カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

納得している人がいることが信じられない理由

2015-12-17 | 時事

 軽減税率の話はなんとなくバカっぽいので残念感が残ったな、と思っていたんだが、意外なことに世論的にはそれなりにまとまって理解者が多いのだという話なのである。ちょっとびっくり。その大きな理由と思われるのは、やはりヨーロッパの多くの国では、実際に軽減税率を実施しているらしいということを知っている人も多く、他の国が出来ているのだから日本でもできるだろうというような感覚があるのではないかという話だった。まさに日本的だ。みんな飛び込むなら自分も飛ぶということだ。
 それにしても見聞もいい加減で、先に導入している国は、軽減税率は完全に失敗で、出来るだけやめた方がいいという悪しき体験を積んでいるという事実は、伝わっていないのだろう。それでもやろうという酔狂の国が存在するなんて、彼らは夢にも思っていなかったことだろう。
 もう決まったことだからどうにもならんけど、生鮮食品と加工食品は分けられないという現場からは、ホッとしているという気分は伝わっている。それで良かったという産業界の安堵が、議論の終りの始まりになっているようだ。
 そこで問題は、外食との線引きという点に絞られているようだ(インボイスもあるけど、これは一旦先送って考えよう)。たぶんその議論は、外側にいる人には楽しいというのもあるんだろう。
 テイクアウトなどの持ち帰りは、例えばハンバーガー屋だと、諸外国ではテイクアウトで買って、店内に持ち込む客がそれなりにいるんだそうだ(それを前提にしている店などに不公平だとする訴訟も起こっている)。牛丼屋なんかはそれは出来にくそうだが、そのまま駐車場にとどまって食べるなどの放置もありそうな気がしないではない。店内で食べる人の駐車スペースを食うことにもなりそうだ。
 もっと問題なのは、ソバ屋やラーメン、大衆食堂などの出前であろう。同じもので値段が違うのだから出前が増えるだろうけれど、夫婦二人で切り盛りしているような店がどうなるか。
 要するにこの線引きで明らかになりそうなのは、日本の飲食店は構造的にチェーン店化していく傾向を強めることになるだろうということだ。それは弱小の店ほどつぶれるということを意味する。個性的な店が育ちにくいわけで、特に起業の多い分野であると考えられる飲食業への参入障壁にもなるかもしれない。そういうことを政府が欲しているとは考えにくいが、事実上その流れは止まることはあるまい。
 根本問題として、所得税の控除を受けて税金を払っていない国民が、日本には4000万人ほどいる。多くの場合その人たちを対象と考えて軽減税率を設定すべきだとする公明党の意向に沿う形で今回の話は整った訳である。それはそのままその人たちの支持する政党であるという自負なのであろう。
 しかしながらそうであるのであれば、事実上の選挙対策の金銭のバラマキということと実質は等しいと思われる。それもその財源は税金である。国が財政危機にあって消費税率を上げなければならないということになっていたはずで、その原因となっているのはこのようなバラマキで既に多くの借金を積み上げたためなのである。また、この軽減税率によって準備しなくてはならない財源はまだ決まっていない。とる分から削るのだから減税という考えもあるが、とる分の使い道は決まっていたのだから、事実上増税と同じである。その先はもういいたくありません。
コメント
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