カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

車酔いしない人にお勧め映画

2008-11-18 | 時事

クローバーフィールド/マット・リーヴス監督

 映画館で観た人には、最初に車酔いのような感じになる恐れがある旨注意があったそうである。いくら注意されたところで、具合の悪くなる人は減らないとは思う。それぐらい手ぶれ映像は不快で、なんじゃこりゃという怒りにも似た感情をしばらく我慢しなくてはならない。必要以上に前ふりが長いように感じはするが、そういう日常的な状態を見る人にも慣れてもらおうという趣旨だったのかもしれない。その後に続く出来事はまさに衝撃的というか、物語の中にぐいぐい引っ張られる感覚は新鮮だった。この映画を普通の映画的な文法で撮っても、おそらくはここまで没頭できなかったのではないかとも思う。もう少しぶれない映像だと助かったのだけれど、疑似ドキュメンタリーのような感覚を共有するということでは、やはりかなりの効果があったと認めざるを得ない。
 そういう訳で、ものすごくおもしろかった訳だが、後で考えてみるとたいした話なのではない。しかし、やはりこの設定というのは、いろいろつかえて面白いものだとも感じた。だいたい最近のパニック映画は説明が多すぎるというか、効果を邪魔してでも因果関係を明らかにし過ぎていたのかもしれない。ゴジラが何故生まれたのかということよりも、ゴジラが街を壊すのを見るのが、何よりの楽しみであるはずである。もちろんまったく背景が分からないというのは物語そのものを破綻させかねないギャンブルには違いないのだけれど、変に社会的なテーマをぶたれるよりも、パニックそのものを楽しむことに特化するという態度は、あんがいこれからも流行りそうな感じがしないではない。わけわかんないけど大変なことになっているというのは、それだけで十分にスリリングで物語を引っ張るスパイスとしてかなり効くことは確かであるようだ。
 また、この映画は妙に教訓的な気分にもさせられる変な映画でもあった。必要以上に撮影をやめないのは何故かという疑問はあるにせよ、状況が分からないまま危険を冒すことはかなり難しいことだということはよく理解できた。しかし人々と同じ行動を取ったとしても必ずしも安全というわけでもない。自分なりにどのようにすべきか考えて、よく知ってそうな人に極秘情報を聞き出さなければならない。まあ、そうそう都合よくはいかないにせよ、このように極端に情報が少ない状態におかれるというのが、災害などに巻き込まれた状態だということも言えるだろう。多くの人はパニックに見舞われ、ただ迷走するより他にない。ある意味で主人公たちは仲間を助けるという目的があったからこそ、それなりの行動をとることができたともいえるだろう。もちろん運がいいだけとも言えはするけれど…。
 それにしてもネズミがたくさん逃げているときは、何も考えずにネズミと一緒に逃げた方がいいようである。ネズミが逃げてきた方向を確かめるなんてことは、たんに愚かしい時間の無駄である。車酔いに強い人は、迷わず見るべし、と思う。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 委員も当事者なんだけどね | トップ | 大麻は合法化するのか »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。