AWA@TELL まいにち

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「脚気(かっけ)」と「そうだ」と「ようだ」の関係

2006年02月15日 | 日本語教育
 日本語研修コースの授業でのことです。
 学生から、「そうだ」と「ようだ」の違いがよく分からないと質問が出ました。一人の学生は、伝聞の「そうだ」(彼女は結婚するそうだ)も混同していて大変な状況です。
 授業で説明を受けて、宿題をするウチは、多分疑問に思わないんですよ。習って、そうですね・・・1週間くらい経って、実際に使おうとしたとき、耳にしたときに、どっちのほうがいいんだっけ、となって考えれば考えるほど深みにはまってしまうわけです。授受表現もそうですよね。「彼にもらった」のか、「彼がくれた」のか、事実は一つであっても表現が多様になります。その中で、私達はどちらかの表現を区別して選択しているわけです。

 この日、「そうだ」は主に視覚的情報から、というような、通り一遍の説明から始めましたが、そんな部分は、学生はとっくに知っています。上に書いた「伝聞」と混同している学生は、ちょっと話が違いますが。
 結局この日は、「脚気(かっけ)」検査の話を使ってみました。
 僕でも小学校の頃、1度だけ検査を受けたことがあるようなものですから、僕より若い世代にはわかりにくいでしょうか。クラスの学生は、大笑いをしていましたから、分かるんだと思います。ほら、膝下を叩くと、足が跳ね上がる、あれです。

 小学校の頃、ませていたんでしょうねえ、膝下を叩くと足が跳ね上がるというそれだけを本を読んで知っていたんです。で、検査に引っかかるのは良くないとか思って、医者に右足を叩かれたときに、左足を跳ね上げたのです。同時に、側にいた看護師さんと叩いたお医者さんがえ?!という顔をしたんです。そんなワケないですからねえ。

 ま、それはさておき、この日は、脚気の反射の話を使って、「そうだ」は見て脳を経由しないですぐ出る言葉、「ようだ」はいろいろ情報を使って分析して口にする言葉だと説明してみました。確かに、接続の仕方を見てもわかりますよね。「そうだ」の方は、動詞のます形、い形容詞は「い」が脱落して、な形容詞は「な」が脱落して接続しますが、「ようだ」のほうは、いろいろなものが接続します。それだけ、話者の意識が入り込めるということです。

 学生に理屈で教えても無理なことは多々あります。もう大人ですから、書いてあることを読んで理解することは出来るんですよ。でも、それはそれだけの知識で終わります。授業がいいのは、自分の疑問を細かなところまで教師に確認できることでしょうね。

 今日は敬語の復習日。明日は試験です。がんばりましょう!
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