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十年越しの告白

2008年03月22日 23時34分54秒 | Weblog
『10年後 ここで逢いましょう。』
中学の時、読んだ本に書いてあった言葉だ。

中学生の頃、後ろの席の男の子が好きだった。
正直で、爽やかで、面白い子だった。
でも、その頃の私に告白なんて、とても出来なかった。

卒業式の1週間前。
その彼が、自転車置き場に名前を書いたと聞いた。

卒業式当日。
私は、朝一番に学校に行き、彼の名前を探した。
奥から2本目の柱に彼の名前があった。
ドキドキした。
すごく悩んだ。
『10年後 ここで逢いましょう』
その頃読んでいた本のセリフを彼の名前の横に書いた。

時は経ち、私は25歳になる。
何気なく寄った図書館で懐かしい本を見つけた。
内容は大体覚えていたが、もう一度読み返したくなって、そのまま借りてきた。
読み進めて、本の半分を過ぎた辺りで、私は固まってしまった。
『10年後 ここで逢いましょう。』
ずっと忘れていた中学時代の事を一気に思い出した。
あれから、ちょうど10年経っている。

翌日。
私は、卒業してから初めて母校を訪れた。
朝早いせいか、春休みのせいか、校庭には誰もいない。
深呼吸して、校門を入った。
真っ直ぐに自転車置き場に向かう。
何ともいえない違和感がある。
その違和感は、自転車置き場に着いて、やっと分かった。
薄緑色だった柱がベージュに塗り替えられている。
彼の名前も、私の言葉も、消えていた。
「そんなもんだよね。」
ホッとしたような、残念なような、そんな気分。
帰ろうとした時、校舎から出てくる男性が見えた。
紺色のジャージを着た男性が近づいてくる。

彼だった。

心臓が壊れるほど、ドキドキしている。
「なんで?」
声が震えている。
「ここで、今、教師をしてる。」

その後、何を話したのか分からない。
「頑張ってね。」
そう言って、彼の横を通り過ぎようとした時、
「あれ、もしかして、君が書いたの?」
急に彼が言った。
「違うよ。」
咄嗟に否定してしまった。
その場を離れようとした私を彼が呼び止めた。
「ちょっと、体育館に寄っていかないか。」

静かな体育館。
彼の後ろをついていく。
舞台の隅にある階段から二階に上がって、
暗幕を閉める為にある細い通路を歩く。
バスケットゴールのあるところで、彼がしゃがんで指差した。
「ここ、見て。」

『!?』

<あいあい傘>の下にカタカナで彼と私の名前が並んでいる。

「これは、私じゃないよ!」
思わず、声が大きくなる。
彼は、<あいあい傘>を見つめたまま、言った。
「中学ん時、オレが書いた。」

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2 コメント

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Unknown (Shot)
2008-04-01 09:26:02
おはようございます。

わいさんの実話のような気がしますが・・・?
10年越しの告白かぁー・・・
10年という期間を思い続けるのは、
なかなかできないですよね。
私だったら10年待てないかもしれません。

エンディングがいいですね。
相合傘とは洒落てます。
Shotさん (わい)
2008-04-01 21:53:36
こんばんは。
読んでくれて、ありがとうございます!

実話だったら、素敵ですよね。
今回は、①偶然に頼りすぎないように
    ②ありえそうな出来事になるように
ということに気をつけながら書きました。
「実話のような」というコメントを頂けて、最高に嬉しかったです!!
ありがとうございます☆

相合傘。
私は、ずっと「愛愛傘」だと思っていました。
なので、今回は<あいあい傘>にしてみました。

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