原発を稼働している電力会社は、好きで原発で発電しているのではない。電力を供給する使命があるから仕事として原発を利用しているにすぎない。災害の被害を受けた上に過剰に世論から痛めつけられ、さらに国からも見放されるという想定外の被害をこうむる現実にあって、誰よりも切実に原発を止めたがっているのは、ほかならぬ電力会社の首脳部連中であるだろう。
しかしながら現実問題として原発を止めるような無責任なことをするわけにはいかない。使命や責任が強いからこそ、原発を不用意に止めるようなことは断じて選択できないというのが現実なのだろう。そもそも原発推進は、利権のためでなく国益に叶うから推し進められたものであり、オイルショックの悪夢から選択不可避な流れだったことをやすやすと忘れられるほど痴呆症状があるわけではない。今後の日本の電力政策においてどのような指針で取り組まなければならないのか。その道筋が無いうちに行動するのは単なる無謀であるだけでなく、逃避である。
逃げ腰の経営者にとって首相からの要請は、天使の(いや、悪魔かも)声に聞こえているに違いない。これで電力の供給不足による言い訳も立つ上に、事実上国からの補償も上乗せできる。さらには消費者への負担増も織り込んでいいようである。浜岡以外の原発についても、是非首相は言及すべきだとホンネでは考えているに違いないのである。
先に脱原発を宣言したドイツにおいては、稼働中の原発を止めることにより電力輸出国から輸入国に転落した。電力に色は無いということで、フランスなどの原発による電力に頼ることにしたのだ。日本の見本として見習うべきはこのような姿なのだろう。さて、中国やロシヤが、そのように応じてくれるかどうかだが。その前に電力消費が減るように、日本から企業が居なくなっているかもしれないけれど…。
それでも原発は止めるべきだというのはよく理解できる。それが信念であるのなら、そのために本当の努力を惜しまないことだ。だからこそ原発を止めるためにも、まずは今原発を止めてはならない。本当に国民を守るというのは、そのようなリスクを背負いながらも戦う姿勢であるはずだ。優先すべきはそのような現実であって、無責任な連鎖の助長なのではない。
大人のいなくなったこの国に、何を言っても始まらないか。
当然「悪魔」の方でしょう。でも国も東電もまだ大分隠していることはあるでしょうね。
そういう問題も同時に膿み出ししながら根気よくやらなければならないと思います。それは誰がやってもつらい事なんですよね。
脱原発か、推進か、としか考えない思考からの脱却ができるよう、今の世論の冷却こそ最も必要なのだと思います。管さんは、もうどうでもいいです。