何でも実習生の実習日誌

電子工作、模型スチームエンジン工作など、何でも工作が大好きです。
手持ちの工作機械は卓上ボール盤だけ、全て手作りです。

仮テストではうまくいきましたが・・・・・・  - 歪みのないシリンダー、ピストンを目指して -

2015-05-01 20:45:29 | エンジン工作


2015/05/01 (金曜日) 晴れ


うまく作ったつもりの水平型2気筒(バルブリンク方式)スチームエンジンが
パワーテスト中にシリンダーとピストンが噛み合って動かなくなってしまった。
今までに何度かこの現象が発生していたが、いつも決まった方のピストンが
トラブルを起こす。
きっと、シリンダーかピストンが歪になっていて、ちょっと無理をかけると
噛み合ってしまうのだろう。

思えば、このエンジンを作る頃までの工作方法に問題があったような気がする。
先ず第一にシリンダーやピストンにするパイプ類の切断方法に問題がある。
パイプを万力に咥えて(一応プラスチックの保持具を使ってはいるが)通常の
カナノコでゴシゴシと力を入れて切断していた。
これではパイプが歪まないわけがない。

その二つ目は、パイプを重ね合わせて必用な外径、内径のパイプを作っているが
(バウムクーヘン方式)、内径、外径の公差のため、すんなり嵌り合うものと
きついものもある。 このきついもののときにカナヅチで叩き込んで無理やり
嵌め合わせることがあった。 これではパイプが歪むだろう。

三つ目はシリンダーのロウ付けだ。
ほとんど板金工作で作り上げるシリンダーの取付基部フランジは強度を確保するために
ロウ付けで固定している。
歪まないように慎重に作業しているつもりだが、歪みが出てしまうのだろう。

今回はそれらを改善した工法を試してみた。


↓ シリンダーはロウ付けで加工した外側部(歪みあり)に、熱を加えていないパイプを填め込んで、
   歪みの無いシリンダーを作る実験をしてみた。 シリンダーにパイプを嵌めるときに無理な力が
   かかっては元も子もないから、シリンダー内面を削ってパイプがすんなり嵌るように工作した。



↓ サンドペーパーをリング状にした外径11mmの研削ツール。 
   これでシリンダー(内径13mm)の内部を削って広げる。





↓ ピストンにするパイプの切断。 パイプは万力には咥えない。 切断には糸鋸の細かい刃を使って無理な
   力は加えずに慎重に行った。 



↓ 内面を削ったり、外面を削ったりしてスムーズに嵌め合うようにしたパイプ。(バウムクーヘン方式)
   これらはすんなり嵌りあうので変形はしないと思う。 更に固定は半田付け処理で高熱は加えない。 



↓ ピストンの加工。 ピストンピンを貫通させる部分の補強や全体の補強を行うために3重構造にしたある。



↓ シリンダー外側と内側パイプ(ライナーまたはスリーブ)の固定。 これも半田付けで処理する。



↓ ピストンピンを通す穴を開ける位置を決める。 ピストン下部とコンロッドのぶつかりを避けるために
   ピストン中央ではなく、下端から8mmの高さになってしまう。



↓ 中心の割り出し。 完全な中心にするのは難しい。 少しずれてしまった。



↓ マーク位置にセンターポンチを打つ。 このときに歪ませては今までの苦労が台無しになる。 慎重に!



↓ ピストンピンの穴あけ。 無理な力を掛けずにやんわりと穴を開ける。



↓ コンロッドの工作。 ここは強度確保のためロウ付け処理をする。



↓ スモールエンド部分をロウ付け。



↓ ビッグエンドの中心から規定の長さの位置のスモールエンドをロウ付けする。



↓ 出来上がったピストン構成品。




↓ 新旧のシリンダーとピストン。 新しいピストンはボアーが1mm減少、厚みは5mm増してある。




新しいシリンダーはスリーブを嵌めたため、ボアーが1mm減少して12mmになっている。
そして、ピストンは漏れを防止するために5mm厚さをまして20mmにしてある。
そのためコンロッドが最大に振れるストローク中間点位置でピストン開放端とコンロッドの
ぶつかりが設計上のネックになっている。
コンロッドを細くしたり、ピストンピンの位置を下げてぶつかりを防いだが、気になるところだ。


↓ 保持工具でシリンダーを保持して確認してみた。



何とかぶつからなくて済んだ。
クランク軸も軽く回ってくれる。
これなら大丈夫だろう。(でも、実際に動かしてみないと何ともいえない)


その確認の様子を動画でご覧ください。



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