ブログ 古代からの暗号

「万葉集」秋の七草に隠された日本のルーツを辿る

謎解き詠花鳥和歌 薄と鶉ー3

2011-01-29 09:18:34 | 日本文化・文学・歴史
 日本の隠された古代史を解く鍵は「秋の七草」の花の名前に隠されていたのですが、さらに「鳥」の名前に
も隠されている事が判ってきました。「鶉」を詠んだ歌は万葉集にありますが、『古事記』の歌謡にも詠まれ
ています。

 ももしきの 大宮人は 鶉鳥 領巾(ひれ)とりかけて 鶺鴒(まなばしら) 尾行き合へ 庭雀
 うずすまり居て 今日もかも 酒みづくらし 高光る 日の宮人 事の 語り事も 是をば (102)

この歌謡は『古事記』の雄略天皇条に「天語歌(あまがたりうた)」として記される三歌の歌の三首目である。
事の初めは天皇が、和邇氏の女(むすめ)を求婚するために春日にお出かけになった時、その少女に道で出合
った。ところが少女は行幸を見るとすぐ逃げて丘の辺に隠れてしまう。
天皇はその少女を「金鉏500丁あったら見つけ出せるものを」と詠んでいるが、このような土地の少女への
求婚は万葉集の巻頭歌と共通のテーマであり、万葉集の巻頭歌も雄略天皇御製となっている。

 天語歌の一首目は

天皇の新嘗の宴の時に伊勢の三重から奉られた采女が、天皇にさしあげる杯に落ち葉がうかんでいることを
気付かずに献上する。天皇は怒りでその采女を打ち伏せようと刀を首に当てて斬り殺そうとした時に
「私を殺しなさいますな、申し上げる事がございます」と歌う。

(現代語訳)
纏向(まきむく)の日代の宮は、朝日の照り輝く宮、夕日の光り輝く宮、竹の根が十分に張っている宮、
木の根が長く延びている宮、(八百土よし)築き固めた宮でございます。
(まきさく)桧造りの宮殿の、新嘗(にいなえ)の儀式をとり行う御殿に生い立っている、枝葉のよく茂った
欅の枝は、上の枝は天を覆っており、中の枝は東の国を覆っており、下の枝は田舎を覆っています。
そして上の枝の枝先の葉は中の枝に散り触れ、中の枝の枝先の葉は下の枝に散り触れ、下の枝の枝先の葉は、
(ありきぬの)三重の采女がささげていらっしゃる立派な杯に、浮き油のように落ちて浸り漂い、水をこおろ
こおろとかきならして島のように浮かんでおります。これこそなんともおそれおおいことでございます。
(高光る)日の御子よ。
事の語り事としてこのことを申し上げます。(記謡100)

このような寿歌を献つられた天皇は伊勢の采女をお許しになった。そしてこの時に皇后が天皇を誉め讃える歌
を詠む。

 天語歌の二首目

(現代語訳)
 大和のこの小高い所にある市に、小高くなっている市のおか。そこの新嘗の御殿の生い立っている、葉の広
い神聖な椿よ。その葉のように、心広くいらっしゃり、その花のように、お顔の照り輝いていらっしゃる、
(高光る)日の御子に、めでたいお酒をさしあげてください。
事の語り言として、このことを申しあげます。(記謡101)

そこで天皇が冒頭の歌を詠む。

 天語歌の三首目
 
 ももしきの 大宮人は 鶉鳥 領巾(ひれ)とりかけて 鶺鴒(まなばしら) 尾行き合へ 庭雀
 うずすまり居て 今日もかも 酒みづくらし 高光る 日の宮人 事の語り事も 是をば (102)

(現代語訳)
 (ももしきの)大宮人は、首に白い斑の線のある鶉のように首に領巾をかけて、鶺鴒のように、長い裾を交
えて行き交い、餌をついばむ庭の雀のように、うずくまり集まって、今日はまあ、酒に浸っているらしい、
(高光る)日の宮人たちは。
事の語り言として、このことを申し上げます。(記謡102)

『古事記』では№100から№102の三首の歌を天語歌としている。
この後、天皇は三重の采女を誉めて、多くの褒美の品を与えたという。

 天語歌の一首目は新嘗の宴で采女が奉った天皇への讃歌であり、二首目は皇后が奉った天皇への讃歌で、
どちらも大変格調たかく歌いあげている。しかし天皇の歌は定説のように解釈するとメッセージ性は乏しく
新嘗の宴にふさわしいとは思えない。奇妙な違和感はなぜか?この歌の真のメッセージを次回に






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