瀬戸際の暇人

もう台風は勘弁…

うる星(映画)感想4~ラム・ザ・フォーエバー~

2007年10月09日 21時32分40秒 | 漫画&アニメ
1986年2/22、映画うる星やつら第4作公開。



「夜、降頻る雨が友引町を覆っていた。
 不気味に静まり返る道を、あたる達の乗ったマイクロバスが走る。
 彼らは面堂家に伝わる鬼姫伝説をモチーフにして、自主製作映画に取り組んでいた。
 主役である鬼姫を演じるのは、勿論ラム。
 打合せを終えた帰り道…突然、町一帯が大停電に襲われる。
 あたかもそれは、腹の子の胎動の如く、何かの兆しに感じられた…。
 
 明くる日の晩、樹齢300を数える『太郎桜』の宴が、面堂家で盛大に催された。
 老朽化の進む古木の最後の晴れ舞台にしようと、映画の中で伐り倒す事に決めたと話す面堂。
 太郎桜が別れを惜しむ様に花弁を散らす。
 桜の樹に耳を欹て、ラムは呟く――歌が聞こえると。
 集まった面々は、耳を澄まし、その歌に聞惚れるのだった。

 同時刻――酒盛りをしていた浮浪者達は、突然廃品のTVが映るのを目撃した。
 暗闇の中、何百と光るモニターに映し出された映像…それはラムだった。

 多少の怪事は起るも映画の撮影は順調に進み、遂に太郎桜が伐られるシーンに入った。
 伐り倒す役に就いたのはあたる。
 斧が幹を伐り付けた瞬間…巨木から噴出す奇怪な泡。
 慄く彼らの前で、太郎桜は根っこと骨に似た残骸だけを残し、瞬く間に融けてしまった。
 
 以来、友引町に数々の異変が起り出す。
 同時にそれは、ラムの身にも起きた。

 ラムの超能力が弱まる。
 4月だというのに、蜻蛉や蝉が大発生する。
 面堂だけでなく、メガネ達4人組が、ラムを忘れて他の女の子に恋をする。
 そして太郎桜の植わってた丘が突然隆起し、陥没した頂上には水が溜って巨大な湖が出来上った。

 それから数日後――屋敷でアルバムを眺めていた面堂は、ただならぬ事態に気が付いた。
 急遽あたるとメガネを屋敷に呼び出し、見せたアルバムには、ラムの姿が消えていた。
 面堂は言う…全ては太郎桜を伐り倒した事から始まった異常。
 全ての謎を解く鍵は、友引町に古くから伝わる『鬼姫伝説』に隠されているに違いないと。

 面堂の祖父から鬼姫伝説を聞き、湖底に沈んだ太郎桜の根を調査する3人。
 引上げられる太郎桜の根元には、鬼姫の骸骨が絡み付いていた…。
 
 その頃、ラムは降る雪を見詰め、日記を書いていた。
 雪遊びをしていたテンが、部屋に入って来る。
 慌てて日記を隠すラム。
 目敏く気付いたテンが、見せてくれとせがむ。
 恥らい逃げた拍子に、ラムは窓から落ちてしまう…何時もの彼女なら飛べる筈なのに。
 落ちて気絶したラムの元へ、慌てて駆け付けたテンは、ラムの角が消えてしまっているのに気が付く…。

 ショックで熱にうなされるテン。
 看病するラムの耳に、自分を呼ぶ声が聞える。
 窓の下には、幼い自分を連れたあたる。
 驚いて外に飛び出すラム。
 通りで彼女を待っていたのは、サーカス団と幼い頃のあたる達。
 ラムは、その一団に誘われる様に、雪の降頻る町を歩いて行った。

 一方、胸騒ぎを感じて家に帰って来たあたるは、母から「ラムが外に出た」事を聞く。
 部屋には、先刻までラムがつけていた、真新しい日記帳だけが残されていた。
 
 その頃、ラムはサーカス団を追って、湖の岸に来ていた。
 空ろな目で、湖に潜って行くラム。
 友引町を濃い霧が覆った。

 霧に包まれ、面堂は夢を見る。
 遥か未来…彼は不敗のバトルチャンピオンとして、富と名声を勝ち得ていた。

 幸せな夢から覚めた彼は、窓外の眺めに戦慄する。
 なんと自分が見た夢が実体化し、現実の友引町に融合していたのだ。

 相次ぐ異常事態に、面堂は町民全てを友引高校の体育館に集め、自分の考えている説を発表した。
 
 今迄の異変は友引町自身が覚醒した為。
 友引町は、自らの理想の姿を求め、住人の意識を探っている。
 ラムは本来宇宙人で、友引町にとっては異分子。
 だから自分達からラムの記憶を薄れさせ、排除しようとしているのだ。

 その説を裏付ける様に、駆け付けたあたるが叫ぶ。
 「ラムが失踪した」と…。

 混乱の最中、面堂は策を立てる。
 それは水乃小路家を巻込み、内戦を起す事だった。

 町が意識を持ち、理想の姿を求めて、住民の意識を探ってるなら…
 それを逆手にとって、住民が1つの姿を夢見る様に仕向ければ良い。
 皆が極限状態に陥り、元の友引町を希えば、元の姿を取戻すに違いない。

 かくして町を二分する内戦が勃発。
 全員が戦いに参加する中、あたるだけは加わろうとしない。
 咎める面堂に、あたるは告げる。
 「町が元の姿に戻っても、ラムが戻る保障は無いだろう」と。
 
 戦いに明け暮れる町を他所に、あたるは走り出す。
 ミサイルがぶち込まれようとも、ひたすら走る。
 ラムに初めて会った、あの日の様に――

 
 ――どうなる友引町!?

 ――どうなるラム!?

 ――あたるや皆の願いは叶うのか!?」



  
…というのが粗筋ですが……読んでて解りましたかね?
書いてる自分はちっとも解りませんでした。(笑)
これ程粗筋書くのに困る作品も無いなぁってのが、正直な感想だったり。

例えるなら、「枝葉の多い樹」――枝葉に隠れて幹が見えないのですよ。(汗)

最初鬼姫伝説が中心なのかな~と思ってたら、後半話の外に出ちゃってるし。
太郎桜の件も、内戦勃発後は殆ど触れられず。
そもそも主役は誰なのか?
タイトルを考えるならラムな筈だけど…そのラムは中盤で舞台から降りちゃうし。


監督のインタビュー記事から判断するに、言いたかったのは映画3作目と同じく、「ラム=『うる星』世界の因果律」だって事らしく。

元は普通の町だった友引町は、彼女が降立った日より意識を封じられ、時の止った非現実世界へと変貌した。
だから覚醒した町は、正常な時を刻む現実世界に戻る為に、異分子で在るラムを消そうとする。

…それならランちゃんだってそうだろうと思うんだが…彼女本人も作中で言ってるけど。(笑)
前作同様、言っちゃあ悪いが、その説には異議を申し立てたく。
ただ3作目と違って、支離滅裂な分だけ、怒りは湧かなかったんですよ、自分は。(笑)

これは勝手な想像だけど…監督が作りたかったのは、自分版『ビューティフル・ドリーマー』だったんじゃないかなぁと…。
例えばサーカス団のシーン…あれは2作目のちんどん屋のシーンに符合する。

あの2作目映画は凄まじい引力を持った作品でして、ファンからアニメ業界、外の人間まで、かなりの影響を受けたんですよ。
それ以降発行された同人誌には、BD的なシュール作品が多く載せられたし、他アニメでもよくパロられてた。
映画エヴァンゲリオンにも、BDの影響が見られる。
人呼んで『BD症候群』…自分自身、大いに受けてるなぁと感じてますが。(苦笑)

でもBDって、考えてみると、ズルイ映画なんですよ。

うる星ワールドでは毎回、地球規模の災難に見舞われる。
しかし舞台は原作初期を抜かして何時も友引町のみ。
戦争が起ろうとも、隕石が降って来ようとも、他の町や国に住んでる方々は、全く関与して来ないのですね~。
まるで友引町の周りには、バリヤーでも張巡らされてる様に、現実世界から隔絶されている――そんな箱庭ネバーランド。


「こんな世界は物理的に在り得ん。
 在るとしたらそれは…」
「夢の中だけ、か?」


――年を取らないのも破壊された物が元に戻るのも、皆で覚めない夢を見ているから。


と言う身も蓋も無い結論を導き出したのが、映画2作目なのですよ。(笑)
その際「ラムの夢の世界」という体裁を取ったのは、押井氏曰く「1番何考えてるか解らない、動かし難いキャラだったから」、あまり活躍させないで済む役所に据えたらしいのですが…。(勿論ラムがシンボルキャラだからというのも有るでしょう)

そいった発想を、しかし監督山崎氏は、真っ向から受取ってしまったのかなと…。

ラムは世界そのもの。
世界樹を守る地母神。

映画後半でラムは湖の底に潜り、太郎桜の根元で眠るシーンが有るのですが…恐らくは監督のそういった主張を表現してるのではと。
BDに最も影響受けた監督が、自分なりに「うる星世界」を解き明かそうとして、この4作目が出来上ったのではないかと私は考えるのです。


ただね…映画を観ただけじゃ、正直全然意図が掴めない。(汗)

実はこの映画も3作目の時同様、元脚本が「少年サンデーグラフィックス うる星やつら15」で、表に出されてんですよ。
なしてそんな真似したかっつうと、ずばりネタが無かったからで。(笑)
所謂ファンブックなんですが…11を数える頃から載せる企画がネタ切れ起してたみたいで…止せばいいのに頁数埋める為、元脚本載せちまった。
この元脚本が、映画とは全く異なる筋だった為、波紋が広がってしまった。
元脚本もかなりアレな内容に思えたんですが(失礼)…鬼姫伝説を主軸にして、それなりに纏まっては居ましてな。
ラストは写真から消えたラムが、元に戻るシーンを予定してたらしく。

実際の映画ではどうだったか?

今迄出演したオールメンバーの写真に替わってました。
しかも最後に「あたるのアップ」→「あたるを中心にして、全員の集合写真」。

…主役はラムだと思ってたら、何故かあたるに替わってたという奇怪さ。

一体何故こんな事態になってしまったのか?

謎を解く鍵は、映画のメイキングビデオに収録されてました。(また間の悪い事に、そんなのが発売されてたんですよ)
ビデオを観ると…元脚本の様に作る積りであったらしい。
実際の映画では使われなかったけど、鬼姫伝説を説明するセル画が紹介されてるんですよ。

どうやら間に合わなかったらしい。(笑)


つまりはあの映画…ぶっちゃけ未完成作なんだと思う。
上映時間等の都合上、恐らく大幅なカットが入れられたんじゃないでしょうか?
元脚本の通り作ったら、相当長い作品になると思うんですよ。
大幅にシーンが削られた結果…説明の足りない、難解に思える物に仕上がってしまったんではと。

難解と言うか…繋がりの無いカットが延々流されるだけですから…観ているこっちは戸惑うばかりで。(汗)

救いは作画と音楽の素晴しさ。
20年以上前の作品とは思えない程、絵が綺麗。
ラムはひたすら美しく、何度も衣装替えするし。(笑)
1度聴いたら耳から離れない、透明な音楽。
テーマソング『メランコリーの軌跡』は、うる星らしからぬ切なさなれど、歌ってる松永夏代子氏の歌声に惚れたファンは、かなり多い。

ただ、内容が……。(汗)


この映画が切っ掛けとなり、アニメうる星は、ファンから批判を浴びる事になりました。

「そもそも原作通りに作らないからこうなる。
 『アニメうる星』は『うる星』ではない。
 自分達ファンは、原作通りの『本当のうる星』が観たいんだ!」

そういったファンの声が強まり作られたのが、5作目に当る『完結篇』という訳です。
この件はまた明日にでも…。


…当時この映画を監督した山崎氏への風当りは強かった。
「弾劾する」等強い口調の批判文が、各アニメ雑誌に寄せられましてなぁ…。
評論家からも酷評され捲ったし。
それがあまりに目に余るってんで、同じアニメーターの芦田豊雄氏が、誌上でこんな発言をされましてな。

「アマチュアは良いよな~。
 言いっ放し、作りっ放しで済ませられるんだからさ~。」

…(自分も含めた)自称評論家達に対する、痛烈な皮肉だと感じた。(苦笑)


この映画、好きか嫌いか訊かれたら、自分は……悩む。
3作目同様、「ラム=全て」で作ろうとしてた訳で、その点では「嫌い」と答えたい所だけど。

ただ映画の中では、幸いな事に、それが見えない。(笑)
そもそも未完成作品に、好き嫌いの判断は付けられない。
願わくば完成した作品が観たかった…監督自身も機会が有ったら「作り直したい」と仰ってたようだし。
友引町にスポットライトを当てたアイディアは、かなり画期的に感じられたし。

うる星以降、山崎氏の活躍はあまり聞きません。(『僕の地球を守って』を監督したのは知ってるけど)
ラム中心主義は好きになれなかったけど、演出の腕には惚れていました。
この映画の失敗(と『めぞん』での途中降板)が響いて、才能を発揮する機会が貰えなくなったのだとしたら……至極勿体無いなと思うのだ。


山崎氏は、『うる星』に思い入れ過ぎたのではないかと…。
作品への思いがあまりに溢れ過ぎて、上手く纏められなかったのかもしれない。

…そんな風な印象を、観ていて受けたのでした。

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