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Something 九話

2013年02月09日 01時02分56秒 | 僕が書いた小説

羽衣を4000年ぶりにまとった天女は、死んでしまったジョンとポールのもとへ向かった。
そして涙を流すと、その涙が湖となり、二人は湖の底に沈んでいった。
天女の涙は奇跡の水で、その水は全ての病を治すと言われている。
でも死人を生き返らせることはできない。
ただし、somethingを手に入れたものの魂は呼び寄せることができる。
天女は二人がsomethingを手に入れたことを信じ、二人の復活を祈った。

二人の体からまばゆく輝き始めると、湖の水は全て蒸発してしまった。

二人は目を覚まし、いい夢を見たようで満足そうだった。

二人は一度死んでしまったことを忘れてしまっているらしい。

目の前の美しい天女がいる。ここは天国に違いない。
二人は死ぬ間際のことを思い出したようで、自分たちがあきらめず努力したことに満足していた。

ジョンがポールに言う。「あの時、究極呪文をありがとうございます。僕はおかげで、あの女を頂上まで運べたような気がします。彼女は頂上まで連れていけば助かるって言ってましたから、きっと生きてると信じましょう。それにしてもこんな清々しい気持ちになれたのは初めてです。」

ポールも満足げにジョンに言う。
「私も人のために死ねて、こんなに嬉しいことはないですよ。悪魔もやっつけましたから、地上の人達にも平和が訪れるでしょう。本当にいい人生でしたね。実際、天国は存在したのですね。」
天女は二人の話を幸せそうに聞くと、ようやく口を開いた。
「ジョン、ポール、あなた方は生き返ったのです。そして私はあなた方が助けてくれたあの病気で醜かった女なのです。本当にありがとう。そしてあなた方はすでにsomethingを手にいれたようですね。」

二人はsomethingなるものを探していたことを思い出したが、すっかりsomethingに興味を失っていた。

ポールが笑って言う。
「ジョンも同じだと思いますが、somethingは生きている時、僕達が探していたものです。僕達は死んだことに悔いはありません。あなたを助けることができなかったのは残念です。でもこうして天国で、美しい天女の姿のあなたと再会できて嬉しいばかりです。
もう地上のことは忘れましょう。そして天国でまた三人で何かを探しませんか?」
ジョンはポールの提案があまりに嬉しかったようで、雄叫びをあげた。

どうも二人は地上でまた生き返ったことを信じてないらしい。

天女は二人に祠のこと、羽衣のこと、天女の涙のことを一から説明すると、二人は生きていることに感謝し、二人は雄叫びをあげた。
天女が創造したsomethingとは一体何だったのか?

天女が二人に語ろうとすると二人は興味がないと言って、天女と別れた。
天女は幸せそうに4000年ぶりに天へと戻っていった。
ジョンがポールに尋ねた。「今からどこに旅しますか?」
ポールが答える。
「夢で見た天草に魚を食べに行きませんか。でもどうやったら向こうの世界へ行けると思いますか?」
ジョンが大笑いして言った。「何とでもなるでしょう。不可能なんてないですから、とりあえず東に行きますかね。」

二人のまた新しい冒険が始まる。
終わり

と思いきや、次回はsomethingの正体が明らかになる。続く…

 

 

天女のはごろも (子どもとよむ日本の昔ばなし)
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