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<共謀罪>治安維持法の再来をゆるすな!~話し合っただけで罪になる 〔東京新聞2017.1.14〕 /日弁連は共謀罪に反対します。

2017-01-15 23:11:10 | 共謀罪 治安維持法

東京新聞 TOKYO Webhttp://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017011402000173.html

【社説】 共謀罪 内心の自由を脅かす

 話し合っただけで罪に問われる-。それが共謀罪の本質だ。準備行為で取り締まりができるテロ等組織犯罪準備罪の法案が通常国会に提出される予定だ。内心の自由を脅かさないか心配になる。

 「行為を取り締まるのではなく、思想を取り締まるものだ」-。戦前の帝国議会である議員が治安維持法についてこんな追及をしたことがある。明治時代に刑法ができたときから、行為を取り締まるのが原則で、例外的に共謀や教唆、未遂なども取り締まることができた。

 治安維持法はこの原則と例外を逆転させて、もっぱら思想を取り締まった。共謀罪も原則と例外の逆転の点では似ている。

 犯罪の準備段階で取り締まる罪は実に六百七十六にものぼる。詐欺や窃盗でも対象になる。道交法違反なども含まれる。では、それらの犯罪の「準備」とは具体的にどういう行為なのだろうか。六百七十六の罪でその定義をするのは、ほとんど困難であろう。

 むしろ、共謀罪を使って、捜査機関が無謀な捜査をし始めることはないのか。そもそも共謀罪は国際的なマフィアの人身売買や麻薬犯罪、マネーロンダリング(資金洗浄)などをターゲットに国連が採択した。

 それら重大犯罪には既に日本の法律でも対処することができる。政府は新設を求めるが、もう国内法は整っているのだ。日弁連によれば、国連はいちいちそれらをチェックすることはないという。つまり共謀罪を新設しなくても条約締結は可能なのだ。

 政府はむしろ二〇二〇年の東京五輪を念頭にテロ対策強化の看板を掲げている。だが、この論法もおかしい。例えばテロリストが爆弾を用いる場合は、企んだ段階で処罰できる爆発物使用共謀罪が既に存在する。テロは重大犯罪なので、法整備も整っているわけだ。政府は「テロ」と名前を付ければ、理解が得やすいと安易に考えているのではなかろうか。

 合意という「心の中」を処罰する共謀罪の本質は極めて危険だ。六百以上もの犯罪の「準備」という容疑をかけるだけで、捜査機関は動きだせる。「デモはテロ」と発言した大物議員がいたが、その発想ならば、容疑をかければ、反政府活動や反原発活動のメンバーのパソコンなどを押収することもありえよう。

 共謀罪は人権侵害や市民監視を強めるし、思想を抑圧しかねない性質を秘めているのだ。

 

パンフレット「思想を処罰?日弁連は共謀罪に反対します!」

「共謀罪」が、国連越境組織犯罪防止条約を理由に制定されようとしており、法案は、2003年の第156回通常国会で最初に審議されました。その後二度の廃案を経て、2005年の第163回特別国会に再度上程され、継続審議の扱いとなり、第165回臨時国会においても、幾度とない審議入り即日強行採決の危機を乗り越えて継続審議となり、第170回臨時国会においても継続審議となりました。そして、2009年7月21日の衆議院解散で第171回通常国会閉幕により審議未了廃案となりました。

 

今後も予断を許さない状況が続くことが予想されます。

 日弁連は、共謀罪の立法に強く反対し、引き続き運動を展開していきます。

 

詳細はこちらのページをご覧ください。

 

→パンフレット「合意したら犯罪?合意だけで処罰?―日弁連は共謀罪に反対します!!―」(五訂版)

 

 

共謀罪の基本問題

  • 政府は、共謀罪新設の提案は、専ら、国連越境組織犯罪防止条約を批准するためと説明し、この立法をしないと条約の批准は不可能で、国際的にも批判を浴びるとしてきました。
  • 法務省は、条約審議の場で、共謀罪の制定が我が国の国内法の原則と両立しないことを明言していました。
  • 刑法では、法益侵害に対する危険性がある行為を処罰するのが原則で、未遂や予備の処罰でさえ例外とされています。ところが、予備よりもはるかに以前の段階の行為を共謀罪として処罰しようとしています。
  • どのような修正を加えても、刑法犯を含めて600を超える犯罪について共謀罪を新設することは、刑事法体系を変えてしまいます。
  • 現在の共謀共同正犯においては、「黙示の共謀」が認められています。共謀罪ができれば、「黙示の共謀」で共謀罪成立とされてしまい、処罰範囲が著しく拡大するおそれがあります。
  • 共謀罪を実効的に取り締まるためには、刑事免責、おとり捜査(潜入捜査)、通信傍受法の改正による対象犯罪等の拡大や手続の緩和が必然となります。
  • この間の国会における審議とマスコミの報道などを通じて、共謀罪新設の是非が多くの国民の関心と議論の対象となり、共謀罪の新設を提案する法案を取り巻く環境は、根本的に変わっています。

国連越境組織犯罪防止条約は締約国に何を求めているのでしょうか

  • 国連越境組織犯罪防止条約第34条第1項は、国内法の基本原則に基づく国内法化を行えばよいことを定めています。
  • 国連の立法ガイドによれば、国連越境組織犯罪防止条約の文言通りの共謀罪立法をすることは求められておらず、国連越境組織犯罪防止条約第5条は締約国に組織犯罪対策のために未遂以前の段階での対応を可能とする立法措置を求められているものと理解されます。

条約の批准について

  • 国連が条約の批准の適否を審査するわけではありません。
  • 条約の批准とは、条約締結国となる旨の主権国家の一方的な意思の表明であって、条約の批准にあたって国連による審査という手続は存在しません。
  • 国連越境組織犯罪防止条約の実施のために、同条約第32条に基づいて設置された締約国会議の目的は、国際協力、情報交換、地域機関・非政府組織との協力、実施状況 の定期的検討、条約実施の改善のための勧告に限定されていて(同条第3項)、批准の適否の審査などの権能は当然もっていません。

国連越境組織犯罪防止条約を批准した各国は、どのように対応しているのでしょうか

  • 第164回通常国会では、世界各国の国内法の整備状況について、国会で質問がなされましたが、政府は、「わからない」としてほとんど説明がなされませんでした。この点について、日弁連の国際室の調査によって次のような事実が明らかになりました。
  • 新たな共謀罪立法を行ったことが確認された国は、ノルウェーなどごくわずかです。
  • アメリカ合衆国は、州法では極めて限定された共謀罪しか定めていない場合があるとして国連越境組織犯罪防止条約について州での立法の必要がないようにするため、留保を行っています。
  • セントクリストファー・ネーヴィスは、越境性を要件とした共謀罪を制定して、留保なしで国連越境組織犯罪防止条約を批准しています。

新たな共謀罪立法なしで国連越境組織犯罪防止条約を批准することはできます

  • 我が国においては、組織犯罪集団の関与する犯罪行為については、
  1. 未遂前の段階で取り締まることができる各種予備・共謀罪が合計で58あり、凶器準備集合罪など独立罪として重大犯罪の予備的段階を処罰しているものを含めれば重大犯罪についての、未遂以前の処罰がかなり行われています。
  2. 刑法の共犯規定が存在し、また、その当否はともかくとして、共謀共同正犯を認める判例もあるので、犯罪行為に参加する行為については、実際には相当な範囲の共犯処罰が可能となっています。
  3. テロ防止のための国連条約のほとんどが批准され、国内法化されています。
  4. 銃砲刀剣の厳重な所持制限など、アメリカよりも規制が強化されている領域もあります。
  • 以上のことから、新たな立法を要することなく、国連の立法ガイドが求めている組織犯罪を有効に抑止できる法制度はすでに確立されているといえます。
  • 政府が提案している法案や与党の修正試案で提案されている共謀罪の新設をすることなく、国連越境組織犯罪防止条約の批准をすることが可能であり、共謀罪の新設はすべきではありません。

法務省ホームページに掲載されている文書について

法務省ホームページ上に別のページへリンク「『組織的な犯罪の共謀罪』に対する御懸念について」と題するコーナーがあります。
同コーナーの文書で挙げられている点に絞って、疑問点を指摘します。

 

PDF「共謀罪」に関する法務省ホームページの記載について(2006年5月8日)(PDFファイル;129KB)

 

日弁連が意見書などで指摘している点について、法務省が2006年10月16日付けで以下文書をホームページに掲載しています。

これらの文書で挙げられている点に絞って、疑問点を指摘します。


外務省ホームページに掲載されている文書について

日弁連などの調査により、アメリカ合衆国は、州法では極めて限定された共謀罪しか定めていない場合があるとして国連越境組織犯罪防止条約について州での立法の必要がないようにするため、留保を行っているということがわかりました。


この点について、外務省が2006年10月11日付けで別のページへリンク「米国の留保についての政府の考え方」と題する文書を掲載しています。


この文書で挙げられている点に絞って、疑問点を指摘します。


・・・・・・

【親米/反米を超えた課題】 日米関係の「安定」を本当に願うのであれば、まず地位協定を改定せよ (伊勢崎 賢治)2017.1.15

2017-01-15 18:02:25 | 平和 戦争 自衛隊

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50705より転載

日米関係の「安定」を本当に願うのであれば、まず地位協定を改定せよ
親米/反米を超えた課題

2017年1月15日

日本は米軍の世界最大の「宿主」なのに…

「活米」という言葉があるそうです。

トランプのようなリーダーが出現するにあたって、それに振り回されることなく、いかに日本が平常心を保って、日本の国防、国益のためにアメリカを活用してゆくか。

これは、米軍の世界最大の「宿主」としての日本が、アメリカとの関係を考えることに他なりません。在日駐留米軍との関係です。

そこでまず思い浮かぶのは「地位協定」の問題です。

地位協定は、米軍と日本政府との問題というより日本社会との問題に焦点が当たりがちです。ですが、日本の自衛隊にとって日米地位協定はどうなのでしょうか? 何も問題はないのでしょうか?

例えば陸上自衛隊は、もう十数年、アメリカの海兵隊と一緒に共同訓練を行っています。水陸機動団といって、尖閣諸島での中国の脅威が話題になっている島嶼防衛を念頭に、海と陸の両方で即応できる部隊をつくろうとしているようです。

この訓練、もちろん国内、国外的にも政治的に非常にセンシティブな問題なので、日本の近海でアメリカと大々的にやるのではなく、ほとんどがアメリカ国内で共同訓練をやっているのです。

この時、自衛隊員は、どういう外交ステータスでアメリカに滞在しているのか?

「公用パスポート」だそうです。

「外交パスポート」ではないので、外交特権はありません。日米地位協定で米軍人と軍属が享受するような特別の裁判権上の特権も何もありません。JICA(国際協力機構)なんかから派遣される民間の専門家と同じです。

つまり、訓練でアメリカ滞在中の自衛官が、例えば「公務」で自動車を運転中に米市民を轢いたとしましょう。その事件の処理において日本に一次裁判権はありません。

ところが、これがドイツやイタリアの兵士だったら、一次裁判権はこの両国にあるのです。アメリカ国内で起こった事故にもかかわらず、「公務内」であれば、アメリカに一次裁判権はありません。

 

このようなアメリカとドイツ、イタリアとの関係を「互恵的(reciprocal)」と言います。

アメリカの宿主をしている国はたくさんあります。アメリカが持っている地位協定は、実に、100以上あるそうです。

地位協定の問題というのは、裁判権だけでなく、環境権、基地や空域の管理権が焦点となるのですが、アメリカは、全てのNATO同盟国に、この全ての分野において「互恵的」な関係を認めています。

日米間にはそれはありません。

日本と同じ敗戦国でもドイツやイタリアは白人だし、NATOという軍事同盟だからしょうがないと言う向きもあるでしょうが、アメリカは二国間地位協定において、裁判権での互恵性を、例えば、フィリピンとイスラエルにも認めています。

イラク(後に決裂しますが)やアフガニスタンにおいては、「準互恵性」を認めています。例えば、アフガニスタンにおいて米兵が公務上の過失を犯した場合、一次裁判権はアメリカにありますが、アフガン側にアメリカの軍法会議に立ち会う権利を地位協定で明記してあるのです。これも日本にはありません。

横田空域みたいなものは存在しません。ドイツ、イタリアを含む全てのNATO諸国、イラク、アフガニスタン、フィリピン、そしてPartnership for Peace (PfP)という旧ソ連邦構成国においても、米軍の基地、空域、海域は、全て受け入れ国の主権の下に管理されています。

米機が落ちた現場を、米軍兵士が出かけて行って封鎖するなんてことは、まず、あり得ません。主権国家の中で、そういう事故によってつくられる非日常を統制し、日常から隔離するのは、その主権国家の、まず警察であり、必要であれば国軍であり、外国軍であるハズがないのです。

60年間ずっと変わっていない。まるで占領下のような地位協定は、日米地位協定しかないのです。(詳しくは:http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48780


まずは地位協定の「改定」から

「活米」。非常に良い言葉だと思います。

でも、アメリカの活用とは、まず、日本の国のあり方が問われる問題だと思います。「従属」では、活用されることはあっても、活米など絵に描いた餅です。

なら、「活米」をどのように実現していくのか。どこから手をつけるのか。

地位協定の「改定」から始めるのが一番良いと思います。これは反米ということではありません。活米するために地位協定を改善する。こういう発想があってもいいと思います。

それでも、日米地位協定の改定と言うと、「反米」のコンテクストで語られることが圧倒的に多いので、少しパラダイムを変えていかないといけません。

「活米」のためにまず必要なのは、地位協定の安定であるというふうに。

 

「地位協定の安定」。

実は、アメリカは、駐留米軍が引き起こした様々な「事件」を契機として嫌米の国民運動が高揚し、フィリピンやイラクで完全撤退を余儀なくされているのです。

これを歴史的な経験値として、アメリカ自身が、その「安定」ための妥協を地位協定の「改定」という形で試行錯誤してきたのです。

〔PHOTO〕gettyimages

それが、NATOの中でも、駐留米軍のプレゼンスが特に大きいドイツやイタリアとの補足協定に代表される「改定」です。

ちなみに、日本の外務省のHPには、「ドイツは,同協定(上記補足協定)に従い,ほとんど全ての米軍人による事件につき第一次裁判権を放棄しています」とあります。(http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/sfa/rem_03.html

これは、許しがたいミスリードです。真実は全くこの逆で、強盗、レイプや殺人については、どんな場合でも、ドイツの裁判権で裁くと明確に書いています。(1998年NATOドイツ補足協定第19条2項)

アメリカが締結している地位協定を比較調査すると、それらの「改定」の歴史とは、まさに「“平和時”の異国に軍を駐留させるという、受け入れ国にとって異常な状況をアメリカ自身が認識するなかで、国益の保護と、国の命で赴かされる米兵が異国の法で裁かれるのをいかに阻止するか」の試行錯誤だということが分かります。

ですから、「平和時の駐留」を強いる米と受け入れ国の関係の「安定」を希求するのは、まずアメリカ自身であり、だからこそ、現地社会の不満の「ガス抜き」の交渉に応じ、譲歩を、地位協定の「運用」ではなく、広く、透明性を持って、現地社会の感情に訴えかけられるように、衆知が及ぶ「改定」という形で示してきたのです。

そう。「改定」でなければならないのです。

右/左を超えた課題

地位協定の改定に向かう譲歩は、歴史的に以下のようにパターン化されております。(アメリカ政府自身の米連邦諮問委員会任命の国際治安諮問会議、2015年”Report on Status of Force Agreemnts”を参照)

① 互恵性裁判権の特権をお互いに認め合う。つまり、受け入れ国の軍がアメリカに駐留した時も、同じ一次裁判権を与える。

② 透明性:互恵性を認めない場合でも、アメリカの第一次裁判権の行使における受け入れ国の監視権を認める。米軍事法廷に立ち会える権利です。

③ 「業者」の扱い:戦争の「民営化」が進み民間軍事会社を含む「業者」の役割が増す中、業者の社員は米軍と直接的な雇用関係にはありません。つまり米軍は直接的な監督責任を追えないので、「業者」については公務内/外ともに、全面的に受け入れ国側に一次裁判権を認めます。ちなみに、「シンザト」は業者でしたが、日米地位協定では「軍属」としての裁判権上の特権が与えられていました。

④ 基地の管理権、制空権:「平和時の駐留」なのですから、受け入れ国の主権が地位協定を支配するという考え方は至極当然で、訓練を含む駐留米軍の行動は、全て、受け入れ国政府の「許可制」です。

⑤ 環境権:④と同じく、最優先されるべき受け入れ国の主権の下、受け入れ国の環境基準に従う。

「地位協定の安定」を目指すなら、地位協定が「改定」されないことは、おかしいのです。

日本は改定なしで60年やってきたからいいじゃないかと言われそうですが、誰がフィリッピンやイラクでの全面撤退を予測できたでしょうか? 

今まで壊滅的な反米の国民運動にならなかったのは、ひとえに米軍基地が、沖縄に集中しているからです。「迷惑施設」を押し付けられた地元民の不満は、どんな強権を用いても、抑え込むことはできません。それが、”民族意識”のようなアイデンティティで括られる場合は、なおさらです。

 

歴史を紐解けば、こういう局地的なアイデンティティを基盤とする社会不満は、予測不可能な事故によって増幅し、分離独立運動へと帰着します。

そういうところに「集団的自衛権」が悪用され周辺大国が介入し、内戦化するのが、互いに敵対する大国の狭間に位置する、いわゆる「緩衝国家」の末路です。日本は、地政学上、典型的な緩衝国家なのです。

米軍の基地を集中的に受け入れている沖縄県民が周知できるように(*)、「運用」ではなく「改定」で、その不満を少しでも取り除いていく努力は、「活米」に不可欠なのです。

これは、右/左、親米/反米を超えた課題なのです。

(*)駐留米軍最高司令官と国軍最高司令官が同等の責任を分かち合うイタリアの補足協定では、米軍基地があることで迷惑をかける県や市などの地方政府と当該米軍責任者は、オフィシャルなチャンネルを持つ、とさえ定めています。(1995年米イタリア補足協定第19条)
 
 
 
 
 
 
 

台湾が脱原発法を可決、アジア初 2017.1.11/ 5万人の市民が台北駅前を占拠 政権に稼動凍結を表明させた=2014年4月28日

2017-01-15 16:45:48 | 福島、原発

  

Domestic | 2017年 01月 11日 21:47 JST   http://jp.reuters.com/article/idJP2017011101001576より転載

台湾が脱原発法を可決、アジア初

 
  【台北共同】台湾の立法院(国会)は11日、2025年までに、3原発6基の原子炉を事実上、全て廃炉にすることを盛り込んだ電気事業法の改正案を可決した。総統令を経て発効する。代替の再生エネルギー拡大を進める内容で、東京電力福島第1原発事故後、欧州ではドイツなど脱原発にかじを切った例があるが、日本のNPO法人「環境エネルギー政策研究所」によると、アジアでは台湾が初めて。

 民主進歩党(民進党)の蔡英文総統は昨年1月の総統選で、25年までの脱原発を公約に掲げて当選した。

 改正法は「原子力発電設備は25年までに全て運転を停止すべきだ」と明記。
                                                            【共同通信】

 

**************************************:

  2014年3月8日、13万人の反核デモ、4月22日、林義雄さんが死を覚悟して無期限断食を開始、4月27日、5万人が台北駅前の8車線道路を11時間占拠。台湾の反原発運動がさらに強まっています。

3月18日から3週間も続いた、若者たちの立法院(国会)占拠など、社会に大きなうねりが見られます。

このような運動の中、馬英九総統がついに第四原発の建設停止を発表しました。

 

ノーニュークス・アジアフォーラム通信No.128より

5万人が台北駅前を占拠

馬英九政権 「第四原発、稼動・工事凍結」を宣言 




(自由時報・蘋果日報の記事より翻訳・構成)  陳威志

 第四原発の廃止を訴えるため、台湾の苦難の歴史のシンボルである林義雄弁護士が、死を覚悟して、4月22日に無期限断食を開始した。

 それに呼応する形で、全国126団体による「原発廃止全国ネットワーク(全国廃核平台)」は動き出した。26日、大勢の市民が総統府前に座り込んだ。その場で、翌日のデモ行進とともに道路占拠を行なうことが予告された。

 27日午後、「原発を終わらせよう、主権を市民に返せ(終結核電、還權於民)」と叫びながら、デモ隊は、総統府前の凱達格蘭大道から出発した。主催側の発表では、約5万人の参加という。

 忠孝西路の台北駅に面したエリアに着いたデモ隊は、予告通り、道路占拠を図り、人数の勢いで警察の封鎖を突破し、忠孝西路の全車道が占拠されることになった。激動の事態展開のなか、馬英九政権は妥協し、第四原発の「稼動・工事凍結」を発表した。
 

● 第四原発を終わらせよう!
          主権を市民に返せ!


 「占拠」の幕は27日朝から開いた。総統府前で一夜を過ごした市民たちは、馬英九政権の民意無視・独断専行に対抗する意味で、「参加討議型民主主義」のやり方で、第四原発の行方について議論した。



 その結果を集約した「核四(第四原発)市民意見書」を発表した後、15時20分、林義雄さんの呼びかけで1994年に設立されたグループ「人民作主行動」のメンバーを先頭に、デモ行進が景福門からスタートした。デモ隊は予定どおり、中山南路、常徳街、公園路、襄陽路、舘前路を歩いて、16時に、忠孝西路に着いた。行進中、「ぐずぐずするな、直ちに第四原発を中止しろ!」という市民の怒り声は、絶えなかった。

 参加者が続々と忠孝西路に寄り集まったとき、街宣車から「原発を終わらせよう、主権を市民に返せ」という暗示的な指示が出された。それを聞いて、もともと台北駅前の三越百貨店の手前にいた市民たちが、道路分離柵を乗り越え、向かい側の車道に突入した。市民たちはすぐさま、事前に用意した折り畳み式の椅子を出して座ったり、横になったりした。市民たちは一気に押し寄せ、交通が遮断され、忠孝西路全車道(8車線)の占拠が果たされた。そのとき、台北市警察局による警備体制はわずか1800人だった。

 忠孝西路と公園路の交差点にいた警察は、占拠の人々に対して、「集会法に違反。直ちに撤収しないと逮捕する」という札を4回も出したが、人数の差があまりにも大きいため、16時半に機動隊は撤収した。そのとき、忠孝西路の舘前路との交差したエリアから、中山南路との交差のエリアまでが、市民に埋め尽くされたのだ。



● 原発事故の怖さを訴えてダイイン

 16時半ごろ、原発事故通報サイレンのような音が鳴り、参加者たちが次々と道路で横になって「緊急時演習」を行なった。高周波音によって、原発事故が発生したときの恐怖を人々に感じさせ、現場は静まり返った。

 交通への影響を承知したうえで、あえてこのような行動をとることには、いままで馬英九政権が、何度も市民との約束を破り、民意を無視してきたという背景がある。

 緑色公民行動連盟事務局長の崔愫欣(チェスーシン)は、「林義雄さんの命が少しずつ衰えてゆき、われわれ市民の怒りもどんどん増えていって、もう我慢の限界だ! 権力を奪い返そうじゃないか!」と、激しく当局を非難した。


● 第四原発建設・稼動は
        きっぱり中止すべき


 事態が厳しくなっていったなか、27日の夕方、地方自治体首長との討論のあと、馬英九総統は譲歩した姿勢を見せることになった。総統府は以下の声明を出した。「第四原発1号機を稼動させない。安全審査を行ない、その後しばらく凍結する。2号機は全面工事停止。第四原発の稼動に関しては、国民投票で決める。また電力供給に支障を与えないように、行政院は全国エネルギー会議を開く」

 しかし、原発廃止全国ネットワークは「受け入れがたい」という態度を表明し、行政院に「第四原発建設・稼動の『中止』をただちに命じろ」と断固要求した。

 占拠現場は、夜の忠孝西路に、8000人が残っていた。


● 28日未明、強制排除が始まった

 連日の行動でやはり疲労困憊か。零時を越えると、人数は2000人に減った。そんななか、排除に向けて警察が動き出した。1800名の機動隊が、28日未明から、40回ほど放水銃を発射しながら、忠孝西路と館前路との交差点から、中山南路との交差点へと攻めてきた。

 放水を受けた人々は倒れて、機動隊がすぐさま人を排除していくが、必死に反抗する市民たちもいた。いっぽう、路上から運び出された多くの市民が、暴力に負けず、また現場に戻って座る光景も見受けられた。放水、排除、対抗のくり返しだ。

 排除されたのは市民たちだけではなかった。忠孝西路の歩道橋まで突入できた機動隊は、5時ころ、歩道橋の上にいた記者らを追い払い始めた。拒否しようとしたapple dailyの張記者が強行に運び出され、けがをした。 

 朝7時7分に、忠孝西路は通常の交通状態に戻ったが、一部の市民は総統府前に戻り、座り込みを続けた。


● 約束を履行するかどうかを
              見つめていく


 一旦落ちついた28日の午後に原発廃止全国ネットワークは記者会見を開いた。会見で、第四原発の稼動・工事凍結宣言を、運動の初歩的、段階的な成果だと評価したが、第四原発が本当に廃止されるまで引き続き監視していくと語られた。「行政院が約束を本当に守るかどうかを見つめていく必要がある」と強調された。


● 民間版「公民投票法修正案」の提出

 原発廃止全国ネットワークの発言者(マスコミ対応係)である台湾人権協会の邱伊翎は、さらに以下のように語った。「きっぱり第四原発廃止を決断しない行政院は、政府の責任を果たすどころか、その責任を市民に押しつけようとしている。きわめて遺憾だ。公民投票法の成立条件に関する抜け穴の問題は周知されていて、法改正を行なわないかぎり、市民は到底受け入れがたいだろう。私たちは近々、市民版の修正案を提出する予定で、その可決を要求していく」

追伸:4月30日、林義雄さんは断食活動を終了した。
                     
 (「183項目に及ぶ安全審査は1〜2年はかかるとされるため、第四原発稼働問題は馬英九政権では凍結され、2016年に誕生する新政権下の民意に判断が委ねられることになった」との報道もあります)





 

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ノーニュークス・アジアフォーラム通信 No.128 もくじ 
     (14年6月20日発行)B5版20ページ

● 5万人が台北駅前を占拠 
 ― 馬英九政権「第四原発、稼動・工事凍結」を宣言 ―  (陳威志)       

● 台湾人に感謝します 
―絶食を停めるにあたり皆様にお伝えします                   (林義雄) 

● 断食する林義雄さんに届けたメッセージ                    
● 川内原発「再稼働」反対!
  ― 県議会開会日、県庁前集会に1100人 ―                   (杉原洋)           

● 三菱が原発を輸出しようとしているトルコ・シノップで1万人デモ
  「幸福なシノップに原発はいらない」
        (ルファット・ドーアン)        

● サムチョクに希望を見出すも、脱原発の政治イシュー化には遠く (高野聡   

● 顕在化するインドネシア・バンカ島の原発建設計画  (遠山勝博)   

● インド・クダンクラム原発反対運動(15)  

● 福井地裁・大飯原発差し止め判決! 「原告の一人として」 (水戸喜世子) 

● ノーニュークス・アジアフォーラム関連 Ustreamアーカイブ (中島貫) 

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