愛と希望の街/大島渚監督
大島監督の処女作。他の映画が悪いわけではないが、かなりまっとうな作品。それもなんというか、なかなかいい映画なのである。
今ではちょっと信じられないくらいに格差社会だった当時の日本と、その貧困というものが何であるかを見事に描き出している。おそらく中国の農村だとか、インドだとか、アフリカなどの国々の人が観ても同じように理解できるのではないか。いや、ひょっとすると現代の米国であってもこの話は分かる可能性が高い。日本的な映画のようでいて、それなりに普遍的な人間の問題を描いているように思うのである。それは、人間というものは残酷なくらい平等なのではないということ。それは単なる生まれの違いに過ぎなくて、そうして決定的に人を分ける運命でもあるのだ。
確かに倫理問題として少年に対する大会社の対応は間違いではないのかもしれない。試験がいくら良かろうと、人間的な問題として引っかかるのは確かである。そしてそのような考え方は、ある意味で会社としての誠実さやまっとうさなのかもしれない。しかし、本質的なところで、何かを間違っている。いや、間違いではないが、人間というものの本当のところを見ていなかったり、考えていないに違いないのである。そうすることが本当に残酷に人を引き裂き、差別化してしまう。少年の罪と会社の罪をまっとうに比較などできはしないのだが、間違いなく人間的に劣っているのは会社の方である。人間を否定することで成り立つ組織というのが、非人間的な人格を持つ会社のような法人であったり、役場のような組織あるのかもしれない。だからこそ人間社会の諸問題は、人間個人を本質的に救済することができないのかもしれない。
というわけで、楽しい映画ではないが、社会を考える上でかなり必見映画なのであった。
ところでうちの家族はこのシリアスな映画を観ながら、結構ウケてしまった。それというのも、我が家の次男坊君と主人公を演じている藤川弘志という俳優さんの横顔が、瓜二つなのである。あんまり演技が上手ではないのだが、そういう朴訥とした動きまでも、なんだかよく似ているようにも思える。映画は借りてきたのだが、DVDを買うべきかちょっと思案中なのである。だからどうだ、という問題ではないんですけどね。
大島監督の処女作。他の映画が悪いわけではないが、かなりまっとうな作品。それもなんというか、なかなかいい映画なのである。
今ではちょっと信じられないくらいに格差社会だった当時の日本と、その貧困というものが何であるかを見事に描き出している。おそらく中国の農村だとか、インドだとか、アフリカなどの国々の人が観ても同じように理解できるのではないか。いや、ひょっとすると現代の米国であってもこの話は分かる可能性が高い。日本的な映画のようでいて、それなりに普遍的な人間の問題を描いているように思うのである。それは、人間というものは残酷なくらい平等なのではないということ。それは単なる生まれの違いに過ぎなくて、そうして決定的に人を分ける運命でもあるのだ。
確かに倫理問題として少年に対する大会社の対応は間違いではないのかもしれない。試験がいくら良かろうと、人間的な問題として引っかかるのは確かである。そしてそのような考え方は、ある意味で会社としての誠実さやまっとうさなのかもしれない。しかし、本質的なところで、何かを間違っている。いや、間違いではないが、人間というものの本当のところを見ていなかったり、考えていないに違いないのである。そうすることが本当に残酷に人を引き裂き、差別化してしまう。少年の罪と会社の罪をまっとうに比較などできはしないのだが、間違いなく人間的に劣っているのは会社の方である。人間を否定することで成り立つ組織というのが、非人間的な人格を持つ会社のような法人であったり、役場のような組織あるのかもしれない。だからこそ人間社会の諸問題は、人間個人を本質的に救済することができないのかもしれない。
というわけで、楽しい映画ではないが、社会を考える上でかなり必見映画なのであった。
ところでうちの家族はこのシリアスな映画を観ながら、結構ウケてしまった。それというのも、我が家の次男坊君と主人公を演じている藤川弘志という俳優さんの横顔が、瓜二つなのである。あんまり演技が上手ではないのだが、そういう朴訥とした動きまでも、なんだかよく似ているようにも思える。映画は借りてきたのだが、DVDを買うべきかちょっと思案中なのである。だからどうだ、という問題ではないんですけどね。