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山本太郎が追及を広めた「安倍政治は、米国の対日提言の“完全コピー”」

2015-10-26 12:04:24 | ご案内

日刊SPA!http://nikkan-spa.jp/955586より転載

山本太郎が追及を広めた「安倍政治は米国の対日提言の“完コピ”」<iframe class="hatena-bookmark-button-frame" style="height: 20px; width: 50px;" title="このエントリーをはてなブックマークに追加" src="javascript:false" frameborder="0" scrolling="no" width="50" height="20"></iframe>

山本太郎

参議院会館で取材陣に対し、アーミテージ・ナイリポートの内容について熱弁をふるう山本太郎氏

 
――国会審議で野党議員が「武器弾薬の輸送」についての中身を詰めていくと、銃弾や砲弾や手榴弾、果てはミサイルや核兵器まで条文上は輸送可能になっていることが明らかになりました。

山本:それで「誰が望んだのか」と追及されて、去年7月に集団的自衛権行使容認の閣議決定で憲法解釈を変えたのも、今回の安保法制が作られていくのも「『日米ガイドラインの改定』でアメリカから求められたことが発端だった」と政府は認めた。「米軍のニーズ」と抜け抜けと言うこと自体、安倍政権はおかしくなっている。この国は誰のものなのか。

 今回の安保法制でも、安倍総理は米国議会で夏までの成立を約束しました。日本国内で言っていないことをアメリカに渡ってから宣言することが多い。麻生財務大臣が「日本の水道を民営化する」と’13年4月に宣言したのも、日本国内ではなく米国のCSISです。「おまえ、何さまだ」「おいおい誰が『国民の財産を勝手に民営化していい』と言ったのか」とツッコみたくなりましたが、「ここで発言したら実行に移すしかない」というように見えます。「宣言させられる」と言ったほうがいいかもしれません。結果、米国の対日要望を次々と受け入れている。

――日本は今後、どういう選択をするべきだと思いますか。

山本:米軍の準機関紙『スターズ・アンド・ストライプス(星条旗新聞)』は5月13日付で「アメリカの防衛予算は、すでに日本の自衛隊を当てにしている。’16年のアメリカ防衛予算は新法案可決が前提で、4万人の米軍兵員を削減、防衛予算も減らす方向」と書いてありました。米国の権威ある外交政策研究季刊誌『フォーリン・ポリシー』(7月16日付)も「日本の軍事面での役割が拡大、日本政府が多くの最新の装置を買うことは、ペンタゴンとアメリカの防衛産業にとって良いニュース」とあり、日本政府の購入予定兵器と社名を列挙していました。米国側が国防予算削減でカネがかからない上に、自国の国防産業の金儲けになるメリットを淡々と語っているのに比べ、日本側は悪夢の近未来図をひた隠しにしているのです。

――今回の法案成立で、PKO活動における「駆け付け警護」が可能になりました。

山本:イラクに派遣された自衛隊員のうち、(退職者を除く)自衛隊員の自殺者は合計56人。一方、アメリカの退役軍人省は’10年度予算としてメンタルヘルス対策費45億6000万ドルを組んでいます。これほどの予算が日本でも必要になることを安倍政権は考えているのか。予算がつけば、他の社会保障費が削られるのは必至。日本は結局、戦争国家になって財政破綻することになりかねないのです。

【山本太郎氏】
’74年生まれ。俳優を経て’13年に参議院議員に。現在、「生活の党と山本太郎となかまたち」に所属

― 安倍政権[アメリカ追従政策]悪魔のリスト ―
 
 
 
 
 

2030年の電源構成原案に対する、「脱原発」9割の公募意見を国は隠ぺい、公表せず。

2015-10-26 11:53:28 | 福島、原発

2030年の電源構成原案に対する、「脱原発」9割の公募意見を国は隠ぺい、公表せず。

http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2015102602000070.htmlより転載

中日新聞 2015年10月26日 朝刊

公募意見「脱原発」9割 国、電源構成に反映せず

 経済産業省が二〇三〇年度に目指す電源構成(エネルギーミックス)のうち、原発の占める割合を「20~22%」とする報告書をまとめる際に国民から意見を募った「パブリックコメント(意見公募)」で、原発への依存度をさらに引き下げるか、ゼロにするよう求める意見が約九割に上っていたことが分かった。寄せられたすべての意見を本紙が情報公開請求して取得し、分析した。

◆本紙が情報請求

写真

 政府は国民から意見を募集しながら全体傾向や詳細は明らかにしないまま、原案通り構成目標を決定しており、一般の人々からの異論を「封殺」するかのような国民軽視の姿勢が浮き彫りになった。

 経産省は今年六月に電源構成の原案を示し、六月二日から七月一日まで意見公募を実施。メールやファクスなどで二千五十七件(本紙集計)が寄せられた。しかし、経産省は意見の全容を示さず、七月十六日に原案通り電源構成を決定した際、件数と、いくつかの意見を公表したにとどまった。

 本紙の情報公開請求で開示された文書は三千三百八十六ページ。この内訳を分類したところ、原発については千六百十七件の意見があった。うち依存度を引き下げるか、ゼロにするよう求める意見は千四百四十九件で、89・6%だった。原案の依存度を支持するか、さらなる拡大を求める「維持・推進」は三十八件で2・4%にとどまり、賛否の判断が困難な意見は百三十件で8%だった。

 原発比率引き下げを求める理由は「老朽原発の稼働を前提としていて事故が心配」「使用済み核燃料の処分方法が解決していない」などが多かった。

 政府原案が「22~24%」とした再生可能エネルギーについての意見は延べ千六百六件(原発への意見と重複分含む)。うち91・7%の千四百七十二件が「もっと増やす」ことを要求。原案の支持か、比率引き下げを求める意見は十四件(0・9%)にとどまった。

 行政手続法は各省庁が重要な指針などを決める際は意見公募し結果を公表するよう定めているが、公表範囲は各省庁の裁量に委ねられている。民主党政権下の一二年、将来の原発比率を決める際は政府は公募意見約八万八千件を分析、87%が「原発ゼロ」を支持していることを公表していた。

 <電源構成(エネルギーミックス)見通し>中長期的に日本がどんな電源に発電を頼るかについての比率。この見通しに沿う形で、政府は規制や財政支出を行い、電力各社も原発の運営方針や、再生エネルギーの活用策を決めるため、日本のエネルギー政策の基本となる重要な数字。家庭の省エネ目標もあり、国民生活へのかかわりも深い。2030年度時点の見通しは、14年4月に安倍政権が閣議決定したエネルギー基本計画に基づき、経済産業省の審議会の報告も反映して今年7月に策定した。

 
 
 
 

橋下市長の詐術に騙されるな! 維新の政党交付金を横取りしようとしたのは橋下ら大阪組のほうだった

2015-10-26 11:07:23 | 政治 選挙 

リテラ http://lite-ra.com/2015/10/post-1620.htmlより転載

橋下市長の詐術に騙されるな! 維新の政党交付金を横取りしようとしたのは橋下ら大阪組のほうだった

2015.10.25
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橋下徹オフィシャルウェブサイトより


 維新の党の分裂騒ぎがエスカレートの一途をたどっている。昨日10月24日には橋下徹・大阪市長率いる維新・大阪組が独自に臨時の党大会を開き、維新の党の解党を決定。橋下市長は松野頼久代表を「有印私文書偽造、同行使罪で告訴する」と宣言。一方、松野代表ら現執行部側は「党大会は無効」として解党を認めない方針で、こちらも大阪組を刑事告訴することを示唆している。

 まさに醜悪な泥仕合としか言いようのない事態だが、しかし、形勢は大阪組が圧倒的に優位に立っている。

 というのも、橋下市長がお得意の印象操作で、世論を丸め込みつつあるからだ。

 橋下市長はこの間、ツイッターで「維新の党のへなちょこ国会議員」「(残留組は)ほんとダメ集団」「日本にとって害悪」「維新の党は、朝鮮労働党日本支部になってしまった」と罵倒。そして、維新の党解党と政党交付金国庫返納をぶちあげた後は、「政党がこんな事態に陥ったのであれば政治家としてリセットするのが筋。にもかかわらず維新の党の国会議員は、カネと看板にこだわる」といった主張を繰り返した。

 その結果、“スジを通そうとしている橋下市長・大阪組に対して、残留組は政党交付金欲しさに党存続にしがみついている”というイメージがすっかり浸透してしまった。

 だが、実際はどっちもどっち。いや、むしろ先に政党交付金を横取りしようとしたのは、橋下市長ら大阪組なのだ。

 維新の党は10月20日に約6億6600万円もの政党交付金を受け取っているが、これは大阪組が代表と認めない松野代表の名前と維新の党の印鑑を使って申請したものだった。大阪組は当初、「分党」という形で、この金の半分をよこせ、と主張していた。それが聞き入れられなかったため、解党や国庫への返還を言いだしたにすぎない。

 しかも、執行部側が支払いを拒否したのも理由があった。それは、これまでこの政党交付金が大阪組の使い放題にあったからだ。大阪都構想の住民投票では、橋下市長らが党のカネ6億5000万円も、大阪組の新代表に選出された前国対委員長の馬場伸幸衆院議員は毎月300万円もの党のカネを使って、連日連夜、ドンチャン騒ぎをしていたことを日刊ゲンダイに報じられた。

 橋下市長は自分たちにこんな実態がありながら、執行部・残留組を「金の亡者」と攻撃しているのである。まさに、話のスリカエ名人、詐術師・橋下の真骨頂という感じだが、実は、橋下市長はもっと前、最初の段階から嘘八百をふりまき、維新の党を引っ掻き回していたらしい。

 今回の騒動で幹事長を更迭された残留組の柿沢未途衆院議員が、「週刊新潮」(新潮社)10月29日号で「橋下市長の嘘で騙された!」と告発している。

 今回の分裂は柿沢氏が山形市長選挙で民主・社民が応援する候補予定者の応援演説を行ったことが発端だった。柿沢氏の行動に対し「民主党と連携するなど言語道断」と激怒した松井一郎顧問が柿沢氏の辞任を要求。執行部がそれを拒否したことから、松井・橋下コンビが離党と新党立ち上げを表明した。

 しかし、柿沢氏によると、橋下市長は当初、「『柿沢さんを辞めさせる必要なんてないんです』ということを言っていた」のだという。

 実際、8月27日の離党表明前に送られてきた橋下市長のメールにも「党は割らない。柿沢さんは辞める必要はない」と記されていた。だがその翌28日、橋下氏は突然、新党を立ち上げることを表明したのだ。

 おそらく、橋下市長は、柿沢幹事長に自ら辞任されたら、党を割る大義名分がたたないため、わざわざ「辞める必要はない」などと騙したのだろう。

 また、橋下市長は分党交渉が決裂すると、「松野代表の任期は9月30日までで、現在は代表不在である」と言い出し、強引に大阪組だけで解党決議にもっていった。しかし、柿沢氏によると、そもそも任期の切れる9月に代表選をやらずに、松野代表の任期を延長させようと言いだしたのは、橋下市長自身だった、と言うのだ。

 実際、橋下市長が7月2日、柿沢氏あてにこんなメールを送ったことが明らかになっている。

〈ダイレクトに言いますが、維新の党の代表の任期がいつになろうが、少々延びようが、国民には何の影響もありませんし、もちろん党にも影響はありません。それよりも、この代表戦で党員拡大を狙うことの方が最大の利益です。〉
〈党員拡大に合わせた代表選日程にすべきです。〉

 柿沢氏がこれに対して賛同しつつも、手続き上、執行部からは提案できないと返答すると、橋下市長は〈柿沢幹事長 仰る通りですね。それなら僕らが声を上げます。第一ミッションは党員拡大と大統領選挙型代表選挙。その戦略を追行できるスケジュールをしっかり練って、スケジュールに代表選を合わせる。〉と返している。

 柿沢氏は橋下市長のやり口に対し、こう真っ向から批判している。

〈もう嘘や屁理屈はやめましょう。政権にすり寄りたいがために、「政権交代可能な野党をつくる」という党是をないがしろにして、さっさと党を出て、脅せば分党は何とかなると思いきや通らないと分かると、異常な無理筋の法律戦でこちらのイメージダウンを狙う。もう怯まないと思いますよ、こちらも。〉

 また、先の「新潮」記事では、橋下市長をこのように痛罵している。

「つまり、交渉の分が悪くなった突端、自分で自分の言っていることをひっくり返す。言わば、嘘八百の世界。今の橋下さんは、ご都合のへ理屈を振りかざす嘘つきなのです」

 もっとも、こうした松野氏や柿沢氏ら執行部・残留組の主張を聞いていると、一方では「何を今さら」という感じもする。

 というのも、橋下市長のご都合主義や二枚舌は今になって始まったものではないからだ。これまでも数限りない嘘と態度豹変を繰り返してきたし、本サイトも再三再四それを指摘してきた。

 すっかり有名になった橋下市長の弁護士時代の著書『最後に思わずYESと言わせる最強の交渉術』(日本文芸社)には、冒頭、こんな橋下流詐術のノウハウが自慢げに書かれている。

「相手を思い通り動かすかけひき論、約束を反故にし、相手を言いくるめていくレトリック、自分のペースに引き込む話術のポイント、ピンチを切り抜ける切り返し術などさまざまな方法論をこれから具体的に説いていく。(略)こちらに有利な条件で交渉をまとめあげることである。そのためには、黒を白と言わせるような、さまざまなレトリックも使っていく。まさに詭弁を弄してでも相手を説得していくのである。場合によっては、“言い訳”や“うそ”もありだ」

 ピンチを乗り越えるためには“言い訳”や“うそ”もオッケー。橋下市長は今回もいつもと同じように、黒を白と言いくるめる詐術を使っただけなのだ。

 いや、今回はもっとえげつないかもしれない。この分裂騒動での行動はピンチに追い込まれて、というより、むしろ自分たちの野心を達成するために、意図的に東京組を煽り、分裂を仕掛けた可能性が高いからだ。

「もともと、橋下市長と松井知事は、6月の安倍首相、菅官房長官との会談で将来の与党への合流という密約をかわしており、あとはいつ分裂を切り出すかというタイミングだけだった。そこに、柿沢氏の応援演説問題が起きて一気に仕掛けたということでしょう。11月のダブル選挙に向けて“東京組”を「改革の敵」と位置づけ、自分たちこそが新たな改革の担い手であることをアピールするという、いつもの手法です。まんまと騙された執行部は政治家として甘すぎる」(政界関係者)

 こういう詐欺師がのし上がっていけるのが、この国の政治の世界ということなのか。
田部祥太

 

 

 

 


【産経新聞】内閣法制局長官が臨時国会召集要求に応じなくても違憲ではないと答弁したというのは本当か?

2015-10-26 10:24:06 | 報道

http://bylines.news.yahoo.co.jp/minaminoshigeru/20151025-00050815/より転載

内閣法制局長官が臨時国会召集要求に応じなくても違憲ではないと答弁したというのは本当か?

かつて私は、集団的自衛権についての政府解釈に関して、産経新聞が事実に反する報道を繰り返していることを批判したことがある(拙稿「岸内閣が集団的自衛権を容認する答弁をしたというのは本当か?」を参照)。

 そこでは、1960年の「安保国会」における岸信介首相と林修三法制局長官の答弁について、その一部分だけを恣意的に切り取ったり、あるいは文脈を全く無視した意味づけを与えたりすることで、本来の答弁趣旨とは完全に異なった、社論に都合のよい理解を読者に与えようとしていることを批判したのであった。産経記者団に対しては、報道に携わるはずの人間として、まずは反省していただいたうえで、今後は引用は正確に、そして文脈を踏まえて適切な読解をしてほしいと私が望んでいたことは言うまでもない。

ところが私のそのような期待は見事に裏切られてしまった。昨日のことであるが、私は本サイトにおいて、現在問題になっている憲法53条に基づく野党議員の臨時国会召集要求について、それを無視しようとする安倍内閣の姿勢を憲法論の観点から批判する論説を発表した(拙稿「安倍政権が臨時国会を開かないのは憲法違反である」)。発表後、またしても産経新聞が、過去に内閣法制局長官がこのような場合に臨時国会を召集しなくても憲法違反ではないとの答弁をしたと報道していることを知った。結論から言うと、この報道もまた、岸答弁や林答弁についての同紙の報道と同じく、事実をねじ曲げるものであり、安倍政権の姿勢を支持し、民主党をはじめとする野党を批判せんがために都合良く「切り取り引用」がなされたものであるので、この点について説明を補っておくこととする。

くだんの産経新聞の記事はこちらである(《民主、臨時国会要求でまた“ブーメラン” 自民改憲草案「20日以内召集」 でも自らは改正放置 頼みの法制局長官も過去に「違反でない」》)。
 「ブーメラン」なる俗語表現を見出しに用いることが全国紙として品性を欠かないかということを筆頭に、同記事にはいろいろと批判せざるを得ない点が含まれているのではあるが、ここでは、内閣法制局長官の答弁についての一点に限定して述べることにしよう。

同記事は、つぎのように述べる。短い記事であるが、内閣法制局長官の答弁に触れるくだりは2箇所ある。

〔1箇所目〕安全保障関連法の審議で頼った歴代内閣法制局長官の国会答弁でも、「臨時国会見送り」の違憲性は否定されており、(民主党は)批判が己に返る「ブーメラン政党」の本領を発揮した。

〔2箇所目〕小泉純一郎政権下で臨時国会の召集が見送られた15年12月の参院外交防衛委員会(閉会中審査)で、当時の秋山收内閣法制局長官は「あえて臨時国会を召集しなくても、憲法に違反するというふうには考えておりません」と答弁。憲法の規定に基づく要求があっても臨時国会を召集しないことについて、「立憲主義」の観点から合憲とのお墨付きを与えた。

民主党の批判は、皮肉にも同党が内閣法制局長官の答弁を都合良く解釈している実態をも浮き彫りにした。

さて、1箇所目については、「歴代」ーーと言うからには少なくとも2人以上のはずであるーー内閣法制局長官が国会答弁で臨時国会見送りの違憲性を否定している事実は確認できない。そもそも、違憲性の否定はおろか、「歴代」内閣法制局長官が国会で憲法53条の臨時国会召集決定要求について答弁している事実が、少なくとも私の調査した限りでは発見できなかった。唯一の例外として、上記記事の2箇所目が述べる秋山長官の答弁が確認できるのみである。たった一人の長官のことを「歴代」というのは、日本語として端的に誤っている。産経新聞には、是非、私の調査が間違っており、実際には「歴代」長官が違憲性を否定しているのだという証拠を出していただきたいと思う。とはいえ、この点は百歩譲って言葉尻に噛みついたような批判と言えば言えなくもなかろう。一人しかいない答弁を意図的に「歴代」とすることにより不当な印象操作を行っているとまでは思いたくない。

そして、2箇所目。こちらこそが(わざわざこの論説を書こうという気に私をならせた)重要なポイントである。この記事が述べる「15年12月の参院外交防衛委員会」というのは、平成15(2003)年12月16日の参議院外交防衛委員会のことである。マニフェスト解散後の特別国会(第158回国会)は11月27日に会期が終了しており、その日に衆参両院議員が憲法53条にもとづき臨時国会の召集を要求しているが、召集がなされないまま、参議院では、12月3日(憲法審査会)、5日(財政金融委員会)の2日間に続き、16日に外交防衛委員会の閉会中審査が行われていたときのものである。

民主党・新緑風会の齋藤勁参議院議員から、53条要求を出しているのに内閣が明確な対応を取らないことについて内閣としての見解を問う質問がなされたのに対し、事前通告なしの質問であったこともあり、福田康夫内閣官房長官が、

私、正確に条文見ていませんけれども、たしか要求のあったときは、これは、例えば次の国会が近いというときにはその国会でよいというような判断もできるように理解しておるところでございます。ちょっと正確に記憶いたしておりません。

と曖昧な答えをした。そこで、齋藤議員のさらなる追及に対して、上記の産経記事(2箇所目)に登場する、秋山收内閣法制局長官が政府参考人として答弁に立ったのであった。秋山答弁の全文を引用する。

憲法第53条の問題でございますので、一般的な考え方を御説明いたしたいと思います。

憲法53条後段は、「内閣は、」その要求があった場合に「その召集を決定しなければならない。」と規定しておりますが、召集時期につきましては何ら触れておりませんで、その決定は内閣にゆだねられております。

このことから、いつ、いつ召集してもいいということではもちろんございません。臨時会の召集要求があった場合に、仮にその要求において召集時期に触れるところがあったとしましても、基本的には、臨時会で審議すべき事項なども勘案して、召集のために必要な合理的な期間を超えない期間内に召集を行うことを決定しなければならないというふうに考えられているところでございます。

もっとも、この合理的な期間内に常会の召集が見込まれるというような事情がありましたら、国会の権能は臨時会であろうと常会であろうと異なると、異なるところはございませんので、あえて臨時会を召集するということをしなくても、憲法に違反するというふうには考えておりません。

出典:国会会議録検索システム

通常の日本語能力のある読者にはもはや詳細な説明は不要であろうが、ここで秋山長官は、召集時期については憲法に規定はないからその決定は内閣に委ねられているものの、いつ召集してもいいというわけでは当然なく、「召集のために必要な合理的な期間を超えない期間内に召集を行うことを決定しなければならない」と述べたうえで、この「合理的な期間内に」「常会(=通常国会)の召集が見込まれるというような事情がありましたら」「臨時会(=臨時国会)を召集するということをしなくても」憲法に違反しない、としているにすぎないのである。

「合理的期間内に通常国会の召集が見込まれるのであれば」という条件の部分が重要であることは言うまでもない。なお、2003年のこの事例では、11月27日に53条要求が提出されたが、そもそも11月27日まで特別国会が開かれていたのであるし、その閉会後、年末年始を超えて、1月中には通常国会が召集されるのが常例であるから、12月下旬までの3週間、年末年始を省いて1月中旬までの1週間程度を合わせて1ヶ月程度の期間を、「国会召集のために必要な合理的期間」とみなすことは不可能ではあるまい。そうすると、翌年1月19日に通常国会が召集されることで、憲法53条後段違反の非難をかわすことも可能となろう。

秋山答弁は、上記のようなスケジュール(11月下旬まで特別国会が開かれており、11月下旬に53条要求が出され、1月下旬までには通常国会召集が見込まれる)をおそらく念頭に、しかしあくまでも一般論として、「合理的期間内に通常国会の召集が見込まれるのであれば」「臨時国会の召集を見送っても」違憲ではない、と述べたものだったのである。もう一度上記産経記事の2箇所目を見ていただければその違いは一目瞭然だとは思うが、決して、産経記事の言うように、

当時の秋山收内閣法制局長官は「あえて臨時国会を召集しなくても、憲法に違反するというふうには考えておりません」と答弁。憲法の規定に基づく要求があっても臨時国会を召集しないことについて、「立憲主義」の観点から合憲とのお墨付きを与えた。
…わけでは毛頭ない。

産経のこの言い方では、まるで秋山長官は53条要求には一般的に応じる必要がない、と答えたかのように読めてしまうだろう。私が、この記事はあまりにも酷いと思う所以である。ここで再び、産経記者団には、引用は正確に、文脈を押さえて紹介すべきという、およそジャーナリズムの基本中の基本であるはずの作法に則った報道をお願いしたい。「民主党の批判は、皮肉にも同党が内閣法制局長官の答弁を都合良く解釈している実態をも浮き彫りにした」と批判する産経新聞の記事は、皮肉にも同紙が内閣法制局長官の答弁を都合良く解釈している実態をも浮き彫りにしたと思う。

 

南野森 九州大学法学部教授

京都市生まれ。洛星中・高等学校、東京大学法学部を卒業後、東京大学大学院修士課程・博士課程、パリ第十大学大学院博士課程で憲法学を専攻。2002年より九州大学法学部助教授(准教授)、2014年より現職。主な著作に、『憲法学の現代的論点』(共著、有斐閣、初版2006年・第2版2009年)、『ブリッジブック法学入門』(編著、信山社、初版2009年・第2版2013年)、『法学の世界』(編著、日本評論社、2013年)、『憲法学の世界』(編著、日本評論社、2013年)、『リアリズムの法解釈理論――ミシェル・トロペール論文撰』(編訳、勁草書房、2013年)、『憲法主義』(共著、PHP研究所、2014年)など。