アメーバという生き物がいる。アメーバ状の物質という言い方をすることもあるが、目に見えるような生物としてはいないようだが、微生物として生きている。
以前アメーバが人を食うというような映画があったと思うが、まあ、そういうことは考えにくい。赤痢アメーバというのがあるようだからまったくの無害ばかりではなかろうが、おおむね人間社会とはそう関係なく、なんというか、グニャグニャと生活されているようである。
アメーバというのは実に不思議な生き物で、鞭毛や繊毛を持たず、仮足という体の一部を伸ばして移動する。仮足がなんであるのかという説明も難しく、体のどんな部分であっても伸ばせる。主に他の細菌類などを食べるわけだが、口があるわけではない。移動にも使う仮足を伸ばして細菌を包み込み、そうしてそのまま消化をする。要するにやはりどの体の部分であっても口や消化器官に変化できるということだ。
ちなみにアメーバはギリシャ語の「変化」という意味を語源としているらしい。
単細胞動物で、分裂して増えるわけだが、基本的に自分の体の一部が分かれているだけのことで、それは個体として果たして別のものと数えていいのかはわからない。何しろアメーバは老化するとは考えられていない。元の一つのアメーバが分離して増え、それぞれが自分の体の一部だからだ。そう考えると実に数億年にわたって生き続けている生物かもしれない。なかなか侮れない優れた生き物と言えるかもしれない。