地元のろう者

Ｆさんはろう協にも入っていないし、あまり人づきあいをしない。
変わり者である。
「俺は何でも知っている」
という雰囲気を持っていて、なんだか偉そうだ（笑）

「たいし、口は堅いか？」
俺は落ちこぼれ手話通訳者やけど、口の堅さは自信がある。
「そうか。それなら、特別に教えてやる」
なに？
「日本は既に核武装している」
はいー？
「沖縄本島に核ミサイル基地がある」
ほ・・・本島に？
「そう、大規模な地下基地だ。いつでも核ミサイル攻撃を開始できる」
ちょっと待った。集団的自衛権で、さかんに議論してるけど、そんな段階をはるかに超えて核武装やて？
「これは極秘情報だ。誰にも言うな。命を狙われる」
そ・・・そうか・・・わかった。


聴覚障害は「情報障害」と言われている。
ＩＴの発達によって聴覚障害者も情報を得やすくなったが、人とのコミュニケーションは、どうしても聴者に比べて少なくなる。
手話世界という小さなコミュニティーの中で、限られた情報にしか接していないと、誤った情報を信じ込んでしまうことがある。
上記の核武装の話は実害がないが、聴覚障害者が集団で詐欺被害に遭ったこともある。
人と人のつながりが大切だと思う。