手話通訳者のブログ

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バランス感覚

2015-06-06 00:20:56 | 手話
手話通訳者として、自分の未熟さを痛感する日々である。
おそらく、今後何十年たっても、死ぬまで、「うまくなった」と満足することはないだろう。

こんなことを考えていて、ふと、思った。
うまくなり過ぎてはいけないのではないか、と。

いや、手話通訳が「うまくなり過ぎる」なんてことは、あり得ない。
地元では神様と言われているカリスマ手話通訳者の通訳だって、ダメ出ししようとすれば、いくらでもできる。
手話通訳とは、そういうものだ。

言い換えれば、専門バカになってはいけない、ということだ。

手話世界に全く関わっていない人から、貴重な教えをいただくことがある。
こういう「素人」が、地元主流派手話通訳者の名前を出して、
「あの人の手話、嫌いです」
なんて言うと、ハッとする。

何故ですか、と聞くと、素人ならではの答えが返ってくる。
「チャカチャカして落ち着きがない」
「威張っている感じがする」
なるほどなあ、と思う。

「チャカチャカ」タイプ、確かにいる。
手話表現のスピードが速い。
手話単語をたくさん身に着けていて、それらがすごいスピードで出てくる。
こういう手話通訳者は、手話通訳界では、「うまい」と言われる人たちだ。
しかし・・・
本当に、うまいのか。
これが本当に、ろう者から見て「見やすい手話」だろうか。
知識のない人の直観は、時に本質をとらえることがある。

「威張っている」というのは、これはもう、手話表現以前の、人間性の問題だ。
これも手話通訳界どっぷりの人から見れば、こういう相手は「ベテラン」である場合が多く、恐れ多くて批判する気にもならない。
でも、だからこそ、外の世界の人の目には、その異常さが目につくのだろう。