チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

感性とは

2011年02月17日 09時32分53秒 | 日記
感性とは心をこめること
其れを確信した

関西のとある呉服屋さんからの電話
「東京のまだあったことのないお客さんだけどーー」
結婚式に着ていく着物をアレコレ探しているけど
なかなか気に入るものと出会わない
何かこれっと言うものを提案して欲しい

とお客さまがおっしゃっているけど
江戸好みがようわからんので
そちらで揃えてくれまいか
と言う

チャコちゃん先生腕が鳴る
よっしゃとばかり
3人の東京友禅の作家さんのところに選びに行き
「これっ」
というのを10枚、帯も合わせてそろえた

関西からも直接問屋さんから着物と帯が30点届いた

一枚一枚見ていくうち
心が重くなる
タナカはせきが止まらない
セキドは頭がずきずきするという
チャコちゃん先生は久しぶりに見る大量生産の着物に
どどどと落ち込む

咳は化学染料の臭いと仕上げに使う化学薬品
頭が痛くなるのは
色に対する拒否反応
心が落ち込むのは
蚕に対してこんな我の強い粗雑さでいいのかと言う悲しみ

三人とも
「いい勉強したこれでは着物を着たくなくなる」
誰にでも合うようにホドほどに手を打って
不特定多数を相手に平均値の柄や色素材を選んでいる

きものを染めた人も
どんな人が着てもまあまあ合うだろうと言う作り方は
気疲れがするだろう
そういう人の工房に取材に行くと皆疲れていて
お歳の方は癌を患っている人が多い

そこへ行くと
一枚一枚好きで楽しく描いている人たちのきものは
生き生きとして表情が明るい
似合う似合わないはあっても
どれも「ちょっと羽織ってみたい」
と思わせる
羽織ると「パッ」と顔が華やぐ

きものは一生着なくても生きていける
だからこそ
着る人の感性にフイットした着物つくりこそ大事
一人ひとりに合わせたお誂えがきものの生きる道
きものこそオートクチュールであるべき

さらに驚くことは
チャコちゃん先生組みのきものの値段の方が
送られてきたものより3割も安い
ええええなぜーーー
東京組の方が手が込んでいるよーーー

感性の高いきものは
ヤハリ心をこめて作ったものにこそ備えられる

きものに限らず
言葉も
立ち居振る舞いも
料理もそう建築も
すべてすべて「心をこめる」ことで感性が高まるのじゃあね

今日は
たった一人のお客様に40点のきものと帯を
心をこめてお勧めしなければーー
コメント
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