録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

国会招致された東北新社社長の作った映画

2021-03-18 11:31:44 | 特撮・モンスター映画
東北新社およびその子会社に所属する現総理の息子が総務省を接待していたことから火が付いた問題。単なる接待だけでなく、それによって接待した企業が特別扱いを受け、行政がゆがめられているのではないか・・・。との疑念が広がり、東北新社およびNTTの社長が国会に招致され、質問を浴びせられました。NTT側は、この手の話に慣れている人なのか、のらりくらりとかわして尻尾を見せない答弁に終始していたようですが、東北新社の社長の方は割とスパスパ答えたようで総務省側の発言と食い違うものが少なからずあったとか。そうしたところから、東北新社の社長は、都合の悪くなりそうな部分はボカすような受け答えのできない、裏表の行きかう世界で育ってきた人ではないんだろうなぁと言う印象です。
それもそのはず。現東北新社社長は中島信也氏。CMディレクター出身の人です。一番有名なのはチマチマ動く原始人やマンモスが画面に出てきた後に「hungry?」の一言が印象に残る日清のCMでしょう。そして映画「ウルトラマンゼアス」の監督であり、その主題歌の作詞者(名義は"じんましんや")でもあります。主題歌の方はとんねるずによる「ゼアスゼアス」の連呼部分が出光のCMで使われ続けたこともあって、聞いたことくらいはある人も多いかと思います。歌詞はそれまでのウルトラマンのような「救う」ものではなく「なんとかしたい」という完全ではない存在が自分を鼓舞するような内容になっており、コミカルな印象もあって他とは一線を画す存在です。歌詞が作詞者の人となりや感性が出やすい存在と考えると、あえて王道を外したがるやや捻った考え方を持つ人だという印象です。
 
映画の「ウルトラマンゼアス」はそれが如実に出ている気がします。ウルトラマンゼアスは、出光のガソリン「ゼアス」とタイアップしたイメージキャラ。中島氏はその出光のCMも手掛けていた、ということなのでその関係で映画の監督も、という話が回ってきたのだと思いますが、人選からして出光側の思惑は、CMの延長のような映画、出光ゼアスのイメージをよくする内容、イメージキャラに相応しいウルトラマンゼアスの活躍が見られるを期待していたのではないか、と思うのです。
で、実際の映画の中のウルトラマンゼアスはと言いますと・・・。潔癖症、というヒーローには最高に問題のある欠点を持っていました。おかげで人間時では全然仕事ができず、変身して必殺技の練習をやっても手が汚れただけですぐに中断、体に汚れが移らないようにムチャクチャ頭を引きながら手を水で洗うシーンはその象徴です。もちろんその状態では怪獣相手にまともな戦いもできず、バトルに入っても最初のうちはやはり汚れるのを嫌がり、汚れた池におっかなびっくり近寄って引く、という無様さ。ただ、途中からは開き直ったのか正義の心が勝ったのか汚れをいとわず怪獣と戦ってウルトラマンの名を冠するにふさわしい活躍を見せ、人間になっても極端な潔癖症は克服したらしく汚れながらも気にせず一所懸命仕事をするシーンで映画は終わっています。どう見ても「汚れるのをこわがっていちゃ何もできない」というテーマで、従来型よりも環境を汚さないことをアピールしていた出光ゼアスの大義から言えば逆、とまではいかないまでもかなりズレた方向を向いていた作りになっていた、と言わざるを得ません。本作を出光はどう思ったのか・・・は分かりませんが、この後続編「ウルトラマンゼアス2 超人大戦・光と影」が作られた際に監督は交代し、その戦いぶりも出光ゼアスの大義を反映したようなものになっていたところからなんとなく察せる気がします(2は2でスポコン王道ヒーローもので面白いです、念のため)。
 

と、どちらかと言えば上のいうことをただ聞く人ではない、とわたしは思っているのです。それだけに東北新社のとったやり方を見ているかぎり、経営だとか法律だとか細かいことを知らずに相対していたとしか思えません。そういう意味で言えば、知名度はあっても経営者として有能ではないんでしょうねぇ。前にも書きましたが今頃になっての一部チャンネルの認可取り消しは厳しすぎると思っています。とはいえ、中島氏は社長なのですからこの問題の責任はキッチリとっていただきたいと思っています。もちろんNTTや総務省・当時の総務大臣と言った関係者もですが。

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