カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

ほとんど天才バカボンだと思うが   アウト&アウト

2020-01-04 | 映画

アウト&アウト/きうちかずひろ監督

 きうち自身の原作小説の映画化らしい。元ヤクザの探偵の周りで、過去を知られたくない議員などを巻き込んだ殺人事件が起こる。様々な立場で殺し殺されお話は展開していくが、プロットが複雑で、なかなか整理できない。ほとんど会話だけで、そういうプロットをなんとなく説明しようとしていて、きうちが漫画で描く世界と、ある意味では似ている。映画だからアクションもあるが、それは会話との間に挟まれた出来事のような感じだ。
 探偵と警察とヤクザと政治家などだから、妙な圧力と、腹の中の分かりにくい探り合いが続く。そういうことが面白いという話なのだが、皆悪ぶっている印象をどうしても受ける。特に主人公のやくざ上がりの探偵は、自分の矜持のためか、本当に商売で食っているのか不明である。そういう意味ではほとんど天才バカボンのパパと同じだが、しかしこれがハードボイルドで、はじめちゃんのような話し方をする子役の娘がいて、やっぱりバカボンではないかと思ったりした。すいません、分かりにくい話だろうが。
 そういうわけで、面白くないわけではないが、ちょっと外しているかもしれない。立ち回りを演じる事実上の殺し屋青年の謎が、物語を引っ張ってもいるが、なんだかあっさり幕引きを行う。これがいい奴と悪い奴の境界ではっきりしないままで、さらに物語を分かりにくくしているのではなかろうか。また、必要以上に賢く敬語を通す小学生の娘の存在が、リアリティを壊してもいる。それがいいところなんだと考えているのは分かるが、だからと言って共感があるわけではないのだ。
 なんだか複雑で不思議な映画で、こういうのが好きな人にはたまらないものがあるのかもしれない。要するに映画も相性なのである。
コメント
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