実戦教師塾・琴寄政人の〈場所〉

震災と原発で大揺れの日本、私たちにとって不動の場所とは何か

実戦教師塾通信五号

2011-04-01 17:31:32 | ニュースの読み方
いわき短信

 私はまだこれから行くのだが、屋内退避を言われたものの、遠くに避難していた友人が、一昨日いわきに戻った。水道も場所によっては復帰しているということだった。いわき市は広報車を出さずにネットで「水を配布するので公民館まで来てください」等と流すだけなので、パソコンになじみのない高齢者は難民になってしまう、と言っていた。しかも我々(その友人たちのことだ)に屋内に居ろ、と言っておいて、と嘆いていた。市のホームページは市長の悪口で埋まっているという。いわきのメディアへの登場は遅れ、一時期「陸の孤島」と市民が嘆いて市の対応の遅さを責めていたという。布団や洗濯は屋内で乾燥してください、と言われているけど、そうはいかないよ、と帰還した友人は言っていた。
 来るときはいわきの手前の勿来のインターで降りると市役所は近いですよ、そこから一般道を使うと被災の様子も分かりますし、ということだった。給油はいわきから百キロ、の茨城の友部サービスエリアなら簡単に出来るそうだ。なぜかパンは結構店頭に並んでいるが、その他はまったく品薄だという。
 今日は選挙が告示された日だからというわけではないが、千葉県議の吉川ひろしさんのところに出向いた。吉川さんがいわきに支援に行ったからだ。私なりいく前に少しでも現地のことを知らないといけない。渦中の市長の話は聞きづらかったのでやめた。対策本部は水道局らしい。私が電話で手続きしたのは市役所ではなかったのかと思った。
 頑張ってくださいと吉川さんに言われたが、私の方が(選挙)頑張ってください、と言わないといけなかったかな、と思った。


ニュースの読み方

 「差し当たって摂取しても健康に害はない」「当面飲んでも差し支えない」という政府のなんとも歯切れの良くない説明だ。「よく分かる」池上彰さんの説明も、この政府の分かりにくさを出ていない気がする。「食べてもいい」「飲んでも問題がない」なら、何のための「規制値」なのか、という疑問は実に分かりやすい。
 実は政府は説明不足ではあるがウソをついていない。「一年間、毎月一キログラムを食べ続けたとしても」問題がない、とは言うが、これを十年二十年とは言わないからだ。今の事態が続いて一年後に「問題がない」とは恐らく言えない。「当面」とは「原発とそれにまつわる放射能が収束するまで」であり、それが遠い未来であると、政府はとてもではないが言えないのだ。実はこの説明が消費者だけに向けたものだ、ということを生産者の「春先にタネをまいていいのか」という質問に、政府だけでなく、私たちも絶句したのではないだろうか。
 しかし、原発の行く末が「予断を許さない」「見通しは分かっていない」とも政府は言っている。ウソをついてはいないのだ。
 では何のための「規制値」なのか、本当に安全な数字とはなんなのか、実は分かっていない。この数値の検証を一番真剣に、一番長くやってきたのは誰か。広島・長崎の被爆者である。放射線の検証は、1945年に始まっている。まだ歴史は浅いのだ。2009年、一応の段落がついたと見ていいかどうか定かでないが、当時の首相麻生太郎に「原爆症認定訴訟」原告団が声明を発表している。現在、被爆者手帳を持っている25万人のわずか1%だけしか原爆症患者として認定されていない、という事実に私たちは驚くべきだと思う。では政府はなぜ患者の認定をしぶるのか、理由はふたつである。ひとつは患者への賠償金の問題。もうひとつはその結果によっては「現在の放射能の規制値をさらに厳しくしないといけない」からだ。
 前々回、この通信で日本の放射線数値の厳しさに触れたが、今一度、日本が人類史上唯一の被爆国であることを噛みしめるべきだろう。「放射線との因果関係」を法廷で議論するとき、無神経かつ官僚的な対応をこの被爆者たちはされてきた。それは、世界各国の原発立地点で、あるいは医療現場で被曝の訴訟を起こした人々も同じである。「いいがかりだ」「ゆすりだ」とでも言うかのような扱いを受けてきたのだ。放射線の身体・自然への影響は急激に現れるものと、ゆっくりと進行するものとがある。それはニュースで分かるように、放射線の種類によって半減期が数日のものから、数億年というものがあるという理由にもよっている。
 どうすればいいのか、それははっきりと言えないが、私たち人類が制御出来ないものを、私たち人類は生み出し、そしてどうにかしようとしている、ということだ。


 ☆学校におけるボランティアのこと、また先に延ばします。

 

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1 コメント

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揺るぎ無い信念 (傷覚)
2013-06-27 20:41:10
ご苦労様です!師匠がおっしゃるように、私達人類が制御できないものを私達人類が造りだし、それをどうにかしようと言うのですから世界中が注目するわけですね。現在の果を知りたければ過去の因を見よ。また、未来の果をしりたければ現在

の因をみよ。ですね、今、起こっている逃げられない現実にいかに耐えるか、この態度がこれからの人間の価値を決める、それを自らが考え動いて下さった、しかも
ブログを通じて我々にまで発信してくださっている。今の時代は、良い子にしていれば欲しいものは、たいがい、与えて貰える、つまり、与えて貰いたいから良い事をする、誉められたいから、賞賛されたいから、善を売り物にしていく、自分の意見を出して誹謗中傷されたくないから、傷つきたくないから、誰かが護ってくれるから、お願いすれば何でも叶えてもらえるから、とても、豊かで平和な時代、戦争を知らない私達が、苦労を知らない私達が、全て
法の内側で護られている私達が、一体何を学んでこの先、人生の総決算を迎えるのか。臨終の際に、閻魔様から受ける厳しい叱責に何を持って、どの様な態度で向こうに行くのか、それを師匠は教えて下さっている!揺るぎ無い信念を持って!
今日も一日ありがとうございました。
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