般若心経

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般若心経

2018-11-03 | Weblog
1973

 「人生でいちばんたいせつなこと」
  ~死ぬとき後悔しないために~(廣済堂出版)




 一月ほど前、新聞にこの本のことが載っていましたので、読んでみました。
著者枡野俊明《ますの しゅんみょう》さんは曹洞宗建功寺の住職を務め、カナダ大使館庭園などを設計した庭園デザイナーでもあります。また多摩美術大学教授、ブリティッシュコロンビア大学特別教授も務め、ラジオ、テレビでの出演や講演など幅広く活躍されています。2006年「ニューズウィーク」日本語版「世界が尊敬する日本人100人」に選出されました。

 題名を見て、むずかしい人生訓のようなものかと思ったのですが、すべて禅の教えに基づいたお話です。うつくしい文章で仏様の教えを分かりやすく説いてくれます。
第一章から第五章、各章10話、計50話、すべて一話4ページで記されています。
一度読んで もう一度読み返しました。

『物との縁を大切にしていますか?』より
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 物を粗末にする人は、自分や他人の心をも、粗末にする人です。
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縁があってきてくれた物を大切にすることが、どれほど私たちの心を豊かにしてくれるかを知っているからです
 私たち僧侶は、物をとても大切にします。毎日着ている作務衣は、たびたびほつれたり破れたりしますが、そのたびに自分の手で縫い直して、長年着ています。修行の中で受け継がれた習慣なのです。
 もちろん昔は、もったいないという発想があったのでしょう。物がない時代で買い替えるお金もありませんから、何度となく修理をして使うことは当たり前のことでした。
 しかし今はそうではありません。たとえば作務衣にしても、それほど高額なものではありません。新しいものに買い替えようと思えば、簡単に買うことはできます。手間と時間をかけて繕うのであれば、いっそ買い替えたほうが安上がりだともいえます。
 それでもわたしたちはそんなにすぐは買い替えることはしません。
 なぜなら、縁があってきてくれた物を大切にすることが、どれほど私たちの心を豊かにしてくれるかを知っているからです。
 安易に買い替えたりすることが、どれほど貧しい心であるかに気がついているからです。
 物を修理することと、心を修理することは、実はとてもよく似ていると私は感じています。ほころびた作務衣を縫いながら、同時に心のほころびも修復している。そんな心持になってくるのです。
 さらに言えば、物を粗末にする人というのは、自分や他人の心までも粗末にしてしまう人です。人に愛着を持つことをせず、人との縁に感謝することもしない人になる気がするのです。
 そして、一度粗末に扱った心は、そう簡単に修復することはできないのです。
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 ちょうどこの本を読み終えた今週の木曜日(10/31)のNHKテレビ「探検バクモン」は「禅 ZEN 大本山總持寺へ」でした。禅宗のお寺の内部とその生活を紹介していました。
枡野俊明さんのお寺建功寺も總持寺とおなじく曹洞宗で横浜市にあります。