カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

何処の家にでもやって来るかも   ババドック

2017-02-17 | 映画

ババドック/ジェニファー・ケント監督

 副題「暗闇の魔物」。豪州映画。育児に手を焼きながら奮闘するシングル・マザーが、子供に読んで聞かせる不気味な絵本をきっかけにして怪現象に追い込まれていく。
 どうも7年前に事故があったらしく夫を亡くしている。息子は他の子供に攻撃的なところがあるらしく、武器も自作する。母は介護の仕事をしているが、夜も落ち着かない息子のためか、不眠でいつもイライラしている。子供が学校で問題を起こすと退学(転校という意味だろうが、行き先が決まってない)させるが、家にずっと放っておくわけにもいかない。近くに住む妹家族とも上手くいかないし、他に生活をサポートしてくれるような人も見当たらない。息子が寝る前に絵本を読んで聞かせることにしているが、ある日選んだ絵本がちょっと妙である。絵も不気味だが、ある化け物がやって来てそれを見たものが死を願うようになると、まるで自分たちを脅しているようだ。その後息子は、その絵本の化け物であるババドックに取りつかれたようになっていく。家の中でもクラック音がしたりして、まさに何かが迫っている。もとになった絵本を破り捨てるが、ある日また玄関先に破られ捨てられたはずの本が、整えられて置かれている。
 ババドックという何かが徐々に近づいてくる恐怖もあるが、息子の行動を持て余して、寝られなくなって、どんどん衰弱して、おかしくなっていく母親が気持ち悪い。息子やババドックの所為で追い込まれていることは分かるが、どんどんかたくなになっていき孤独で眠られない。寝られないのに深夜に古いドラマをボーっとしながら観ている。現実と夢の境があいまいになって来て、時折激しい悪態を息子に吐いてしまう。
 ババドックの姿はなかなか出てこない。身近に迫っており、家の中にいるらしいことは感じるのだが、明確にどのような姿をしているのかがあいまいだ。夜の闇にまみれて動いているし、音や声はする。そういう設定が、まずは大変に成功している。何やらどうもそんな感じみたいだな、というのが少し分かりかけてくると、かえって怖さは半減するような感覚があった。
 憑き物映画には違いないが、しかしテーマは極めて現代的かもしれない。また、特に日本の若い母親においては、このような危機というのは、いつでも起こりうる問題という気がする。パートナーが死んでしまったので仕方がないが、他に家族が居る場合でも、ババドックがやってくる家庭というのは、あんがいあるんじゃなかろうか。
コメント
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