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トカゲバトル最後の刺客 「バート・I・ゴードンの恐竜王」

2021-08-02 19:21:45 | 特撮・モンスター映画
暑いです。毎年8月になると暑いのに全然慣れず、つい「今年の暑さは異常だ」と他者との会話でも出てしまうわけですから多分毎年前年より暑くなってるんでしょう。エアコン間に合って良かったです、間に合わなかったら倒れてる。
こんな暑い日はやはりエアコンの効いた部屋で冷たいものでも飲みながら怖い映画を見るに限ります。そんな気分の時にちょうど届いたのが「バート・I・ゴードンの恐竜王」であります。

 
なぜかAmazonでは「恐竜王 バート・I・ゴードン監督作」という表記で掲載されていますが、パッケージに習いましょう。DVDパッケージがこのタイトルになったのは、単に「恐竜王」だと子供向けの本だったりおもちゃだったりカードだったりと紛れてしまうからでしょう。怖い、と言っても1955年製作ゆえにその当時の水準なのでさすがに現代人が怖がれ、というのは難しいのですが、それでも当時としては怖い映画として作られたのでしょう。なにせパッケージには多分当時のポスターが使われ、その中に「YOU'LL BE SHOCKED! YOU'LL BE STUNNED! YOU’LL BE THRILLED!」って書いてありますから。
そして何を隠そうこの映画はわたしが初めて海外からの輸入ものに手を出したDVDであります。当時のDVDは名作が中心で海外製B級怪獣ものはほとんどなく、 その道に足を踏み入れ始めたわたしを落胆させていたのですが、「海外DVDならそういう作品もリリースされている」と噂を聞いて買ったのがコレ。そして期待通りの面白さに友人たちに見せ、「どうだ、海外B級怪獣映画は独特の面白さがあるだろ」と感想を聞こうとしたところ、みな最後はうつろな表情でポカーンとしていました。つまりパッケージにある通り「STUNNED!」になってしまったのです。まぁ輸入盤のパッケージは今回のとは異なるものでしたが。
そしてB級映画を語るのに欠かせない監督の一人、バート・I・ゴードン監督(Mr.BIG)のデビュー作が本作であります。それゆえにのちの作品と違い、本人は監督と原作・プロデューサーと三役までで脚本や特撮は他の人物にゆだねています。本作の特撮を見て、本物の生物をそのまま使って最低限の合成だけやれば巨大生物映画を作れると考えたBIGは次作以降は脚本と特撮も兼任、写真の前をバッタに這わせる「世界終末の序曲」を、ついで人間を巨大化させる「戦慄!プルトニウム人間」と次々に巨大生物映画を発表していきます。その作風の日本に与えた影響は(多分)小さくなく、「世界終末の序曲」がなければ「ゴジラ(1984)」のストーリーは異なるものになっていた(んじゃないかなぁ)と思いますし、「戦慄!プルトニウム人間」が撮られなければテレビ特撮「ウルトラQ」の一篇「変身」はおそらく作られず、「ウルトラマン」の誕生も危ぶまれた(可能性がなくもない)でしょうし、その「戦慄!プルトニウム人間」の巨人を俳優グレン・ランガンが演じなければロボットアニメ「天元突破グレンラガン」は作られなかった(と考えると面白いよなぁ)かも知れないのです! と、いうわけで広義の意味で日本映像作品を語るのならば、避けて通れないのがBIGの初監督作品「恐竜王」なのです。

ただ、内容は単純で特筆すべきところはありません。日本語字幕のまったくない輸入DVDでもわたしがなんとか付いていけたくらいですから、複雑なストーリは冒頭の説明くらいしかないのです。突如地球の近くに出現した新惑星「ノヴァ」。それを調査すべく科学者が宇宙船でノヴァに降り立つと、そこは地球とほぼ同じ大気の状態に加え、地球に生息するものそっくりの動植物が多数存在する星でした。そして離れ小島の探査に向かったところ、そこには想像を絶する、太古の恐竜のような巨大生物が生息していたのでした。
大雑把に言えばこんな内容で、あとは巨大生物に襲われ、登場人物が命からがら逃げ惑う様と、その巨大生物描写が本作のウリです。太古の恐竜のような巨大生物、と書きましたが本作の巨大生物は単に通常の生物をミニチュアセットの中に出しているだけで、当時の科学水準からしてもどう見ても恐竜には見えないものです。特に主役と言っていい巨大イグアナのことを「地球のティラノサウルスに似ている」などというのはさすがにないでしょ、と突っ込みたくはなります。が、そういうものだ、と開き直ってみることにしましょう。
恐竜などの代わりに本物のトカゲなどの爬虫類を使った特撮のことを一部で「トカゲ特撮」と呼びます。その目玉はなんといっても爬虫類同士の壮絶なバトル! トカゲバトルにあります。わたしの知る限りこうしたトカゲバトルを流用ではなく新規映像で撮影した作品は4つ、「知られざる大陸」「紀元前百万年」「ザ・ロストワールド」とこの3つはすでに日本語DVD化されていましたが、「恐竜王」がその最後の一本になります。一時「「恐竜王」のトカゲは「紀元前百万年」の流用」などと言われていたために顧みられなかったためかも知れません。実際には完全な新規撮影映像です。ただ、両作品とも爬虫類にイグアナ・ワニ・トカゲの三種類を使うだけでなく巨大アルマジロが出てくるあたり、「恐竜王」が「紀元前百万年」を意識し、同じ巨大生物を出そうとしたんだろうな、とは推測できます。そういえば「紀元前百万年」で前、イグアナが生き埋めにされてると書きましたが、今見直すと生き埋め以前から全く動いていないし、あそこだけ造形物と入れ替えてる可能性高し。
他のトカゲ特撮がなんらかの装飾を施しているのに対し、本作はそこらへんは手を抜いてそのまま出てきます。その代わり、バトルが2回行われます。第一戦はイグアナ対ワニ、そこで勝ったイグアナがトカゲと戦うのが第二戦です。いずれも対戦相手は首に大穴を開けられ、血を流してピクピクする姿をさらしていますがバトルシーンに首をかみちぎるようなところはなく、むしろ対ワニ戦など明らかにワニが押していて、イグアナは前足をかまれたままローリングで何度も地面にたたきつけられていてあれだけでノックアウトしていそう。となると、首に穴をあけて血を出させたのは映画スタッフだろうし、イグアナは撮影用に二体目が用意された可能性も・・・。うーん、やっぱり怖い映画だった、いろんな意味で。

さて、大半の作品が日本語で見られるようになったBIG作品ですが、まだ「サイクロプス」とか「巨人の村」が日本語字幕版で出てません。それでほぼコンプかと思いますが・・・。ファンとしては早い登場を期待します。
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