カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

ヒトラーが目の前に立ちふさがったとしても   ヒトラーに盗られたうさぎ

2023-08-26 | 映画

ヒトラーに盗られたうさぎ/カロリーヌ・リンク監督

 ジュディス・カーという著名な絵本作家の、自伝的な小説の映画化らしい。その本はヨーロッパでは、たいへんに売れたものであるらしい。そうしてこの映画も。
 ユダヤ人である著名な批評家の家族は、ナチスの台頭で身の危険を避けるために、スイスへ逃げる。元はベルリンで豊かな暮らしをしていたが、一転して段々と困窮していく。子供たちもやっとスイスに慣れていくが、結局徐々に生活は苦しくなっていくことから、父は仕事を求めパリへ移住を決断する。パリでの都会生活は不思議な味のあるものだったが、しかしここでも安い仕事しか入らない。パリは物価も高いことから、さらに家族は困窮を極めていく。食べるものに困るようになり、特にとても肉などを食べることが叶わなくなり、育ち盛りの兄は不満を募らせる。妹のアンナは、絵をかきながら、さらに分からない言語と格闘しながら、子供なりに楽しい日々を送ろうとするのだったが……。
 ユダヤ人の亡命生活の困難を描いているが、同時に誇り高きユダヤ人という立場があり、助けてくれる人もありながら、それに素直に助けを求められないジレンマもある。家族を何とか養わなければならないのだが、ある意味エリートで批評家としての自負も高く、単純労働者として働くことは鼻からやるつもりもない。しかし結果的には、新たな才能を拾ってくれる国がある訳だが……。
 最終的には英国へ移り住むために、船に乗っているところで話は終わる。その後大人になってアンナは、童話作家になり成功することになるのだろう。ユダヤ人として亡命を余儀なくされ、もともとしあわせに暮らしていたベルリンには、戻ることが無かったという事か。最初は元の生活に、つまり家に帰ることを夢見て生活の困難を乗り切ろうとする幼い少女だったが、徐々にたくましくなり、どんな場所でも生き抜いてやるのだ、という決意をもってその後の人生を切り開いた、ということのようだ。その事の共感が、この物語を有名にしたのであろう。確かにそれは示唆的で、世の中には困難だらけなのだが、どのように生きるのかは自分次第だ、ということになるのであろう。ということで、皆さん頑張りましょう。
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