ブランコ

公園で相変わらずの一番人気遊具はブランコ。
ジジィーの私もたまにブランコにのる。いつまでたっても忙しい仕事から抜けきれないでいる私は時々無性にブランコに座りたくなる。
粗末なブランコに座り、吊り鎖を握り、少しだけ揺れれ続ける。そんなことを他愛無く続ける。別段、何かを思い出したりしているのではない。母と一緒にブランコに乗った記憶もなければ、恋人と手をつないでブランコを楽しんだこともないので、楽しい思い出など一つもないが、そうやっていると少しだけ疲れがとれる気がするのだ。
みなさんは温泉だの、海外旅行だの、家族団らんだのと楽しい日々を過ごすのだろうが、私は粗末なブランコでほんの少し揺れるだけで十分に気が休まる。タダで得したと思えばそうかもしれないし、もっと他に楽しいことをやれと言われればそうかもしれない。しかし、私の癒しはもうブランコしかない。
もし仮に私のささやかな夢をかなえてくれるのなら、ブランコ遊びで軽く汗をかいたとき、冷たいお絞りを持ってきてくれるジャイアント馬場さんのようなおばあちゃんがいたらいいなと思うことだ。こんな妄想もたまにブランコでみることもある。
以上のことは、私の秘密中の秘密なのだ。