてさらに 今のスマホCPUのようなものかな?

私はゲームはソニー・任天堂・セガ PCゲームは切が無いのでTVチューナーの付いたRAGE120pro お得感で選択・・・  実用的に使える使えない関係なく何故かPCと録画は切っても切れないのは不思議 

それで・・・ Savage2000 でなにがしたかったのですか?
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Unknown (krmmk3)
2013-02-14 00:24:56
>2013-02-13 22:59:05さん
あ、そうでしたっけ。記憶だけで突っ走った記事を書くとダメだなぁ~。

>emanonさん
VooDooはGlideというオンリー処理がありましたから、そういう傾向はありましたね。あとはATIのFuryMAXX?とか。結局DirectXに統合されてそういう特性はあまりなくなりましたが、またAMDがやってるような。
あたしはPCでは最初からAll-in-Wonder128でした。Savage2000を使っていたのは、本文中にもあるようにPC-9821で使いたかったからですよ。それまではPC-AT用Milleniumのディップスイッチをいじって使ってました。
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Unknown (Unknown)
2025-03-15 04:59:23
 昔ハードオフでDiamond ViperのSavage2000のAGPボード買ってみたけど動作が不安定で残念だった思いでしかないです。
 ハードの安定性の増した今とは違って面白い時代でしたね。
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Unknown (krmmk3)
2025-03-17 22:39:59
>2025-03-15 04:59:23さん
ずいぶん懐かしい記事にコメント届いてますね。
ハードオフだと当然中古ですから、ひょっとしたら本体の調子が悪かったのかも知れません。ただ、当時は不安定なら不安定で笑って済ませ、安定したら今度は不安定ギリギリまで数字を書き換えてチューンするとか平気でやってましたし(笑)。まぁ面白かったです。
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