カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

心の持ちようだけでなく、行動の持ちよう   幸福の「資本」論

2017-10-01 | 読書

幸福の「資本」論/橘玲著(ダイヤモンド社)

 副題「あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」。基本的には副題の通りだが、金融資産、人的資本、社会資本、という三つの資本のすべてが充足的に揃うと、人生の幸福度は高くなるということ。人の人生を当てはめると、その充足度と不足の人で、まあ、幸福から不幸まで、段階があるということになる。当然上の方になった方がいいし、出来ればやり方次第で、自分の思うような位置に立つことができるかもしれない。基本的にはその考え方とハウツーの内容である。誰もが可能とまでは残酷ながら僕が保証することは出来ないが、少なくともこれが理解できると、その方法を自ら考え出すことは出来るようになるかもしれない。できれば、多くの人がそうあって欲しいが。
 普通はこんな事を真面目に書いている本なんてものはたいてい胡散臭い訳だが、まあ、実はその書き方は工夫されているものの、さまざまな根拠や知見を上手く紹介して解説しているということは言える。そしてたぶん、嘘や詐欺のために書かれている訳でもない。作家だから本が売れた方がいいに決まっているが、そのために読みやすく楽しめる構成や文章にしてあるということは言えることだ。面白く読んで、ある意味で得が出来る訳だから、嘘しか書いてないビジネス書を読むよりはるかに有用である。問題は理解できても、それを読んだ個人が自分に活かすことが可能かというだけのことである。
 考えてみると以前の幸福の持ち方というのは、単に精神的というか、もしくは独善的なものが多かったようにも思う。様々な視点から研究がなされ、ずいぶん具体的に、個人の幸福のありようというものが、その姿を見せるようになったものだと思う。特に日本人の多くは、この日本に生まれてきた(そして現代に)ということだけで、残念ながら現在は幸福な状態で無かったとしても、その幸福を感じるであろう材料が豊富な環境にいることは間違いが無い。運だけで幸福になれる人もいるとは思うが、しかしあんがいその努力というか、本人の実行の仕方次第で、そういう状態に自らを持ち上げるチャンスというのは、そこらへんに転がっているということも分かってくるのではないか。いや、厳密には個人の力でどうにもならない状態にあるような人もいるんだろうけど、少なくともその考え方を実行できるという前提は、日本の社会は、特に抵抗しないはずなのである。まあ、頑張ってください。
 日本社会だけでなく、いわゆるアメリカ社会であっても、不幸な人は不幸だ。しかし、恐らく多くの日本人が思っている以上に、アメリカ人だって不幸に振り回されている人はたくさんいるはずだ。それが日本的なグローバリズムにあるかもしれないという指摘は、なかなか面白かった。日本の働き方は、場合によっては生産性が高い場合もあるし、幸福度だって高い場合もあるが、やはり個人のすべてに当てはまるようなものでは無い(そんなことは当たり前だけど)。僕らはどのように働き方を変えるべきか。いろいろ考えて実行してみなくてはなるまい。
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