幾重にも重なる美しい花びら、魅力的な甘い香りを持つバラ。
素直に絶賛する声もあれば、妬みや悪口だって、バラには届きます。
バラは、とても繊細で傷つきやすい花です。
醜い言葉たちはトゲとなり、バラの心に突き刺さり、細い体に飛び出ました。
バラは、トゲを振り払うことなく、静かに受け止め続けています。
ある日。
アゲハチョウが、ひらひらとバラの花に止まりました。
とても元気がない様子。
バラには、自分と同じように心に刺さったままのトゲが見えます。
バラは、アゲハチョウを見つめて思いました。
心のトゲを抜かなければ、もう二度と空に飛び立てないかもしれない。
そんな気がしました。
バラは、優しく話しかけました。
「どうぞ、あなたのトゲを私にください。
私には、すでにトゲが刺さっています。
1つ増えたって、たいして変わりません。」
バラは、笑ってみせました。
アゲハチョウは、戸惑いました。
トゲの痛みがどんなに辛いかを知っています。
そのトゲを誰かにあげるなんて、とてもできません。
バラだって、トゲの痛みをよく分かっています。
それが、もう1つ増えたら、その痛みに耐えられるかどうか・・・。
でも、アゲハチョウの飛ぶ姿を見たい。
その気持ちの方が強かったのです。
バラは、トゲが刺さるのをじっと待ちました。
長い長い時間が経ちました。
アゲハチョウは、自分のトゲをバラの体に刺しました。
トゲを抜いた途端、心も体も軽くなったのが分かります。
「ありがとう。」
申し訳なさそうに言うと、軽やかに空へと飛んでいきました。
「幸せになってください。」
トゲの痛みは激しくなりました。
しかし、アゲハチョウの笑顔が、バラにはとても嬉しかったのです。
それからも、バラは出会う虫たちの心に刺さったトゲを貰い続けました。
バラの体は、トゲだらけです。
もう新しいトゲを刺せる場所は見当たりません。
痛くて、痛くて、目を閉じました。
その時、大きな羽の音が聞こえました。
うっすらと目を開けると、すぐそばに真っ白い鳩がいます。
鳩は、とても悲しそうな顔をしています。
きっと、羽の下にはトゲが刺さっているのかもしれない。
バラは、言いました。
「どうぞ、あなたのトゲを私にください。
私には、すでにトゲが刺さっています。
1つ増えたって、たいして変わりません。」
バラは、笑ってみせました。
鳩は、ゆっくりとバラの体に顔を近づけます。
そして、口ばしでバラのトゲを1つずつ抜き始めました。
トゲがなくなる度、心も体も軽くなっていきます。
バラから自然と涙がこぼれます。
それは、悲しい涙ではなく、温かい涙でした。
バラの体から全てのトゲがなくなりました。
「幸せになってください。」
鳩は、にっこり笑って、大きな羽音をたてて、空高く飛んでいきました。
バラは、鳩を見送った後、そっと地面を見ました。
自分にあったトゲを忘れないように、しっかり見ておこうと思いました。
しかし、地面のどこにも、トゲはありません。
バラは、もう一度、空を見上げました。
「ありがとう。」
バラは、心から笑いました。
素直に絶賛する声もあれば、妬みや悪口だって、バラには届きます。
バラは、とても繊細で傷つきやすい花です。
醜い言葉たちはトゲとなり、バラの心に突き刺さり、細い体に飛び出ました。
バラは、トゲを振り払うことなく、静かに受け止め続けています。
ある日。
アゲハチョウが、ひらひらとバラの花に止まりました。
とても元気がない様子。
バラには、自分と同じように心に刺さったままのトゲが見えます。
バラは、アゲハチョウを見つめて思いました。
心のトゲを抜かなければ、もう二度と空に飛び立てないかもしれない。
そんな気がしました。
バラは、優しく話しかけました。
「どうぞ、あなたのトゲを私にください。
私には、すでにトゲが刺さっています。
1つ増えたって、たいして変わりません。」
バラは、笑ってみせました。
アゲハチョウは、戸惑いました。
トゲの痛みがどんなに辛いかを知っています。
そのトゲを誰かにあげるなんて、とてもできません。
バラだって、トゲの痛みをよく分かっています。
それが、もう1つ増えたら、その痛みに耐えられるかどうか・・・。
でも、アゲハチョウの飛ぶ姿を見たい。
その気持ちの方が強かったのです。
バラは、トゲが刺さるのをじっと待ちました。
長い長い時間が経ちました。
アゲハチョウは、自分のトゲをバラの体に刺しました。
トゲを抜いた途端、心も体も軽くなったのが分かります。
「ありがとう。」
申し訳なさそうに言うと、軽やかに空へと飛んでいきました。
「幸せになってください。」
トゲの痛みは激しくなりました。
しかし、アゲハチョウの笑顔が、バラにはとても嬉しかったのです。
それからも、バラは出会う虫たちの心に刺さったトゲを貰い続けました。
バラの体は、トゲだらけです。
もう新しいトゲを刺せる場所は見当たりません。
痛くて、痛くて、目を閉じました。
その時、大きな羽の音が聞こえました。
うっすらと目を開けると、すぐそばに真っ白い鳩がいます。
鳩は、とても悲しそうな顔をしています。
きっと、羽の下にはトゲが刺さっているのかもしれない。
バラは、言いました。
「どうぞ、あなたのトゲを私にください。
私には、すでにトゲが刺さっています。
1つ増えたって、たいして変わりません。」
バラは、笑ってみせました。
鳩は、ゆっくりとバラの体に顔を近づけます。
そして、口ばしでバラのトゲを1つずつ抜き始めました。
トゲがなくなる度、心も体も軽くなっていきます。
バラから自然と涙がこぼれます。
それは、悲しい涙ではなく、温かい涙でした。
バラの体から全てのトゲがなくなりました。
「幸せになってください。」
鳩は、にっこり笑って、大きな羽音をたてて、空高く飛んでいきました。
バラは、鳩を見送った後、そっと地面を見ました。
自分にあったトゲを忘れないように、しっかり見ておこうと思いました。
しかし、地面のどこにも、トゲはありません。
バラは、もう一度、空を見上げました。
「ありがとう。」
バラは、心から笑いました。
自分を犠牲にしてまでも他人の幸せを優先する心温まる作品ですね。
自分本位に考えている人が多い中で、こんな薔薇のような人がいたらなーと思います。自分がなれるかといったら自信がありませんが。
鳩の抜いたトゲが地面にないというところが、不思議さをかもし出していますが、夢があっていいですね。
平和の象徴の鳩が薔薇を助けてくれた、いいお話です。ありがとうございます。
読んでくれて、ありがとうございます。
Shotさんが、私のお話を読んでくれて、コメントを書いてくださることは、私にとって、ものすごい励みになっています。
そんな風に、Shotさんは誰かに幸せを分け与えているような気がします。
鳩の願いは、みんなの幸せ。
だから、トゲは消えてしまったのかもしれません。
ありがとうございましたっ!!