般若心経

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四国八十八ヶ所

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2020-11-06 | Weblog

 お接待

 初めて八十八ヶ所を歩いた時のこと。第六番安楽寺の手前で初老の男性から「お遍路さん」と声を掛けられた。「お接待です」と言って缶コーヒーを渡され、頭を下げ両手を合わせて「南無大師遍照金剛 南無大師遍照金剛」と拝まれた。お接待のことは知っていたが、まさか私に向かって「南無大師・・・」と唱えられるとは、どう対応すればよいのか・・・、とまどい少しあわてた。先日 「四国遍路の世界」を読んだ中にお接待の話があり思い出した。
 今まで、お菓子、飴、みかん、缶ジュース、缶コーヒー、お茶、おにぎり、タオル、お賽銭入れ、お金などいろいろなお接待を受けた。
 高知県黒潮町で遍路道横の観音堂から「お遍路さん」と言って声をかけてきた90歳になるというおばあさん、お接待だと言って千円札を差し出してきた。高額なので辞退したが、お接待だからと言って手に握らされた。その後十年ほどになるが、この千円札は今もそのまま頭侘袋に入っている。
 やはり四国の土地柄、みかんのお接待が多い 。
・横峰寺への登山口、道路脇の畑からおばあさんが降りてきて、レジ袋いっぱいのみかんを持っていけという。これからの山道、ペットボトルを一本にしようか二本にしようかとリュックの重さを気にしているなかで、ズシリと重いみかんはとても持ってはいけない。二つだけいただいた。皮がふっくらとしてすごく甘いみかんであった。
・ 薬王寺の手前、道端でおばあさんが休んでいけと言って、ポンカンを剥いでくれた。話好きなおばあさんだった。その次のときも出会いごちそうになった。いつもお遍路さんを待っているのかもしれない。
・観自在寺門前で大きな甘夏を5つ若い女性から手渡される。ひとつでいいと辞退したが、どうしても持っていけと言われる。リュックに入りきらない。宿で一つ翌日一つごちそうになり、残りは出会ったお遍路さんにお接待した。
・延命寺への道すがら 二十歳前後の娘さん、少し恥ずかしそうにしてみかんをバックの中から取り出して持ってくださいという。大きな甘いみかんだった。
・三角寺への山道、みかん畑の中から野良着姿のおじさんがお接待だといって枝についたままの大きなみかん3つを持ってきた。ちょうどそばにベンチがありおじさんと話をしてひと休み。おじさんがトラックで下っていき、私も出かけようと腰をあげたところ、遍路姿の若い女性が山から下って来た。もらったみかんのひとつをどうぞと差し出したところ、すこし驚いた様子で、あのみかんかと木を指さす。葉がついているので盗ったのかと間違われたようだ。いいや、ちがうあのおじさんにもらったのだと、ちょうど動き出したトラックを指さすと女性は安心した様子。香港から来た女性で通しで周っているとのこと。この女性とは翌日本山寺で再会した。
 お接待はただただ歩くだけの日常の中で出会うオアシスのようなもの、声をかけてくれるだけでもうれしい。加えてプレゼントである、ありがたく、よく覚えています。その思い出はなつかしいものばかりです。
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