11月も早いもので下旬を迎え、あと1ヶ月もすると今年ももう終わり、新しい年を迎えます。受験生の皆さんは段々と「悩み」が深くなってくる、このころはそんな時期でもあります。
今年も受験生の皆さんはいろいろな悩みがあるようです。志望校のこと、成績のこと、勉強法のこと、学校のことなど、数えたらきっとキリがないくらいだと思います。皆さんはちょうど思春期、勉強面以外でもいろいろな悩みを抱えていることと思います。そんな中での受験は、さらに悩みの種を増やしていく、そんな感じなのかもしれません。
「悩む」といえば、最近の話題の本に東京大学大学院教授の姜尚中さんの「悩む力」という本があります。直接この本を読んだことはないのですが、NHKの番組の中で作者の姜さん自身が「悩む」ということについて話している場面がありました。
そこで私が興味を引いた言葉は、「思春期は悩む時期だが、今は悩む時間さえ与えられていない」という言葉でした。今は何もかもが速いことが当たり前になってきていて、スピード感が求められる時代。その中で、ゆっくりと悩む時間がないということ、それはその通りだと思いました。
自分も学習については、やはり早く成果が出ることを生徒さんにも求めてしまいます。それはそれで悪いことではないとは思いますし、必要なことだとは思いますが、学習以外の分野は(場合によっては学習についてもかもしれませんが…)内容によっては、大人が答えを教えず、ヒントや導きをしてあげながら、ゆっくりと考える時間を持たせることも必要なのではないかと思いました。大人は急かすだけでなく、子供が悩んでいるのを時間をかけてゆっくり見守ってあげる、そんな器の大きさ、心のゆとりもまた必要なのかなとも思いました。ひょっとすると、子供たちはそのような器の大きさというようなところで、大人を評価するのかなとも、最近は思えてきます。
もちろん全てにおいて「待ちの姿勢」がいいというわけではありませんが、ひょっとしたら大人は子供に「速さ」を求めすぎているのかもしれません。時には、そして内容によっては「速さ」を求め、場合によっては「待ちの姿勢」をとる、そういう柔軟さも必要なのかな、と思います。
今年のNHKの合唱コンクールの課題曲であったアンジェラ・アキさんの「手紙」という曲もそうですが、「悩む」ということが最近また注目されているように思います。逆をいえば、悩むことを許されなかった子供たちが少しづつ大人になっていく中でうまれた弊害、そこから再び悩むということが注目されている、そんな気がしました。
NHK 「私の1冊 日本の100冊」 http://www.nhk.or.jp/book100/archive/081105.html
アンジェラ・アキ 「手紙」 http://music.yahoo.co.jp/shop/c/10/escl3120