カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

以前は冷戦というのがあったのだよ   ブリッジ・オブ・スパイ

2017-07-30 | 映画

ブリッジ・オブ・スパイ/スティーブン・スピルバーグ監督

 冷戦時代、アメリカ在住のソ連スパイが捕まり裁判になる。米国民が嫌悪するスパイの弁護をすることになる弁護士は、非国民扱いされるだけでなく、家に銃弾が撃ち込まれるなど、危険な状態になってしまう。陪審員での裁判では勝ち目がないが、裁判官を何とか裏で言いくるめて、死刑から懲役30年を勝ち取る。その後ソ連を偵察中に迎撃されて捕虜になった米兵を救出するために、このスパイとの人質交換の交渉をベルリンの壁が築かれて間もない東ドイツで行うことになる。ちょうどこの東ドイツに囚われてしまった米国人学生も一緒に救出したいと考えるようになり、弁護士の男は難しい交渉を一人で行うことになるのだが…。
 淡々と逆境の中にほぼ一人で立ち向かう男の姿を描き、法とそれなりの屁理屈で一部の人々を言い負かしていく様が展開される。絶望的ともいえる中で、よりどころとしている法に則った考え方で説得してしまえる社会がなかなか面白い。確かに一理あるが、何しろそれらはひとの命にかかっている。政治的な思惑がその都合と上手く合致すると、大きく人を動かすことになる。最終的に愛国心の強いソ連人スパイは、どうなったか分からない。実話をもとにしているというから、今の時代ならひょっとすると分かるのかもしれないが。
 重厚で恐ろしい話だが、国同士がケンカしていると、いろいろとひどく迷惑をこうむる個人がいる。結果的に米国人が助けられる話だから成り立っているのだろうけれど、米国の社会が正しいという話ではない。そういうさじ加減や視点というのが見事で、スピルバーグ監督の正義感というのが、よく表された作品になっているのではなかろうか。よく考えてみるとこの時代の再現も素晴らしく、必要以上に金がかかっているのかもしれない。東ドイツの人やソ連の人たちがこの映画を今見たら、どんな感想を抱くのだろうか。
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