僕は基本的に、筆記具はボールペンである。でもそうでないときももちろんあって、それは試算というか、ちょっとした計算の必要な時に鉛筆を使う時がある。書き込む紙があって、元になっている表には印刷の文字が並んでいる。それに鉛筆であれこれ書き込んで、消しゴムでたまに消して書き直す。まあ、何を言っているかわかりにくいかもしれないが、そういう作業を月にほんの数回だが、やる場合がある。そのままその試算表を計算し直して、記録に残す。そういう作業には、やっぱり鉛筆の方が、都合がいいのかもしれない。というか、消しゴムで消して修正する必要から、そうなってしまうのだろう。
鉛筆と書いたけど、それはそもそも鉛筆がそこにあったからで、別段シャープペンシルを使ってもいい。僕の持っているボールペンの中にも4色というか、ボールペンとシャープペンの機能のあるものがある。そういうことに備えて、シャープペンの芯の替えも買っておいている。そういう事で、数年前から専用のシャープペンも買っておいて、時折使っていた。鉛筆は時々芯を削らなければならない。ナイフやカッターナイフで削ってもいいのだが、専用の鉛筆削りの小さいヤツも買っておいたのだが、これがどこかに紛失してしまった。それで面倒になってシャープペンシルを使ったのがきっかけだったかもしれない。
ところが僕が使っていたシャープペンシルの、芯の出が何だか悪くなったのである。仕方が無いので、芯を逆から差し込んで使ったりしていたが、今度は、目が詰まってしまった。これは買い替えだな、と思って、つれあいと買い物のときに、自分ではなんだか選びきれなくて、選んでもらった。今度は調子よく書けるのだが、これもあるときふと気づくと、注意書きがしてあって、芯を出さずに使え、とあるではないか。芯を出さずにシャープペンが書けるなんて変だけど、書かれているままに書いてみると、書けるのである。なんだか変だけれど、鉄の部分が紙にふれると、芯が少しだけ出てくるようなのだ。
調べてみると、ぺんてるの「オレンズ」というシリーズのシャープペンシルらしい。厳密には一回だけノックすると、芯が出ないまま先のパイプ部分が伸びる。そうして書いていくと、そのパイプ部分が芯の減りと一緒に縮んでいくようだ。オレンズというのは、芯が折れずに使えるという意味なのだろう。確かにこれだと、芯の部分が外に出ていないので、そもそも折れにくいということになる。説明によると、これでさらに細い0.3㎜という芯なども折れずに使えるようになったのだそうだ。僕が買ったのは0.5㎜なので関係のない話なのだが……。
さらにこれには利点があって、一度ノックをすると、かなりの間再度ノックする必要が無くなるのである。伸びたパイプの部分が芯と一緒に縮むので、その間は再度ノックする必要が無い。これは最初そんなことを気づかないくらい長い間、書き続けることができることを意味する。気づいたときに、やっと、そういう事だったのか、と気づいたくらいだ。
こんなことで感動しても仕方ないのかもしれないが、実に画期的技術革新と言えるのではないか。まだほかのメーカーでこれがあるとも知らないのだが、特許かもしれないし、独走しているのかもしれない。もっともこの良さに気づくには、やっぱり一度使ってみないことには分からないことかもしれない。宣伝めいてきたが、カチカチやる神経質なシャープペンのイメージが一新すること必至である。