チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

原生林

2021年11月01日 10時22分20秒 | 日記
自然遺産に指定された奄美大島の原生林を歩いてきた
登録されたガイドさんが案内する場所で、観光客は勝手にはいれない
それだけ大事に島の人々が守ってきたところだ

うっそうとした樹林の中、しかし植物たちがお互いに身をよけて、太陽の光を注ぐ工夫をしている。すべての植物が手を取り合って共生している
太陽を求めて上へ上へと成長するが、その樹たちの葉っぱはレースのように美しく、その葉の間からしっかりと光が大地にそそぐ気配りをしている

しっかりと根を張ったブナの木の傍にはその根に抱かれるように小さな植物が育てられてる、いずれはその子たちも大木になっていくんだろう
時々野鳥の鳴き声がする。その声の種類で鳥の名前を言って見せるガイドさん。姿が見えないのでアイパットでこの子だよと教えてくれる。美しい、そして目が可愛い。野鳥に夢中になる人の気持ちが理解できた

さらに奥へ
太古の昔から湧いているのであろう清水の音が聞こえ、そばに行って口にする。無味、しかし内臓が洗われるような清らかな感じがした。その水が土壌を育て樹木に栄養を与えている。ミネラルいっぱいの水だ

日本の山はブナの樹が多かったので、其の枯葉が土を育てそこから水が誕生、その水は湧き水となって大地を潤しながら沢になり小川に成長して川になって海にそそぐ、日本の海はだから美しかったし生物の宝庫でもあった

人間の浅はかな知識が自分の我欲のために山を削り、植物を倒し海を汚した
「申し訳ない。ごめんなさい」と言いながら原生林を歩く

「何も持って帰ってはいけません」と看板に書かれているのに、チャ子ちゃん先生の肩にひらりと朱色の枯葉が落ちてきた。「いただいていい?」と葉に問いかけて袂に入れる

美しく神聖な場所の空気は格別においしい
其れなのに「ますく」を外さず、この空気を吸わない人々に心痛めた
その態度は、清らかな木々に対しても失礼だと思う


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