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ブーリン家の姉妹

2008-11-08 20:55:11 | 映画2008
 アミダラがフシダラなことを・・・

 『エリザベス』が日本で公開された年に『エリザベス:ビギニング』のような映画を見られるとはラッキーでした。エリザベス女王が父親から受け継いだ宗教上の問題とか、ローマ教皇との確執の始まりとか、宮廷やヘンリー8世の対外的な問題にはほとんど触れず、ただ王の愛を勝ち取るかどうか、政略結婚に奔走する貴族たちの愚かしさ、そしてブーリン姉妹の確執と姉妹愛だけを描いたのも潔かったと思います。

 ナタリー・ポートマン、スカーレット・ヨハンソンという二人とも好きな女優の共演とあらば見逃すわけにはいかない。演技はもちろん良かったのですが、それぞれアンとメアリーの史実に基づいたそれぞれのキャラが印象に残ります。出演者の衣装も素晴らしく、特にナタリー・ポートマンは緑のドレスが強烈。エリック・バナはこの緑を見てハルクが目覚めるんじゃないかと体が震えていたに違いありません・・・

 男子の生まれなかったヘンリー8世。その王に愛人を差し出してブーリン家に栄華をもたらそうと画策する姉妹の父親。王が選んだのは結婚したばかりのメアリーで、目論見ははずしたが、とにかく自分んちのことしか考えてない父親。結婚相手の夫もしぶしぶ妻を差し出す・・・権力には逆らえない絶対王制内の不条理だ。みんなどうかしてると思っていたら、アンが最も政略家だった。焦らしテクニックといい、男子を産んだメアリーまで追い出すのです。終盤は彼女が身につけている“B”の文字のネックレスが印象的でしたが、アンの血液型がB型なんだとばかり思ってた・・・それほどアンにも一族のためという使命感が備わってたんだろうなぁ。

 教皇を敵に回したことで宗教上の対立が起こる顛末を描いた『わが命つきるとも』。アカデミー賞を独占したこの映画ではトーマス・モアが主人公だったため、完全に外側から描いてましたが、王の離婚問題は歴史的にも大事件だということがわかります。いずれにしても個人的理由により処刑されたりして、住みにくい時代だったんだなぁ。一番可哀そうなのはジョージ・ブーリン(ジム・スタージェス)だったし。

 ちょっと気になる原題:THE OTHER BOLEYN GIRL。前半部分では自らそう呼んでいたナタリー・ポートマンだったけど、終盤ではそれがスカーレット・ヨハンソンだったとわかる。盛者必衰・・・めまぐるしく展開するだけに、大河ドラマのダイジェスト版のような雰囲気もあったけど、世界史好きにはたまらない映画だと思います。

★★★★・

コメント (11)    この記事についてブログを書く
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11 コメント

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Unknown (シネマ大好き娘)
2008-11-09 05:53:36
エリックバナ・・ハルクになりそうに座布団あげます~~
前売り買ったら、Bにチャームもらった~~いらんわ~
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中世から近世へ (turtoone)
2008-11-09 18:08:04
世界的に大きく時代が変革しようというしていた頃ですが、このローマ教皇から離れたことによって英国は最も早く中世を捨てたと思います。その後の進歩も英国は他のどの国よりも先んじていますよね。

そういう意味ではヘンリー8世はただの女好きではなく、先見の銘がありましたが、それを促したのがアン・ブーリンだという部分で後世の「処刑の誤り」を正したかったのだと思います。

「グラディエーター」同様、後世の研究により、当時の誤りを修正していく提言は面白く、それだけに映画の位置づけももっと重要視するべきでしょう。



アミダラがフシダラに座布団2枚!!

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“B”の文字のネックレス (ルナ)
2008-11-10 02:06:21
お久しぶりです!
アンの付けていた“B”の文字のネックレス!
なんか印象的でしたよね~。
あれは、アンの肖像画にも描かれているので、
本人がホントにつけていたみたいです。
やっぱりBOLEYNの“B”なんでしょうね~。
それだけ、ブーリン家を愛していたのでしょうかねー。
それにしては、弟くんは、ホントに可哀想でした。
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B文字ネックレス (kossy)
2008-11-12 01:18:33
>シネマ大好き娘様~
要らないのだったら俺にください!
と、最近、オマケばかりが増えてきて、子供時代に戻っているkossyです。
ストラップ付きの前売り券をなるべく買うようにしてる愚かな奴なんです(汗)

>turtoone様
なるほど、エリザベスの黄金期が出来上がる下地となったってところですかね。対外政策なんかは宗教に縛られないからこそ上手くいったのかもしれませんね。

アン・ブーリンもこれだけ英国史に影響を与えることになるなんて考えもしなかったんだろうけど、すごい女性ですよね~
これからも歴史の解釈に驚かされる映画に出会いたいものです。

>ルナ様
俺も映画を見終えてから写真を見てビックリ!
さすがに緑のドレスは着てなかったようです。

ブーリンの“B”を誇示しているのなら、彼女も父親と同じく家のことを重んじるようになったんでしょうね。そのあたりが凄いな~と。

男目線からすると、弟の悲劇をもっと見たいと思ったり・・・
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残念~ (シネマ大好き娘)
2008-11-12 05:19:12
もう、友だちにあげてもうたあ~~~
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あ・・・ (kossy)
2008-11-20 01:37:39
残念・・・って、反応おそっ
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今日は! (小米花)
2008-11-23 15:37:47
コメント頂きありがとうございます。

歴史ドラマとしてもコスチューム劇としても
楽しめた質の高い作品だったと思います。

跡継ぎ問題での女の戦い=家の戦いぶりは
どこの国の歴史の副産物として、いいドラマに
なるんですね~。

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イギリス版大奥 (kossy)
2008-11-23 20:51:17
>小米花様
大奥の物語は日本だけじゃなかったんだなぁ~などと、日本史が苦手なのにそう感じてしまいました。

コスチュームに関しては良く分からないけど、これも賞をもらえるのかもしれませんね。
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 (とらねこ)
2008-11-29 13:48:30
最後の一言、ハッとしました。なるほど、そうだったなあ!
策略で勝ったものが、愛の勝者じゃない、ってところが薄ら寒くなりました。
身分不相応なまでの向こう見ずな、焦らしのテクニックでしたが、後半すごかったですね。
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愛は勝つ! (kossy)
2008-12-03 08:01:16
>とらねこ様
策略でも略奪でも、やっぱり愛がないとダメですよねぇ。たまたま結婚までも見事に勝ち取ったけど、結局は愛のないところが原因。でも男なら騙されちゃうんだろうな・・・俺は地位も名誉も金もないから無縁なんですが・・・
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