手話通訳者のブログ

田舎の登録手話通訳者のブログです。

味方

2016-12-26 07:45:28 | 手話
半世紀前の思い出話だが、俺は「おじいちゃん子」だった。
今では一人っ子が当たり前で、多人数の兄弟は珍しいが、当時は3人とか4人の兄弟がいても珍しくなかった。従兄弟が集まると10人を超えた。祖父宅は託児所みたいな様相を呈した。

祖父は目配りのできる人だった。
大人の世界でも、子どもの世界でも、今も昔も変わらず、理不尽なことがあった。
従兄弟たちと激しい喧嘩もした。

子どもだって、考え、悩む。俺は悪くないのに・・・
そんな時、いつからそこにいたのか、いつの間にか祖父が近くに来て、
「たいしは悪くない。じいちゃん、ちゃんと見とった」
と声をかけてくれる。
なんだか、とても、安心した。
何があっても、じいちゃんだけは、俺の味方をしてくれる。そう思っていた。
とはいえ、祖父は「公平」とか「平等」を大切にする人で、贔屓された覚えはない。
なぜ、そう思ったのだろう。

俺が手話と出会う前に、祖父は逝ってしまった。

人が最も辛いのは、どんな時だろうか。
最も耐え難い苦痛は孤独だ、という人もいる。
手話世界は狭い。ろう者の世界も狭い。この狭い世界でぎくしゃくして、疎外感の中で立ちすくむ時、俺を思い出してくれたら、いいなあ。

あの世があるのかどうか知らないが、もし、あの世があるなら、あっちに逝って最初に会いたいのは祖父である。
手話通訳者としての活動を、祖父はどのように見守ってくれているだろうか。



コメントを投稿